【香港チャンピオンズデー/穴馬アナライズ】スプリントはヒモ荒れ狙い、QE2世Cは少点数勝負 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【香港チャンピオンズデー/穴馬アナライズ】スプリントはヒモ荒れ狙い、QE2世Cは少点数勝負

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【香港チャンピオンズデー/穴馬アナライズ】スプリントはヒモ荒れ狙い、QE2世Cは少点数勝負
  • 【香港チャンピオンズデー/穴馬アナライズ】スプリントはヒモ荒れ狙い、QE2世Cは少点数勝負

先週の皐月賞は2番人気のエフフォーリアが勝利。昨年のコントレイルに続き、2年連続で無敗の皐月賞馬が誕生した。


順調であればエフフォーリアは日本ダービーに駒を進めるわけだが、グレード制導入後、無敗の皐月賞馬の成績は不出走を除けば6頭中5頭が二冠馬に輝いている。勝ち馬に共通している点は皐月賞からの継続騎乗であり、唯一敗れた2019年サートゥルナーリアはルメール騎手から日本ダービーではレーン騎手に乗り替わっていた。このままエフフォーリアも乗り替わりがなければ、無敗の二冠馬の誕生をデータが後押しすることになる。5月30日の大一番を楽しみに待ちたい。


さて、高松宮記念から4週連続で続いたJRAのGI開催は、今週末ひと休み。しかしその一方で、海の向こうの香港・シャティン競馬場では香港チャンピオンズデーが行われる。このうち、日本馬はクイーンエリザベス2世Cに4頭が、チェアマンズスプリントプライズには1頭が出走予定だ。今回は海外馬券も発売されるこの2競走の注目馬をピックアップしてみたい。


◆【クイーンエリザベス2世C】少点数勝負、日本馬4頭で最上位に評価すべきはアノ馬


■ダノンスマッシュ一強も、地元勢が虎視眈々 足下をすくわれるシーンも一考か


まずは5Rに行われるチェアマンズスプリントプライズ(芝1200m、日本時間15時50分発走)から。


注目は何と言っても唯一日本から参戦するダノンスマッシュだろう。長らくGIタイトルに手が届かなかった同馬だが、2走前の香港スプリントで待望のGI初勝利。“短距離王国”の香港で、父ロードカナロアに続き史上2頭目となる日本馬による同競走制覇は、国内外に鮮烈なインパクトを残した。そして前走の高松宮記念では先に抜け出したレシステンシアをゴール目前で捕らえ、ふたつ目のGIタイトルを獲得。GI連勝の勢いに乗り、香港スプリント界の完全制圧を狙う。


激戦の疲れも見せず、この中間はすこぶる順調な様子。21日に現地で行われた最終追い切りでは今回初タッグを組むこととなるJ.モレイラ騎手を背に、芝コースで軽快な脚捌きを披露。状態万全、実績のあるコース、名手モレイラと三拍子揃う今回は、最有力候補であることは間違いないだろう。ただ重箱の隅をつつくとすれば、比較的気楽な立場で臨んだ昨年末とは違い、一強ムードであることが気がかり。地元香港勢が同馬に“包囲網”を敷くようであれば、小さな不利が結果に直結するスプリント戦だけに、取りこぼすケースまで頭の片隅には置いておきたい。


対する地元香港勢は抜けた存在がおらず、かつ実力拮抗のメンバー構成だ。と言うのも、昨年の覇者であるミスタースタニングはそのまま引退し、昨年の香港スプリントでダノンスマッシュと人気を分け合ったホットキングプローンやクラシックレジェンドは今回出走せず。ここに至るまでの前哨戦の結果も二転三転した結果、レーティング113から110の間に10頭もがひしめき合う状態となっている。


