【Dリーグ】ディフェンディング・チャンプKOSÉ 8ROCKSに新ディレクターKaku就任「初の2連覇目指す」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Dリーグ】ディフェンディング・チャンプKOSÉ 8ROCKSに新ディレクターKaku就任「初の2連覇目指す」

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【Dリーグ】ディフェンディング・チャンプKOSÉ 8ROCKSに新ディレクターKaku就任「初の2連覇目指す」
  • 【Dリーグ】ディフェンディング・チャンプKOSÉ 8ROCKSに新ディレクターKaku就任「初の2連覇目指す」

6月5日にチケット完売で満席の観客と共にチャンピオンシップを終え、10月のサードシーズン開幕が待ちどおしいDリーグは、コロナ禍の開幕から2年、着々とファンを増やし、いよいよ注目度が高まっている。

「チャレンジャーとして挑む」と抱負を語るKaku 撮影:SPREAD編集部

そんな中、セカンドシーズンで初制覇を果たした「KOSÉ 8ROCKS(コーセーエイトロックス)」の新ディレクターに、世界的に活躍するB-BoyKakuが就任するというニュースが飛び込んできた。Kakuと言えば、大阪の有名ダンスチーム「MORTAL COMBAT(モータルコンバット)」の結成メンバーであり、世界最高峰のB-Boyバトル(ブレイキン、ブレイクダンス)「Red Bull BC One」に日本代表として2度の出場。また、国内最大規模の大会である「DANCE ALIVE HERO’S」でも優勝するなど、数々のタイトルと輝かしい実績を持つ、ブレイキン界の綺羅星であり、海外のサーカス団への参加や役者としての活動など、ダンサーの枠を超えたバイタリティでも評判の“スーパーダンサー”である。

◆2年連続MVD “B BOY” ISSEIの“これまで”と“これから” 「パリ五輪だけがダンスじゃない」

■チャレンジャーとして「2連覇」目指す

セカンドシーズンではエイトロックスのSPダンサーとして、彼の得意とするヘッドスピンやツーサウザンド(両手で倒立した状態で回転する技)など、Kakuにしかできないクオリティで、彼ならではの大技を繰り出し、チームの優勝に貢献した。頂点を極めたエイトロックスをさらなる高みへと率いていく担い手として、もってこいの逸材と言えるだろう。

だが、Dリーグサードシーズンに向けて、Kakuにエイトロックスのディレクターの打診が来た当初は、大阪にダンスチームを有し、定期的なオーディションなど大阪のダンスシーンの中心で常に忙しく活動していたこともあり、そこを離れることへの憂いは当然あり、また、「自分でいいのか」という不安もあったと言う。

ストリートでもヘッドスピンをかますKaku (C) KOSÉ 8ROCKS

「でも、その一緒にやってきたチームのみんなが、今回の新しい挑戦へと後押ししてくれたんです。そこで、不安の気持ちが切り替わっていき、ワクワクと挑戦心が芽生え、『切り開いてゆこう』という決心へとすぐに変換することができました」。メンバーを気持ちよく送り出せるのは、その仲間に良き関係性があってこその展開であり、Kakuの人柄を物語るエピソードである。

今回ディレクターに就任したコーセーエイトロックスも、メンバー同士の信頼感や仲の良さを強く感じる素晴らしいチームであるが、いくつものチームを率いてきたKakuから見た、現在のエイトロックスを語ってもらった。

KakuはMORTAL COMBAT(モータルコンバット)の結成メンバーでもある 撮影:SPREAD編集部 

「セカンドシーズンまででも2回、SPダンサーとして参加しましたが、レッスン後にメンバーで一緒にお風呂に入ったり、仲が良く、コミュニケーションが良くとれているチームです。皆のブレイクダンスへの想いや志、一回一回のラウンドにかける気持ちの強さと質がダントツに高く、今この瞬間を常に100%でやっているということがしっかりと伝わってきます。一人一人個性がしっかりとあるため、時にぶつかり合いはありますが、それは志あるプラスになるためのぶつかり合いであり、結果的にはよい方向へと向かっています。そして、全員がDリーグでプロとして、企業と共に行っているということをしっかりと理解しているなと思います。コロナという逆境下で忍耐強さも出てきて、様々な課題や問題にも対応していく能力も強まりました。今回自分がディレクターになったことで、当然目指すべきものはこのDリーグでの初の2連覇です。そのための作品作りでは今まで挑戦していなかったこともやっていきたいですし、前シーズン優勝したからといって、“上のもの”としてではなく、新たにスタートするシーズンも、チャレンジャーとして挑んでゆきます」。

