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MLBは23日(日本時間24日)、ニューヨーク・ヤンキースのジョシュ・ドナルドソンに対して1試合の出場停止と罰金を科すと発表した。処分の対象となったのは、21日(同22日)のシカゴ・ホワイトソックス戦における行為。ドナルドソンは、ホワイトソックスのティム・アンダーソンに対して不適切発言を行い、乱闘寸前の騒ぎの要因を作っていた。
なお、同選手は処分を不服として異議申し立てを行っているが、23日に新型コロナウイルス関連で負傷者リスト入りした。人種差別と受け取られかねない発言は物議を醸しており、米メディアが大きく取り上げている。
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■「人種差別」との批判も
騒動は21日の試合で発生した。三塁手のドナルドソンがアフリカ系米国人のアンダーソンに対して、メジャー初の黒人選手として知られるジャッキー・ロビンソンになぞらえ、茶化すように「ジャッキー」と呼びかけたことが発端。険悪な空気が流れると、5回のドナルドソンの打席ではホワイトソックスのグランデル捕手が同選手に詰め寄り、両軍のベンチから選手や首脳陣が飛び出し一触即発の状態となった。
アンダーソンは「ドナルドソンが無礼な発言をした」と切り出し、「彼は私をジャッキー・ロビンソンと呼ぼうとしていた。“元気かい、ジャッキー”というような感じで」と怒りをにじませ、振り返った。
試合後にはホワイトソックスのラルーサ監督が人種差別だと非難。さらに、ヤンキースのブーン監督もドナルドソンから事情聴取を行った上で、「悪意はなかったと思うが、それはあくまで私の意見。彼は一線を越えていた」と話していた。
MLBで規律委員の職も担うマイケル・ヒル副会長は「関係者からの事情聴取はすべて終えた。2人のやりとりをもう一度考えたが、ドナルドソン選手の意図がどうであれ、アンダーソン選手への発言葉は無礼で、間違った判断だったと見なした。また、彼の言葉は両軍に起きた乱闘寸前の騒ぎの要因となった」と処分理由を明かした。
ドナルドソンは、アンダーソンがかつて雑誌のインタビューで「ジャッキー・ロビンソンのような気分」と話していたことを受けて、あくまで“仲間内でのジョーク”という釈明をしていた。
■トラッシュトーク巡り禍根残す
しかし、今回のMLBの判断については「甘過ぎる」という批判が集まっている。米地元紙「シカゴ・トリビューン」は、「MLBはその発言が人種差別的であったかどうかという問題には触れておらず、判断ミスということで終わらせている。今後試合中に何を言っても許されるのか、そこに影響を与える可能性がある」とし、「(試合中に汚い言葉で相手の心理面を揺さぶる)トラッシュトークはどこまで許容されるのか」と指摘した。
ホワイトソックスのイーサン・カッツ投手コーチは、今回の発言が飛び出す伏線となった5月13日(同14日)の試合にさかのぼり、「(その日の試合でも)ドナルドソンはアンダーソンを三塁ベースから押し出そうとして、乱闘寸前の事態を引き起こしており、勘案すると甘過ぎるペナルティ」と不満を表明。「1試合の出場停止処分の背後にあるポイントやメッセージは何なのか。明らかにフラストレーションがたまる」と投稿した。
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文・SPREAD編集部