【THE SPIKE】広島対日本ハム、初顔合わせの日本シリーズ…4つの見所 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【THE SPIKE】広島対日本ハム、初顔合わせの日本シリーズ…4つの見所

オピニオン コラム
SMBC日本シリーズ2016
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10月16日、パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで北海道日本ハムファイターズが福岡ソフトバンクホークスを4勝2敗で破り、日本シリーズ進出を決めた。

これにより2016年の日本シリーズは、先に25年ぶりの進出を決めていた広島東洋カープと日本ハムとの対戦となった。

昨年の日本シリーズ、ヤクルト対ソフトバンクと同様に、2年連続でリーグ優勝したチーム同士の対戦となる。広島は32年ぶり4度目、日本ハムは10年ぶり3度目の日本一をかけ、間もなく雌雄を決する時を迎える。

■日本シリーズ初顔合わせ

まず注目されるのが、日本シリーズ初顔合わせのカードであること。そして、互いにCSファイナルステージを劇的な勝利で勝ち上がってきた。

広島は驚異の粘りを見せるDeNAを勝利の方程式により1点差でかろうじて振り切り、日本ハムは4点差を逆転し、最後はクローザーとして登場した大谷翔平が、自身がもつ日本最速の164キロを更新する165キロをマークするなど圧巻の投球で劇的に締めた。


また、リーグ戦に目をうつせば、広島は25年ぶりの優勝で広島全体が異様な盛り上がりを見せ、日本ハムは最大11.5ゲーム差を逆転してリーグ優勝を決めるなど、互いに勢いに乗っている。この両チームが激突するのだから、おのずと好ゲームを期待してしまう。

ちなみに今季の交流戦では3試合対戦して、広島の2勝1敗。3試合とも2点差以内の接戦だった。

■大黒柱・大谷翔平の存在

今季、二刀流でさらなる飛躍を遂げた日本ハムの大谷翔平。CSファイナルステージ突破を決めた試合では3番DHでの先発出場だったが、9回にDHを解除しクローザーとしてマウンドへ上がった。リーグ戦では、投手として先発、打者としては1番打者で出場した試合で、先頭打者本塁打を放つ離れ業も見せた。

もはや大黒柱と言っても過言ではない大谷がいかに機能するかが、日本シリーズの戦いを大きく左右するはずだ。日本ハムの栗山英樹監督は、DHを解除してクローザーとしてマウンドに上げた采配について、「色々な意味で不安だった」「もう、そういうことはない」と話していたが、日本一をかけた試合の流れの中でいかなる指揮をふるうか注目が集まる。

シンプルに考えれば、10月22日に広島の本拠地マツダスタジアムで行われる第1戦の先発は大谷になるだろうか。仮にそうなり、かつシリーズが第6戦までもつれこんだ場合、大谷の2回目の登板が第6戦とも予想される。

マツダスタジアムで大谷が先発する試合では、必然的に“リアル二刀流”となるが、投げない試合ではDH制でないこともあり、代打としての待機となるか。

10月25日から3連戦を行う日本ハムの本拠地札幌ドームでは、リーグ戦で見られたようにDHでの出場か。いずれにせよ、栗山監督がいかなる二刀流プランを考案するのかが日本シリーズの勝敗を左右するひとつのポイントになりそうだ。クローザーとして、マウンドに上がることはあるのだろうか。


■戦いが広島から始まること

日本シリーズの戦いが、マツダスタジアムから始まることにも注目したい。今季、スタンドを真っ赤に埋め尽くした広島の大応援団。日本シリーズでも、その熱い応援がチームを鼓舞することに疑いの余地はない。

ファンが創り出す異様な空間が功を奏してか、今季の広島はホームで51勝20敗1分けの勝率.718と圧倒的な強さを見せる。ビジターでは38勝32敗1分けの勝率.543となっている。本拠地で連勝スタートともなれば、以降の戦いでも広島が勢いづくはずだ。特にCSの4試合で打率.833と大暴れしたトップバッターの田中広輔が出塁を重ねれば、チームが活気づくだろう。

しかし、本拠地に強いのは日本ハムも同様。日本ハムは今季、ホームで45勝24敗2分けの勝率.652だ。ビジターでは42勝29敗1分けの勝率.592で、つまり両チームともに本拠地での戦いに滅法強いのだ。

過去にこんな例がある。2003年の日本シリーズ、阪神対ダイエー(現ソフトバンク)の対戦は、全試合ホームチームが勝利するという史上初のシリーズとなり、“内弁慶シリーズ”とも称された。

しかし、仮に大谷が第1戦・第6戦に先発するようなことがあれば、それは両日ともにマツダスタジアムとなる。大谷が広島ファンの盛り上がりをも制圧するような圧倒的な投球を見せるようなことになれば、日本ハムが有利になるか。いずれにせよ、ホームで強さを見せる両チーム。互いにその牙城をいかに崩せるかが見ものだ。

■走行守でハイレベル、格調高き戦い

セ・リーグを独走し圧倒的な強さを見せた広島。ソフトバンクとのハイレベルな争いの末、パ・リーグ優勝を勝ち取った日本ハム。今季のチーム成績に目を向けると、両チームともに他チームを走行守すべてにおいて凌駕していた。以下は互いのチーム成績。

広島:打率.272/本塁打153本/盗塁118/得点684/防御率3.20/失点497

日本ハム:打率.266/本塁打121本/盗塁132/得点619/防御率3.06/失点467


広島の各部門のチーム成績はすべてセ・リーグトップ。日本ハムは本塁打と得点だけはリーグ2位に甘んじたが、それ以外の部門ではリーグトップだ。

また、互いに多くの名手をかかえ、守備力に優れているという点でも共通している。広島は遊撃手・田中広輔と二塁手・菊池涼介、中堅手・丸佳浩の同学年トリオ“タナキクマル”のセンターラインが安定感を見せ、右翼には球界屈指の強肩・鈴木誠也もいる。

一方、センターラインという面では日本ハムも名手がそろう。遊撃手の中島卓也は俊足を生かした守備範囲と安定感のあるスローイングに定評があり、二塁手のベテラン・田中賢介は相変わらず華麗な守備を見せる。走力、肩の強さ、打球反応の良さなど、高い身体能力で幾度となくチームの窮地を救った中堅手の陽岱鋼のプレーには堅実さと華がある。

また、両チームともに勝利の方程式を確立している点も強みだろう。広島は今村猛、ジャクソン、中崎翔太。日本ハムにも谷元圭介、宮西尚生、マーティンら好投手が終盤に控えており、盤石のリリーフ陣を形成している。

広島にひとつ懸念点を挙げるとすれば、日本シリーズを経験している選手がいないことになるか。

一方の日本ハムは、ここ10年を振り返ると、2006年、2007年、2009年、2012年に日本シリーズに出場。現在のメンバーでも、陽岱鋼、中田翔、田中賢介、飯山裕志、杉谷拳士らが大舞台を経験している。

また、投打の主軸である大谷と中田は野球日本代表・侍ジャパンでも主力として活躍するなど国際大会での短期決戦の経験が豊富な点も強みとなる。現に中田は、パ・リーグCSのMVPを獲得するほどの活躍を見せており、打撃好調だ。

リーグ戦、クライマックスシリーズと、セ・パともに例年にはない盛り上がりを見せているプロ野球。そして、この流れの中で迎える最高峰の決戦。球史に刻まれるような熱い戦いを期待したい。
《浜田哲男》

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