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5日の交渉で、「オプトアウト」付きの5年契約を結んだソフトバンクの千賀滉大は、国内フリーエージェント(FA)権を行使せず、ひとまず残留を選んだ。
ただ、順調にいけば来季中には海外FA権を取得する見込みで、取得した場合、来年オフにも選手側が自らの意思で契約を破棄できる「オプトアウト」を使い、メジャー挑戦が可能になる。この契約について、米メディアも反応。「健康を維持して好投を続ければメジャー移籍は容易」と指摘した。
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■来季中に海外FA権取得の見込み
メジャーリーグの移籍情報を扱う「MLB Trade Rumors」は、「コウダイ・センガ、ソフトバンクホークスとの新契約で2023年のオプトアウトが可能に」という見出しを掲げ、千賀の動向を報じた。記事は「この契約には2022年のシーズン終了後にセンガがホークスを退団し、メジャーの球団と契約することを認めるオプトアウト条項が含まれている」と記し、来オフの米挑戦が可能になったと指摘した。
さらに、千賀が以前から「メジャーで自分の力を試したい」と公言していることを伝え、今回ソフトバンクと新契約を結んだ後も「その考えは変わっていません。選手としては常に上を目指していくことが大切です」というコメントも掲載した。
今季の千賀は4月に左足首の靭帯を損傷し、長期離脱。フル稼働できなかったものの13試合(84回2/3)を投げて10勝(3敗)。防御率2.66、奪三振率26.47%、与四球率7.94%を記録した。この成績について、記事は「センガが今季終盤に見せた好調な仕上がりは、健康状態に対する疑問を払拭するものだ」とし、「来年も健康を維持して好投を続ければ、センガは次のオフシーズン、メジャー各球団から複数年契約を勝ち取るのに苦労しないはず」と結んだ。
■コロナやロックアウトも懸念材料
ただ、大局的な問題として「パンデミックの状況や次のMLB労使協定がどうなるか。それが、センガの最終的な決断に影響することは間違いない」とし、選手を取り巻く社会情勢にも注視が必要という見解を示した。
楽天の田中将大投手も「オプトアウト」の付いた契約だったため、ニューヨーク・ヤンキース復帰もささやかれていたが、楽天残留を選択。これについて、米地元紙「ニューヨーク・デイリー・ニュース」は、決断の背景には新労使協定を巡るロックアウト突入と、それに伴う契約交渉の中断があり、先の見通せない状況が楽天残留に向かわせたと分析した。
今季海外FA権を取得した巨人・菅野智之投手も残留を表明。「CBS Sports」などは「ロックアウトがなければメジャーに挑戦していたかもしれない」と報じ、楽天・田中同様、すべての交渉がストップするロックアウトの少なくない影響に言及した。
千賀は来年の今頃、何の気がねもなくメジャー挑戦を表明できるのか。社会情勢も重要なファクターになりそうだ。
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文・SPREAD編集部