帝京大33(14―14/19―12)26東海大
■帝京大は8大会連続優勝
学生スポーツは、毎年メンバーが入れ替わっていくことが当たり前だ。だから、同じチームが連続して勝ち続けることは至難でもある。そんな中、帝京大のラグビーは8年間連続で勝ち続けている。これは快挙といっていいであろう。
しかし、2年連続で同じ対戦となった今年の決勝は、東海大がキックオフ早々から相手陣内で攻めまくった。6分、17分と東海大がトライを重ね、ゴールも成功してリードを広げていく。
今季初めてといってもいい、帝京大の苦戦の展開だ。東海大の力のあるFWが押して行き、いずれもスクラムから2本のトライを奪ったのだ。
ラグビーはコンタクトゲームで、相手の重さやスピード、パワーがもろに自分たちに跳ね返ってきて、それをどう受け止めるのかというところから始まる。
力の拮抗した同士の場合によく言われるのが、「ファーストスクラムの感触で、この日の試合が行けるかどうかがわかる」ということだ。この日のファーストスクラムは、開始すぐの23秒に帝京大陣の22mライン内で行われた。そこで東海大がぐいと押していた。
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帝京大と東海大のスクラム
見ている側としても、そのスクラムで「これはいい試合になるな」という感じは十分に伝わってきた。そして、その思いに十分に応えてくれた。
試合前の予想をはるかに超える東海大の攻撃力は、序盤で帝京大から2トライ&ゴールのリード。東海大の応援スタンドは「行けるぞ!」という思いで、番狂わせの予感を漂わせつつ、独特の緊張感が漂っていた。
ところが、やはり帝京大は勝負強い。30分過ぎて、やっとボールを支配し始めたかと思ったら、すぐに34分にSO松田力也君(4年・伏見工)のゴロパントがインゴールに転がると、NO8ブロディ・マクカラン君(2年・ハミルトンボーイズ)が抑えてトライ。さらに、39分にも快速CTBの矢富洋則君(3年・仙台育英)がラックからの左展開のボールをもらって左隅にトライ。いずれも難しいゴールも、松田君が決めて同点で前半終了。
それでも後半早々、東海大はバスインターセプトからSH湯本睦君(4年・東海大仰星)の40m近い快走でトライを奪い再びリード。しかし、帝京大も15分に矢富君が返して再び同点。それでも、東海大はまだこの試合でリードを許していなかった。
まだ勝負はわからない、と思っていた矢先、23分に帝京大は左サイド攻撃から右展開してRW吉田杏君(3年・大阪桐蔭)のトライでついにリード。さらに、28分にも今度はLW竹山晃暉君(2年・御所実)が決めた。あっという間のリードである。
東海大は35分、持ち前のFWが最後の力を振りしぼってスクラムトライ。さらにチャンスを作って攻め続けたが、ついにノーサイド。あと一歩、及ばなかった。
「新春早々、いいものを見せてもらいました。自分のエネルギーにもなります」
「残念でした。惜しい試合でしたけれども、間違いなく来シーズンへつながるものだと思います」
「いや~、感動した。負けたけど、気分は爽やか」
そんな声が、東海大応援席のあちらこちらから聞こえてきていた。それくらいに、内容の充実した試合だったのである。そして、東海大にとっては見ている人にも、大いに勇気と希望を与えるものだったと言えよう。
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悔しさに倒れ伏す東海大
こうした試合をして、見ている人に感動を与えられていれば、2015年W杯での日本代表の健闘で火がついたラグビーの人気は、一過性のものではなくなっていくであろう。
かつてのラグビーブームを支え、人気の根幹となる学生がいい試合をしていくことで、ラグビー全体の底上げになる。そのことで、注目度がより一層上がっていき、メディアの扱いも大きくなることは間違いない。
その一方で、帝京大を走らせない、阻止するチームが現れてほしいという期待もある。その一番手が東海大なのだろうが、同じ対抗戦グループの中で、伝統校であり且つ人気もある早稲田大、慶応義塾大、明治大などが、レギュラーシーズンの中で一泡吹かせていくことにも期待したい。