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2021年シーズンが終了したプロ野球だが、注目のMVPや新人王は15日の「NPB AWARDS 2021」で発表される。今季は両リーグともに新人選手の活躍が目立ち、中でもセ・リーグの新人王争いは近年稀に見る激戦となっている。
日本一に貢献したヤクルト・奥川恭伸、史上4人目の新人3割20本を達成したDeNA・牧秀悟、規格外のパワーで前半戦の顔役となった阪神・佐藤輝明など、好選手たちが候補となっているが、年間通じてピカイチの活躍を披露したのが、広島・栗林良吏だ。
ルーキーながらクローザーという大役をこなし、東京五輪でも侍ジャパンの金メダル獲得に貢献。ここでは25歳の右腕が残した抜群のスタッツなどを振り返りたい。
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■スタッツ面でも新人離れ
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2021年の主な抑え投手の成績(セ・リーグ)
プロ入り前は先発投手として評価され、即戦力として広島に入団した栗林は、開幕前にクローザー起用が決定すると、開幕第2戦でプロ初セーブを記録。その後は22試合連続無失点と圧巻の投球で、前半戦終了時の防御率は驚異の0.53だった。
東京五輪でも守護神として5試合で2勝3セーブを記録し、胴上げ投手に。シーズン再開後も大崩れすることなく、最終成績は37セーブ(新人歴代1位タイ)、防御率0.86、セーブ機会での失敗なしでプロ1年目を完走した。
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2021年の主な抑え投手の成績(セ・リーグ)
スタッツ面でも栗林の残した数値は秀逸だ。セ・リーグの主な抑え投手と成績を比較すると、被打率.135、被長打率.170はトップ。奪三振率13.93も群を抜いている。
他投手と比較すると与四球がやや目立っているが、「安打を許さず、三振を奪える」栗林の強みがこの不安要素を打ち消した格好だ。接戦での登板が常のクローザーにとって、この“危機回避能力”がもたらす恩恵は大きい。
■懸念は2年目のジンクスか
チームは4位でクライマックスシリーズ進出を逃したが、63勝のうち37セーブをマークした栗林の存在なしでは、さらに低迷した可能性も否めない。五輪期間も含めた通年での安定感と、スアレスやR.マルティネスといった“名クローザー”にも引けを取らないスタッツ面を考慮すれば、新人王争いの本命と考えるのが自然だろう。
抜群の結果を残したがゆえの不安を挙げるとすれば、2年目のジンクスを打ち破れるかという点になるかもしれない。かつて、広島では小林幹英や永川勝浩が“ルーキー守護神”として鮮烈なデビューを飾ったが、翌年は大きく成績を落としている。
53登板で848球を投じフル回転した疲労を、今オフにどれだけ取り除けるか。抜群のマウンド度胸で守護神の座を射止めた栗林にとっては、真価を問われる2年目が待っている。
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文・SPREAD編集部