茨城県は首都圏からのアクセスもよく、日帰りでも敢行できるロケーションが多い。ところが東日本大震災や豪雨被災で観光産業にダメージを受けた。特に震災では関東の中で被害が最も大きかったエリアだ。現在は道路に亀裂が生じたり路肩が崩壊した霞ヶ浦自転車道はすべて復旧工事が終わり、安心してサイクリングできるまでに回復している。
ようやく日常風景を取り戻した茨城県は、自治体も協力して自転車愛好家が気持ちよくサイクリングできる環境作りを進めている。県は助成金などを投入してその巻き返しを図る。白羽の矢が立ったのがサイクリングだ。交通量の少ないのどかなルート、山岳の要素が強いコースなどが自由に取れるのが同県の魅力であり、おいしい食べ物や温泉なども意外とある。

サイクリストのために新しい信号を整備
まずは環境整備。廃線跡を利用した「つくばりんりんロード」では、一般道と交差するポイントで注意を喚起する車止めを設置。霞ヶ浦の湖岸道路には路面に自転車の安全通行をうながすペイントを描く工事が進んでいる。さらには「りんりんロード」と霞ヶ浦をつなぐ土浦市街地の自転車コースを整備。これまで以上に安全に走れるように工夫している。
自転車を活用した観光スタイルに着目し、公的資金を投入して参加費をオトクにした旅行会社のツアーも支援している。観光バスのトランクルームに自転車を固定する専用キャリアが搭載された「サイクリングバスツアー」が代表的で、茨城ののどかなサイクリングコースとかなり厳しい山岳ルートをバランスよく配分したコースが人気。

霞ヶ浦周辺には店頭にサイクルラックを設置
売店やコンビニなどには、快適なサイクリングをサポートする「サイクルステーション」が設けられているところがある。スタンドのないスポーツ自転車を駐輪するためのサイクルラックが置かれ、空気入れや工具の貸し出しも行われる。途中でパンクしてもパンク修理キットを携行していれば自分で修理してサイクリングを続けることができる。
これからはサイクリングのベストシーズンとなる。「つくばりんりんロード」の桜並木はヤマザクラで、開花時期が長く4月いっぱいが見ごろ。一度、茨城県を自転車で訪ねてみよう。