【THE INSIDE番外編】全日本バレーボール大学男女選手権大会〈前編〉…概論 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE INSIDE番外編】全日本バレーボール大学男女選手権大会〈前編〉…概論

オピニオン コラム
試合前に声を掛けあう筑波大
  • 試合前に声を掛けあう筑波大
  • コートを駆ける日体大選手たち
  • 京都橘大選手たち、右端は藤田幸光監督
  • 試合前の中国学園大、11番は則末美穂さん(3年・岡山理大付)
  • 尚絅学院大の試合前のアップ
  • 神戸親和大のレシーブ
  • 石川君(右)に注目が集まる中央大
  • 早稲田大選手たち
年末になると、大学スポーツは各地区(連盟)でのリーグ戦から、選手権大会のインカレの季節となる。インカレとは「インターカレッジ(intercollege)チャンピオンシップ(Championships)」である。

つまり、大学間の選手権試合ということになるのだが、ことにバレーボール、バスケットボール、ハンドボールなどのインドアスポーツではよく用いられている言葉でもある。もちろん、ラグビーの全国大学選手権大会や全日本サッカー選手権大会もインカレであり、アメリカンフットボールの甲子園ボウルのように、王座決定戦という呼称で呼ばれている試合もインカレである。野球で言えば、全日本選手権と秋の明治神宮大会もインカレと言っていいであろう。

それでは、カレッジとユニバーシティーの違いは何かと問われると、カレッジとは一般的には単科大学で、ユニバーシティーは総合大学ということになる。ところが、現在では複数の学部を有する場合はほとんど英語表示としてはユニバーシティーとなっているようだ。

そうなると、そもそも「インカレ」という言葉自体がほとんどの出場校に即さないものになっているのではないだろうかという気もしないでもない。とはいうものの、現在のところでは、一般的には学生スポーツの選手権はインカレで統一されているので、インカレという呼称にしておこう。

中京大、試合前のパフォーマンス

現実に、11月27日から東京都の大田区総合体育館をメインに開催されていた全日本バレーボール大学男女選手権大会(男子は第70回、女子は第64回大会)も英字表記としては「All Japan Intercollegiate VOLLEY BALL Championships 2017」となっているので、「インカレ」が一般的なのである。

そのバレーボールのインカレを訪れてみた。男女それぞれ64校ずつが出場している。ここ数年は、男女分離開催で開催地も東西に分かれていたのだが、今年は男女同時開催で東京に集約された。

男子は関東勢が圧倒的に強く、2002(平成14)年の第55回大会以降、決勝進出はいずれも関東学連の学校である。1998年から4大会連続で関西学連の大阪商業大と近畿大が決勝進出を果たしてはいるが、関東学連勢以外の優勝となると、1978(昭和53)年の大阪商大まで遡ることになる。

大学男子バレーボールは、それくらいに東高西低になっているのだ。今年も、ベスト16に残ったのは関東学連が10校、関西学連が3校、他には中国学連で東亜大と福山平成大、東海学連の大同大という顔ぶれだった。さらに、ベスト4はすべて関東勢で秋季リーグ1位の早稲田大、4連覇を狙う中央大、昨年の準優勝校・東海大に筑波大が残った。

東北福祉大の選手たち。左端は佐藤伊知子監督

これに対して女子は、昨年も九州学連の鹿屋体育大が3年ぶり3度目の優勝を果たしており、3年前の61回大会では福岡大が決勝進出を果たしている。また、過去には東北福祉大や中京大も優勝しており、武庫川女子大や中京女子大(現至学館大)、第一幼児教育大といったところも決勝進出を果たしており、比較的勢力構図も分散しているという印象だ。

今大会でも、ベスト16には関東勢が6校だが、秋季リーグ1位校の東海大は同じ関東で10位の松蔭大に敗退、6位の日本女子体育大も初戦で中京大に敗退している。関西勢は4校、九州勢は3校がベスト16に残り、他には東北学連の東北福祉大、東海学連の中京大、中国学連の広島文化学園大が残っていた。さらに、ベスト4には連覇を狙う九州学連の鹿屋体育大に昨年の準優勝校筑波大はじめ、嘉悦大と青山学院大の関東リーグ2位~4位の学校が残った。

バレーボールは1954(昭和39)年の東京オリンピック以来、五輪種目として定着し、特に世界でも勝てる球技ということで、日本でも、60年代から70年代は人気スポーツとして注目度も高くなっていった。当時の日本リーグの黄金カードはゴールデンタイムにテレビ放映されるということもあったくらいだった。

それから幾星霜を経て、多少のルール変更があったということもあろうが、世界のバレーボール構図が変わってきたことで、日本にとっては厳しい環境になってきたという事実は否めない。それでも、インドアスポーツとしての人気は高く、多くの熱心な観客も足を運んでいた。男子では、中央大に石川祐希君(4年・星城)と、大竹壱青君(4年・東亜学園)という、日本代表候補がいるということもあって注目度も高い。

石川君(右)に注目が集まる中央大

これに対して女子は、世代のトップレベルの選手は高校から直接Vリーグチームに入団するというケースが多い。それだけに、大学女子は必ずしも世代トップ選手たちということではないかもしれない。それが、地域の分散化にもつながっているとも思えるのだが、それだけに試合そのものは競り合いも多い。

それに、東海地区で高田短期大の秋津修監督(前・津商監督)、関東地区で江戸川大の伊藤博義監督(前・市立川越監督)と、高校バレーの指導者として一時代を築いた指導者も注目だ。また、京都橘大の藤田幸光監督、東海大の藤井壮浩監督といった、かつての日本リーグのスター選手たちが指導者となっているというケースもあって、そういう発見の面白さもあった。
《手束仁》

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