東京マラソン2016プレスカンファレンスが2月26日、東京都内で開催され第1部では車いすマラソン招待選手の記者会見が行われた。今大会から国際パラリンピック委員会(IPC)公認大会として開催される車いすマラソンには、海外の有力選手も招待されている。
記者会見には、エルンスト・ダイク(南アフリカ)、クート・フェンリー(オーストラリア)、タチアナ・マクファーデン(米国)らが出席した。ダイクとフェンリーは長年競い合ってきたライバル同士。
ボストンマラソンで過去10回の優勝を誇るダイク。生まれつき足がなく、両親の提案で水泳や車いす競技をはじめた。1992年のバルセロナパラリンピックでは両種目に出場しているが、その後は車いす競技に専念している。
「大きな身体を持っていて、下りのスピードは世界トップクラス。僕も先頭を力強く走る彼についていったことがあるが、なかなか勝てない」と話すのは東京マラソン車いすレースディレクターの副島正純だ。
フェンリーもダイクを、「とてもパワフルで、長く競技をしているので、戦術的にも深みをもっている。そして、日本製の車いすを使っているのでさらに速いだろう。特に下り坂のスピードは脅威だ」と警戒する。
「13歳の頃から競争しているが、時々彼に勝つことがある。その時は自分をお祝いしている。とても強く、自分を今の高みに押し上げてくれた選手のひとりだと思っている」と続けると会場は沸いた。
フェンリーは仙骨の形成不全で生まれ、生後1週間も命がも持たないと医師に宣告を受けていたが、あらゆるスポーツに挑戦してきた。彼が初めてメダルを獲得した競技は高飛びだったが、14歳で車いす競技に参加するようになった。
副島はフェンリーを、「上りのスピードがすごくて憧れている。スピード、駆け引き、勝負強さでは世界でトップだと思う。ここぞというときの集中力がすごい」と評する。
一方でのダイクは、「クートは子どもの頃からよく知っている。彼の成長を見てきた。我々はライバルだ。彼はスプリントで強みを発揮する。最後のところでチャンスをつかみ取る。いつも懸命で頭がよい。弱点もあるが、そこも含めて尊敬しなければいけない」とフェンリーに一目置く 。
ダイクの自己ベストは1時間18分27秒、フェンリーの自己ベストは1時間18分51秒だ。国内男子で注目されている洞ノ上浩太(自己ベスト1時間20分52秒)、吉田竜太(自己ベスト1時間27分38秒)、鈴木朋樹(1時間30分36秒)たちは海外招待選手とどう戦っていくだろうか。
「海外の選手と戦うことができるのは日本の選手にとっていい経験になる。海外選手の走りに刺激されるだろう」
副島の言葉のように、日本人選手が海外選手の影響でタイムを伸ばしていくことに期待したい。
《大日方航》
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