しかし、ハワイよりもお手軽にマラソンができる海外のマラソン大会がある。今年で4回目の開催となる「グアムインターナショナルマラソン」だ。昨年からシドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんがアンバサダーに就任している。
●近い
日本の南東約2500km、北緯約13度の亜熱帯に属するグアム。島面積は淡路島とほぼ同じ550平方km。島は長さ約48km、幅7~13kmだ。
「日本を移動するのと同じような手軽さなのに、特別感がある」と高橋さんはアピールポイントを口にする。日本から空路約3時間30分、時差もプラス1時間と少なく、気軽なビーチリゾートとして知られる。
土日休みの会社員なら、会社を1日も休まずに参加することだってできる。金曜の夜便で日本を出発し、グアムで2泊の滞在、日曜日の夜に帰国が可能だ。
●暑い
蒸し暑い。昼の時間帯にランニングしていたらとんでもないことになるので、グアムマラソンのフルマラソンは朝3時スタートだ。ハーフマラソンは4時、10kmは5時、5kmは6時に走り出す。前日は早い時間に就寝しよう。
だが、「最も蒸し暑い時間帯は朝の3時~4時だった」と高橋さんは話していた。確かに最初の1時間はそれなりに蒸し暑いが、マラソン中に気温的な暑さを感じることはそこまでなかった。
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●美しい
しかし、その早朝スタートゆえに他のマラソン大会では味わうことのない特別なマラソンができる。それは景色の劇的な変化だ。
朝3時スタートでは満天の星とは言わないまでも、美しい星空のもとで走ることができる。日が明けるのは6時ごろ。トップランナーでもない限り、朝日を眺めながら走ることができる。
「多少ペースを落としてでも、星空から朝日に変わる様子を走りながら味わうべき」と参加者のひとりが話していた。確かに、折り返し地点、天を雲がさえぎる中、どこまでも続くかのような平坦な道を走っていた時に、太陽が少しずつ顔をのぞかせた時の気分の高揚は忘れられない。
少しずつ脳の言うことを効かなくなってきた足を鞭打ち、前に動かすモチベーションの多くを形作ったのは、劇的な風景の変化だったような気がする。
「早く走ったらむしろもったいない。南の島をゆっくり走りながら、グアムを満喫してください」
大会前日に、高橋さんもそう教えてくれた。
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●快適
グアムに訪れる日本人観光客は多い。日本語対応スタッフも多く、日本語だけ使っていても困ることなくマラソンを楽しめるはずだ。
エイドステーションも多い。2kmおきに設置されており、毎回寄っていればノドが乾くことはない。やや補給食が少なめなところは改善すべき点か。
高橋さんは大会の魅力を、「普通のマラソン大会はスタート地点が混雑していて、『前に行きたいのに行けないな…』と思う人もいると思います。グアムマラソンはまだ参加人数が少ないのでスタートして300mmもすれば先頭を走っているような爽快感を味わえます」と語る。
また、なにより快適さというか、爽快感を味わえるのはゴールしてからだ。
過酷なマラソンを乗り越えて感動のフィニッシュを迎えると、そこは海が目の前に広がる。透明な海に向かってレッドカーペットが敷かれてある。マラソンで疲れた体をそのまま海で癒せるのだ。この爽快感は言葉では言い表せない。
「私の大好きな大会です。アピールポイントはたくさんがありますが、まだ知名度が低いのが現状です。まずは知ってもらうことから活動していきたい」
今後のプロモーション活動に懸ける意気込みを高橋さんは口にした。