しっかりと進むべき道を見据えているかのようなKakuのまっすぐな瞳は、“自らを超えていくもの”としての覚悟と決意がきりりと宿っていた。

■Kaku「ブレイキンの可能性を世界に発信したい」

古今東西、人類は、その歴史と共に“踊り続けて”きた。世界中のどんな国や地域にも“踊り”が存在し、クラシックバレエから盆踊りまで、実にありとあらゆる質やスタイルを有しながらそれぞれが今に至っている。かくのごとく多様性がありすぎるほどのダンスの中でも、ことさら強く人々を魅了するものとして共通する要素がスピン、即ち「回転」である。

クラシックバレエでは、有名な『白鳥の湖』で黒鳥のプリマが踊る32回転のフェッテや、面白いところだと、トルコの伝統芸能である旋回の踊り「セマー旋回舞踊」、はたまたフィギュアスケートの回転まで。回るという行為には不思議な強い魅力がある。これは、観る側だけでなく、回っている本人にも言えることで、セマーの旋回舞踊のように、宗教的儀式のなかで恍惚としながら回っている姿は象徴的であろう。

取材スタジオでもヘッドスピンを披露してくれた 撮影:SPREAD編集部

Kakuのスピンマジック!

だが、Kakuが繰り出すツーサウザンドは、あまたある世界中のダンスの回転の中でも、おそらくもっとも難易度が高く、世界中探しても今現在あんなことができるダンサーは数えるほどしかいないだろう。両手で倒立した状態で最高26回転もしてしまうのだ。それを見た時の驚きと不思議な感覚は、大人でも子供でもなんだかわからないけれど嬉しくてワクワクとした気分にさせてしまうすごいパワーを持っている。しかし、頭を軸に回るということがどうやったら可能となるのか筆者にはどうしても理解できない。あのインパクトとパフォーマンスとしての破壊力は派手な動きの多いブレイキンの中でも圧倒的な存在感を放っている。

彼のヘッドスピンに憧れる未来の“ブレイカー”へ向けて、コメントとアドバイスをもらった。「子供の頃からなぜか逆立ちが好きでした。ヘッドスピン成功のコツは、まず三点倒立した状態を面白いと思えること。そして逆さの状態に慣れること。“感覚”でやらないこと。それと日々の鍛錬です。慎重にコツコツ、忍耐強くできること。そして逆さの世界を愉しむというアーティスティックな側面と共に、競技である以上、怪我をしないという細心の注意をはらえることも大事です」。

ご存知の方も多いと思うが、「ブレイキン」は2024年のパリ・オリンピックで正式種目となる。日本人のブレイキンのレベルの高さは、世界的レベルと言われているが、数々の優勝歴を持つKakuは謙虚に語る。「とても良い時代に生かせてもらっています。ブレイキンのシーンを歩んでいるという事は本当にありがたいです。だからこそ、ブレイキンの可能性を広げて、世界に発信したい。ダンスで笑顔になって、がんばろうって思って欲しい。僕たちの踊りを見て、感情を出して、手を上げて飛び跳ねて欲しいのです」。

ダンスが正式にオリンピック種目になるということは、ジャンルに関わらず、世の中の全てのダンサーにとって、そしてダンスを知らない、今まで触れてこなかった人々にとっても素晴らしい、新しい喜びをもたらすものとなるだろう。

Dリーグでの活躍も期待だが、パリ五輪でも“かまし”てくれそうなKaku 撮影:SPREAD編集部

まだ、正式なルールが発表されていないが、Kakuが日本代表のひとりとなり、パリで“かまし”てくれる未来も見えた気がする今回のインタビュー。高速ヘッドスピンを始めとする唯一無二の技を持つダンサーとして、また今後、共に進むエイトロックスのディレクターとしての活躍にも、大いに期待しながら、次なる公演を待ちたい。

◆全選手が命を削ってきたセカンドシーズン・フィナーレにダンスのさらなる可能性を見た 栄冠はエイトロックスに

◆21-22アワードショー、ISSEIが2年連続MVD 「世界のスポーツでダンスがもっとも可能性がある」とテリー伊藤

◆Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が描く未来図 「夢の選択肢を増やしたい」

著者プロフィール

Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター

『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー

《SPREAD》
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