「朝練をサイクリング部の先輩方とロードで2時間ほど行って、午後はウエイトトレーニングか室内練習をしています」
梶原は2種類の自転車競技に取り組んでいる。ツール・ド・フランスなどで知られる公道を走るロードレースと、ケイリンやオムニアムといった種目がありバンクを使うトラックレースだ。プロ選手はどちらか一方に専念する場合がほとんどだが、窪木一茂(リオデジャネイロ五輪自転車トラック日本代表、NIPPOヴィーニファンティーニ所属)のようにロードレース、トラックレース両方で活躍する選手もいる。
梶原はそれぞれで結果を残しており、「どちらが向いているのか、まだわからない。今はどっちも並行して強化していけたら」と笑う。ロードレースとトラックレースは特徴が違い、レース内容もまったく異なるため梶原が迷うのも仕方がない。
「トラックレースは小さいトラックを何周もしているので、レース展開がぜんぶ見えるところが魅力。ロードレースはチーム戦があります。海外のレースとか日本代表で出場するとチーム戦になるので面白いですね。 どこのチームがどんな作戦で、どんなことを考えて走っているのか。わかればわかるほど面白くなってきます。奥が深い競技だと思います」
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しかし、片方に集中しないためか悩みも生まれる。トラックレースのシーズンになる冬場は、ロードレースのトレーニングが不足する。スピードは強化できても上りで走れなくなる。ロードレースは公道を使うためアップダウンも多く、急勾配が続く峠道がコースに設定されることも多い。そこで梶原はヒルクライムレースにも積極的に参加する。全日本選手権の1週間前、筑波山で行われた『ツール・ド・つくば2016』に参加した。
大学が近く、普段から練習場所になっている筑波山。この日はベストタイム更新し、翌週に向けていい弾みになった。
迎えた全日本選手権。6月24日の個人タイムトライアル(TT)を2位、25日のロードレースを3位で終えた。ジュニアとの違いを肌で感じながらも表彰台を獲得して存在感を見せつけている。今年の全日本選手権の舞台は伊豆大島だったが、スタートから間もなく約2kmの長い上りがある。そこから海に向かってくだり、海岸線に出るとゆるやかなアップダウンが続くコースだ。
「自信が持てるのは平坦のスピードやゆるい上り。斜度のキツい上りに苦手意識がある」という梶原を伊豆大島の坂が苦しめた。
「1周目からキツかったです。登り下りのアップダウンがあって、平坦があるコースでしたが上りはまだまだまエリートには通用しない。上りだけが勝負所なのに、自分はまだ上りがキツくて。耐えるので精一杯でした。上のほうでは千切れて、下りで思いっきり踏んで追いついて、何度も復帰してました」
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初めてエリートで参加した全日本選手権 写真提供:JCF
ロードレースと個人TTは與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント)が制して二冠を獲得。ロードレース2位と個人TT3位は萩原麻由子(ウィグル・ハイファイブ)だ。国内二強と呼ばれるが、そこに梶原が食らいついた。
「ふたりとも海外(のチーム)で走っていて、すごい選手。早く追いつけるように、追い越せるように頑張りたい」
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全日本選手権で梶原は3位
【自転車界のホープ・梶原悠未…東京オリンピックの表彰台を目指して 続く】