
MLBは新労使協定の合意に至らず、今月からロックアウトに突入。選手会側も球団側も新たな交渉が全面的に禁じられているため、新天地が決まらないまま年を越す選手が多数生まれている。その影響は日本、韓国などアジア球界にもじわりと波及。ロックアウト解除後も混乱が続くと予想されるMLBを出て、海外を目指す動きが活発化する可能性も指摘されている。「CBS Sports」などの米メディアが、2021年の移籍市場を分析している。
◆鈴木誠也や千賀滉大だけじゃない 米専門サイトが将来のMLB挑戦を期待する5選手
■ロックアウト解除後も混乱続く可能性
28日、巨人がルビー・デラロサ投手、C.C.メルセデス投手、チアゴ・ビエイラ投手、ゼラス・ウィーラー内野手と来季の支配下選手契約を結ぶことで合意したと報じられた。ビエイラに対しては、MLB公式サイトが10月、「メジャー5球団が関心を持っている」と伝えていたが、移籍情報などを扱う「MLB TRADE RUMORS」によると、「ビエイラはロックアウトが明けると同時に契約を求めて殺到する他の投手と競争するよりも、慣れ親しんだ環境に留まることを望んだのかもしれない」と、巨人残留の意図に触れた。
ロックアウト解除後も不確実性が残るメジャーより、日本や韓国に目を向ける選手は増えているようだ。「CBS Sports」は先日、「メジャーで6シーズン活躍したリオ・ルイスとニューヨーク・ヤンキースで16試合に出場したクリス・ギッテンスが、アジアのチームと契約した(ルイスは韓国・LGツインズ、ギッテンスは楽天)。そのほか、ヤシエル・プイグ(韓国・キウム・ヒーローズ)、フレディ・ガルビス(ソフトバンク)、イバン・ノバ(韓国・SSGランダース)ら海を渡る選手が続出している。元ピッツバーグ・パイレーツのトッププロスペクト、グレゴリー・ポランコも日本での契約に近づいているとの報道もある」と伝えた。
■実績あるボランコの日本行きはあるのか
記事は日韓へ向かう理由として、ソフトバンクに加入するガルビスの場合は「2シーズンで最大600万ドルという、メジャーで受け取ることができる金額よりもかなり高いサラリーを得ることができる契約にサインした」と推測し、安定性を選んだと指摘した。
ただ、日本行きが噂されているボランコについては、MLB関係者も「(理由について)どう説明したらいいのか分からない」とこぼしたという。ロックアウト解除後にはメジャーとの契約が確実視される選手さえもアジアを選択することに戸惑いもあるようだ。
しかし、韓国へ移籍するプイグは性的暴行スキャンダルがネックとなり、メジャーでの契約に苦労。そのほか、すでにアジア行きを決めた選手たちについても「ロックアウトがあろうとなかろうと、米国を離れていたタイプ」と記事は評した。
「通常のシーズンとあまり変わらない。ロックアウトで米国の移籍が静かなためアジア行きの選手が目立つだけ」という選手代理人らの指摘もあるが、新労使協定の締結が先延ばしされると、今後は思いもよらぬ大物選手のアジア行きが実現する可能性も否定できないようだ。
◆ソフトバンク新加入のガルビス 米では「ちょっとしたサプライズ」と驚きも
◆なぜ鈴木誠也の評価は米国で高騰するのか 現地の声や成績面から見えた“真の強み”とは
◆秋山翔吾はなぜ米国で苦戦するのか 打撃データが物語る「明白すぎる課題」
文・SPREAD編集部