【ラグビー】日本代表がスコットランドとW杯以来の再戦へ 勝利の鍵は“規律とロー・スコア” | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ラグビー】日本代表がスコットランドとW杯以来の再戦へ 勝利の鍵は“規律とロー・スコア”

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【ラグビー】日本代表がスコットランドとW杯以来の再戦へ 勝利の鍵は“規律とロー・スコア”
  • 【ラグビー】日本代表がスコットランドとW杯以来の再戦へ 勝利の鍵は“規律とロー・スコア”

ラグビーの「オータム・ネーションズ・シリーズ2021」が面白い。南半球からニュージーランド、南アフリカ、オーストラリア、アルゼンチン、トンガ、フィジー、ウルグアイ、さらにはジャパンとジョージアが欧州に遠征し、シックス・ネーションズの国々と試合をするのだから、面白くないはずがない。さながらミニ・ワールドカップのようで、伝統あるスタジアムに満員の観客を集めている。

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■初戦は絶好調のアイルランドに完敗

残念なことにジャパン・チームは精彩を欠いている。6日のアイルランド戦は、9トライを奪われ5-60と完敗した。しかも、この日100キャップを迎えた相手キャプテンのジョニー・セクストンが自らトライをあげると、アビバ・スタジアムを埋めた5万人の大観衆がスタンディング・オベーション。大きな屈辱も経験した。

それにしても、アイルランドは絶好調だ。翌週にはオールブラックスに29-20と競り勝った。この試合は両チームの闘志が激突した、年間最高試合ともいえる好ゲームだった。主戦がそろったアイルランドは、これでテストマッチ7連勝。21日にはアルゼンチンと対戦する。

■ジャパンはエディンバラでスコットランドと対戦

ジャパンはシリーズ最終戦となるスコットランド戦の前にワールドランキング19位のポルトガルと対戦した。ここは実力差を見せつけて初戦の鬱憤を晴らすかと思われたが、試合は一進一退の展開。31-25と6点リードで迎えた77分には、ゴール下にゴロパントを蹴り込まれ、あわやトライというシーンまで作られた。最後は山中亮平の独走トライで38-25と面目を保ったが、冷や汗ものの一戦だった。

最終戦となるスコットランド戦は20日に行われる。ポルトガル戦ではセンター起用で機能した中野将伍がそのまま13番で先発出場するほか、姫野和樹をFLからNO8に戻し、松島幸太朗がWTBで先発出場する。現時点では、この布陣が最もフィットしそうだ。

スコットランドはオーストラリアをシーソーゲームの末、15-13で下した試合が光る。現在はワールドランキング7位だが、トップレベルにあることを証明した。ジャパン戦は、あのワールドカップの敗戦以来。本拠地マレーフィールドでのリベンジに燃えるだろう。

ジャパンに勝機があるとすれば、規律を守ってロースコアに持ち込むこと。キックが好調の松田力也のPGで得点チャンスを確実に生かしたい。今年のテストマッチは、ここまで1勝4敗。なんとかいいかたちで締め括りたい。

■2019WC決勝の再現、イングランドと南アが激突

アイルランドと並んで好調なのがイングランドだ。初戦でトンガを69-3と粉砕すると、2戦目にはオーストラリアも32-15とねじ伏せた。勝利の原動力となっているのは、SOのマーカス・スミス(22歳)、FBのフレディー・スチュワート(20歳)、PRのベヴァン・ロッド(21歳)などの若いメンバー。2年後のフランス・ワールドカップがしっかりと視野に入っている。

特に、スミスにSOをまかせ、キャプテンのオーウェン・ファレルをセンターに置く布陣が機能している。さらに2019ワールドカップでブレイクしたサム・アンダーヒルトム・カリーの第3列もチームの主軸に成長した。最終節の南アフリカ戦は、2019ワールドカップ決勝のリマッチとなる。

一方の南アフリカも好調だ。特にフォワード第1列がすごい。先発出場の3人が世界トップの3人なら、後半に交代出場する3人はさらに強いと言われる。そこに2メートル越えがズラリとそろうロック陣、機動力がある第3列と手がつけられない。

イングランドとしては、スクラム、ラインアウトなどのセットプレーを減らして、ボールキープ率を上げることが鍵。素早い展開からディフェンスのギャップを見つけて前に出たい。それに対して南アはキックで前進してプレッシャーをかけてくるだろう。戦術を立てやすい南アがやや有利とみるが、本拠地トゥイッケナムのファンがそれを阻止するか。いずれにしても、激しい試合が期待できる。

■次回WCホスト国、フランスの奮起に期待

最後に、個人的に最も注目しているフランスに触れたい。アントワーヌ・デュポンは世界トップクラスのSHに成長し、今シリーズでは新主将に抜擢された。そして、ケガで休んでいたSOのロマン・ヌタマックが戻って、生きのいいハーフ団が相手を翻弄するはずだった。

しかし、蓋を開けてみると、SOにはヌタマックが休んでいる間にポジションを取ったマシュー・ジャビエルがそのまま起用され、ヌタマックはセンターでの先発となった。所属するトゥールーズではセンターで出場することもあるが、ワールドレベルのアウトサイドセンターとしては線が細い。結局、ライン攻撃に迫力を欠き、アルゼンチン戦は29-29のドローに終わった。

2試合目のジョージア戦では一転してバックス攻撃が躍動し、6トライを奪って41-10と完勝した。これが単なる実力差なのか、修正されて本来の力を発揮したのか、今週のオールブラックス戦で試されることになる。この顔合わせは、2023年WCの開幕戦のカードでもある。こちらも目が離せない一戦だ。

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著者プロフィール

牧野森太郎●フリーライター

ライフスタイル誌、アウトドア誌の編集長を経て、執筆活動を続ける。キャンピングカーでアメリカの国立公園を訪ねるのがライフワーク。著書に「アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅」「森の聖人 ソローとミューアの言葉 自分自身を生きるには」(ともに産業編集センター)がある。デルタ航空機内誌「sky」に掲載された「カリフォルニア・ロングトレイル」が、2020年「カリフォルニア・メディア・アンバサダー大賞 スポーツ部門」の最優秀賞を受賞。

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