日本自転車競技連盟の橋本聖子会長と同チームの大門宏監督が10月24日に東京のイタリア大使館官邸で記者会見を行い、その席上でプロジェクトの概要を明かした。
日本自転車競技連盟承認の新しい選手強化プロジェクト「ジャパンプロサイクリング」が2017年1月1日にスタートする。一般社団法人となるこのプロジェクト組織には橋本会長が理事長に就任した。まずはNIPPOヴィーニファンティーニがプロジェクトのベースとなる。愛三工業レーシングも協力し、2017年にはNIPPOヴィーニファンティーニに伊藤雅和と中根英登を派遣する。
「日本の自転車ロード界はどうしてこんなに各チームがバラバラなのか。その一方で、企業の力としては欧州と見劣りがしない。2020年東京五輪のために日本のチームが協力し合い、団結することで出場枠獲得・好成績を修められるはずで、日本選手一人ひとりの成長にもつながっていく」と大門監督。
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大門宏監督 (c) NIPPO Vini Fantini
日本勢が世界レベルで活躍するためにはこれまで以上に多くの主要大会に出場することが求められている。現状においては出場権を得られていない大会でも、日本の自転車競技を統括する連盟と国内企業チームが協力することでワンランク上の戦力構成が実現し、それにともなって主要大会への参戦を果たすことができる。これがプロジェクト構想の骨格となるようだ。
現在も海外の有力選手をチームに加えて、国内のJプロツアーなどで好成績を修めているチームもある。ところがこうした活動では五輪を含めた主要大会への出場枠獲得につながる「国際ランキングの浮上」が果たせないと大門監督は指摘する。
「日本の国際レースをはじめとしたアジアの大会で日本人がポイントを取ることが重要。このチームはそのためにイタリア選手がアシスト役となる。エースのダミアーノ・クネゴが日本選手にポイントを取らせるためにアシストをする(ことも想定できる)」
日本チームが一枚岩となって2020年東京五輪を目指さなくてはメダル獲得が難しい。NIPPOヴィーニファンティーニ単独では目指せる領域でないことは大門監督自身が一番理解している。
「趣旨に賛同してくれた愛三工業は一番強い2選手を派遣してくれた。2017年にこのチームがどんな葛藤に見舞われるかをしっかりと見てもらい、他チームも選手やスタッフを育成していく環境作りに協力してもらえれば」