【プロ野球】巨大ビジョンに顔認証システム、新VIPルームとプレミアムラウンジで味わうリニューアル完了の東京ドーム新観戦体験 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【プロ野球】巨大ビジョンに顔認証システム、新VIPルームとプレミアムラウンジで味わうリニューアル完了の東京ドーム新観戦体験

新着 ビジネス
【プロ野球】巨大ビジョンに顔認証システム、新VIPルームとプレミアムラウンジで味わうリニューアル完了の東京ドーム新観戦体験
  • 【プロ野球】巨大ビジョンに顔認証システム、新VIPルームとプレミアムラウンジで味わうリニューアル完了の東京ドーム新観戦体験

昭和四十年男が「東京ドーム」と聞くと、いまだに「後楽園球場に代わる新球場」という先入観があり、「老朽化」と指摘されてもどうにもピンとこない…なんだか時代に取り残された気分になるものだ。

王貞治による756号の世界記録を樹立を表示する懐かしの後楽園球場 (C)SPREAD編集部

われわれ東京のオールドファンが知るプロの野球場と言ったら、後楽園を始め神宮球場東京スタジアム(現在の味スタではない)、川崎球場あたりがメジャーだった。さすがに伝説に彩られる洲崎球場(初のプロ野球日本一決定戦開催)、駒澤野球場(現球場とは別もの)、上井草球場戸塚球場などは、すでにその姿を消した後だったと記憶している。

1972年に閉場した東京スタジアムを、メジャーリーグ「ブルックリン・ドジャーズ(現ロサンゼルス)」の本拠地エベッツ・フィールド(1958年閉場)と重ね合わせて見てしまうのは、下町の中年のなせる幻想だろうか。南千住にあった本スタジアムの敷地には都営住宅が建ち、エベッツの跡地も高層住宅へと変貌しており、その地に足を運ぶと、時の変遷の哀愁さえ感じてしまう。ちなみに東京スタジアム第1号ホームランは、故・野村克也元監督が放っており、東京音頭が応援歌として使用されたのもこの地。そう聞くとヤクルト・ファンとしても少なからぬ縁を感じてしまう。私の両親が、長嶋シニアを観に巨人戦に足を運んだのも本球場だったそうだ。

長嶋茂雄引退スピーチ、V9など数々の写真がVIPルームを彩る(C)SPREAD編集部

東京ドームが開場したのは1988年。昭和天皇の時代、リクルート事件、宮崎勤による連続幼女殺人事件、名古屋の妊婦切り裂き殺人事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件など日本を震撼させた事件が起きた年でもあった。『AERA』『Hanako』創刊、FM富士、J-Wave、NACK5が開局、『となりのトトロ』『火垂るの墓』『AKIRA』が封切りされ「アンパンマン」のオンエアがスタートし、高田純次は「5時から男」として暗躍、山下達郎の『クリスマス・イブ』を訊きながら深津絵里とともに新幹線を待った。そんな時代だ。

◆【実際の画像】デジタルサイネージ導入、プレミアムラウンジも大幅リニューアル! 新感覚のスタジアムに変身した東京ドームの全容(写真全13枚)

■オープン戦開幕前夜、東京ドームで行われたプレスツアー

振り返ると気が付かぬうちに、もう34年もの歳月が経っている事実に、少々愕然としないこともない。時代は21世紀に変わり、その間にインターネットが登場し、携帯電話が普及した後にスマホに姿を変え、鉄道の改札から切符が消え、クルマは自動化、電動化に向かっている。ソビエト連邦は崩壊、ベルリンの壁も消滅し、世界平和の到来を予見させたが、いまやロシアがかつての盟友ウクライナに侵攻、新型コロナ・ウイルスによる席巻もやまず、想像だにしなかった世界が目の前に広がる。なるほど、東京ドームが老朽化してもおかしくない

プレスツアーにはDAIGOもレポートに訪れていた(C)SPREAD編集部

そんな次第で、オープン戦開幕前夜、この34年でもっとも大きなリニューアルが施された東京ドームに足を運んで来た。プレスツアーで取材班を驚かせたのは、まずはそのエントランス。正面となる22番ゲートから通されると、そこにはパナソニック製の顔認証システムが導入されていた。

パナソニックと東京ドームは昨年3月から関係者を対象とした実施実験を継続、マスク装着の状況でも99%以上の精度が確認されたため、今月25日から運用を開始する。もちろん、事前登録が必要ではあるものの、これによりチケット購入から入場まで顔認証で通過することが可能となり、東京ドームをまさに「顔パス」で使用することができる。巨人ファンにとっては、「鼻が高い」自慢のネタになりそうだ。