大将格はウェリントンか。重賞初挑戦となった前走のスプリントCでは中団追走から、直線でジリジリと伸びて5着。1番人気に応えることができなかった。重賞の壁に跳ね返された形だが、軽ハンデだったとは言え2走前の勝利した際に見せた脚力は目を見張るものがあり、相手関係もホットキングプローンやコンピューターパッチなど決して楽ではなかった。さらに伸び盛りの4歳ということに加えて自身2度目のグレードレースで慣れが見込める今回、このメンバーなら地元最有力と言っていいだろう。


この他、スプリントCでは先行策からあわやのシーンを演出した3着ビューティーアプローズ、直線では馬群を縫うようにして上がってきた2着ストロンガー、大外か鋭く伸びてきた4着ウィッシュフルシンカー、昨年の香港スプリントで2着だったジョリーバナーまで押さえたい。


■日本馬上位独占も十分 馬券は少点数に絞って分厚く


メインのクイーンエリザベス2世C(芝2000m、日本時間17時35分発走)は8Rに組まれており、コロナウィルスの関係で欧州勢の遠征はなく日本馬4頭、香港馬3頭の計7頭によって争われる。


スプリント同様、ここも日本馬が中心となりそうだが、最右翼はラヴズオンリーユーとしたい。2019年のオークスを無敗で制した後は勝ちきれないレースが続いたが、今季は京都記念で約2年ぶりの勝利を飾ると、初の海外挑戦となった前走・ドバイシーマクラシックでは僅差の3着。同レースでは、直線でクロノジェネシスとやり合うシーンが見られただけに、スムーズなら勝ち負けしていたかもしれないと思わせるほどだった。海外連戦となるが、水曜の最終追い切りではキビキビとしたフットワークを見せ、高いレベルでの好調維持をアピール。本格化を思わせる今なら、戴冠まであっていい。


相手はデアリングタクト。昨年は中央競馬史上初となる無敗の牝馬三冠を成し遂げたが、今年初戦の金鯱賞で僅差の2着に敗れている。ここ2戦は黒星が連続しているが、2走前のジャパンCはさすがに相手が悪く、前走は馬場状態と、いずれも敗因は明確であり悲観するほどの内容ではない。今回は負けなしの右回りに変わり前進も期待できるが、初の海外遠征というだけあって、人気の中心になるようであればほんの少しだけ割り引いて考えてみたい。


3番手はグローリーヴェイズ。2019年の香港ヴァーズでGIを勝利しているように海外遠征、シャティン競馬場への適性は十分だが、重賞での勝ち鞍はすべて2400m戦。2000mへの対応力は前述2頭のほうが上回ると見て、今回はこの序列とした。


地元勢はフローレが出走取りやめとなったため、マークするのは昨年の勝ち馬エグザルタントくらいでいいだろう。ただ今シーズンは5戦して2着4回、3着1回と勝ちきるまでに至らず、年齢的にピークを越えた感も。馬券の本線には不要で、あくまで相手レベルに留めておいていいのではないか。


スプリントとは違い、こちらは紛れの少なそうな少頭数戦。馬券では点数をなるべく抑え、1点あたりに厚く張りたいところだ。


◆クロノジェネシス 秋に凱旋門賞挑戦も 宝塚記念ではコントレイルと初対戦の可能性


◆【香港QE2C】キセキ C.スコフィールド騎手「コンディションは完璧」


◆【香港QE2】ラヴズオンリーユー「日本にいるときと変わりません」


▼UMAJINチャンネル「必勝!岡井塾ーフローラS マイラーズC編」


著者プロフィール


山田剛(やまだつよし)●『SPREAD』編集長アスリートの素顔を伝えるメディア『SPREAD』の編集長。旅行・アウトドア雑誌のライターを経て、競馬月刊誌「UMAJIN」の編集長として競馬業界へ。その後、Neo Sports社にて、「B.LEAGUE」「PGA」「RIZIN」等のスポーツ×ゲーミフィケーション事業に携わり、現在に至る。競馬は、1995年マイルCSの16番人気2着メイショウテゾロの激走に衝撃を受けて以来、盲点となる穴馬の発掘を追求し続けている。

《SPREAD》
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