売店での顔認証システム、左下のスクリーンが認証端末(C)SPREAD編集部

顔パスで22番ゲートを入ると、今度はちょっとしたテーマパーク入口かと思わせるデジタルサイネージで彩られていた。正面に設置された6.5×3メートル1枚、5×3メートル2枚の大型LEDディスプレーに加え、そのスクリーンに向かって天井に敷設された16本のLEDの演出により、まるで東京ディズニーランドのスペースマウンテンに搭乗するかのような近未来感が演出されていた。巨人ファンなら、今季中に一度は22番ゲートからの入場をオススメしたい。また巨人ファン専用ゲート25番でも9×2.5メートルの大型ディスプレーが出迎えるため、まだ新・東京ドームに足を運んでいないファンは、ぜひご照覧を。

また場内のコンコースには約260台のデジタルサイネージが導入された。これにより、売店やトイレに席を外し、勝利への決定的瞬間を見逃す……などというオチも大幅に減るに違いない。

■国内スタジアム最大級となったLEDメインビジョン

それでもやはり今回のリニューアルの目玉は、単体面積としては国内スタジアム最大級となったフルカラーLEDメインビジョンだろう。横幅は125.6メートル、面積にして1050平方メートル。以前、238平方メートルだったビジョンと比べ4.4倍の面積。SMD方式の画素ピッチ10mm、解像度は最長部で12,560×750pixを誇る。ソニーマーケティングが開発したスタジアム専用アプリにより4Kまでの素材に対応可能とか。実際にホームプレートからの撮影に挑んだ某スポーツ紙カメラウーマンから「キレイ〜」と賞賛の声が上がったほどだ。これに加え、外野両翼には2面合計で107メートルにもなるリボンビジョンも設置。メインビジョンとシンクロし、これまでにない視覚体験を提供する。またスタジアム内の証明もDMX連動によるLED制御システムが導入され、ビジョンと証明の連動も可能になった。

VIPルームの豪華な食事(C)SPREAD編集部

また、ファンを迎え入れる客席もその多くがリニューアルされている。28室ある法人向け年間契約VIPルーム「THE SUITE TOKYO」がフルリニューアル。巨人、野球殿堂博物館との協力により、その通路を通り抜けるだけに「栄光の巨人軍」の歴史を垣間見ることができる。このVIPルームは、これまで見劣りすると思われていたMLBのそれと比較しても遜色ない仕上がり。これまでフェンウェイ・パーク、旧ヤンキー・スタジアムリグレー・フィールドターナー・フィールドセーフコ・フィールド(現T-モバイル・パーク)などなどにスタジアム取材で訪れて来た経験からも保証したい。

やはり、食いしん坊として評価したいのは、プレミアムラウンジ・ビュッフェのリニューアル。ラウンジは上品に様変わりし、そのメニューにもさらに力が入っている。シェフのオススメは、ローストチキン、豚のメキシカンロースト、小鰯のロースト。このラウンジにはかつてお世話になった経験もあるのだが、ヤクルト・ファンの私としても、なんとか試合日にこのラウンジに招待してもらえないものかと、舌なめずりするしかない。

プレミアムラウンジのビュッフェ(C)SPREAD編集部

他にもスカイテラス、サードプラチナボックス、マスカパナ、クラフトカウンターの新設、ダイヤモンドボックス増設、JCBバックスクリーンクラブ専用ラウンジの改装が加えられているため、われわれ庶民でも記念日などの折には、ぜひ活用したいところだ。

また、時代の潮流に合わせ、エントラスでも活用された顔認証システムが5カ所の売店でも導入されている他、シートにいながらにしてすべてキャッシュレス対応が施されており、ビールを片手に会計し、小銭をフロアにばらまけてしまう……というような粗相もなくなることに。

今季は巨人戦に東京ドームで新体験……などという会話がファンの合間でなされるに違いない。

◆東京ドームが1988年開場以来の大規模リニューアル完了 オープン戦に向けプレス内覧会

◆ファーム2冠の巨漢大砲や“ゴジラの後継者”に期待 2022年のブレイク野手候補一覧

◆昨季MVPハーパー、巨人入り希望 労使交渉難航 SNSで「話し合おう」

著者プロフィール

たまさぶろ●エッセイスト、BAR評論家、スポーツ・プロデューサー

『週刊宝石』『FMステーション』などにて編集者を務めた後、渡米。ニューヨーク大学などで創作、ジャーナリズムを学び、この頃からフリーランスとして活動。Berlitz Translation Services Inc.、CNN Inc.本社勤務などを経て帰国。

MSNスポーツと『Number』の協業サイト運営、MLB日本語公式サイトをマネジメントするなど、スポーツ・プロデューサーとしても活躍。

推定市場価格1000万円超のコレクションを有する雑誌創刊号マニアでもある。

リトルリーグ時代に神宮球場を行進して以来、チームの勝率が若松勉の打率よりも低い頃からの東京ヤクルトスワローズ・ファン。MLBはその流れで、クイーンズ区住民だったこともあり、ニューヨーク・メッツ推し。

《SPREAD》
page top