スポーツの指導者を表彰する第3回ジャパンコーチズアワードが1月28日に開催され、東海大相模高校野球部の門馬敬治監督が登壇。スポーツの現場で、これまでの指示命令型の指導から、やる気を引き出すコミュニケーションに進化させる"心構え"を指南した。
門馬監督はスポーツ指導の現状について、「現代社会が求めている人材とは、自ら見て、自ら考え、自ら動くという自立型人間であると考えるが、現実は、保護者、指導者、教師などによってつくられた"指示待ち族"という人間たち。これは日本の風土・文化、歴史、教育などがかかわっている」と分析。自発性を引き出す指導へのカギなどを伝えた。
●指示命令型から「子どもの心に火をつける」という双方向型へ
「社会に送り出す子どもたちを、見て、考えて、動ける人間に育てていかなければならない。そのためには、自立型人間を育てるためには、自発性、やる気を引き出さなければならない」
「自発性を引き出すと、創造性、積極性、個性、多様性などの力を発揮するといわれている。そのやる気を引き出すためには、人の違った個性を容認し、立場を尊重する。これは、まさに指導者の態度・姿勢・言葉にかかってくる」
「自立だけではなく、子どもたちそれぞれが本来、持っている能力や可能性を最大限に発揮させることが最も重要で、大事なのは、指導者と選手の人間関係にある。かつての『教える』ではなく、『引き出す』という考えがなければならない」
協働的な人間関係、横型組織でフラットな人間関係が求められる。協働とは「ひとつの目的を達成させるために、お互いが補完、協力し合う」ということ。
「かつての指示命令型のコミュニケーションではなく、双方向型コミュニケーションが基調とならなければ、自立型人間には育てられない」
門馬監督は最後に、教育学者ウィリアム・ウォードの言葉を引用して、こう締めた。
平凡な教師は、言って聞かせる
良い教師は、説明をする
優れた教師は、やって見せる
最高の教師は、子どもの心に火をつける
「まさに、われわれ指導者は、子どもの、選手の心に火をつけて、やる気を引き出さなければならない。指導者は選手の未来に触れている。そこをしっかり認識して、野球という価値あるスポーツを、次世代に引き継ぐ覚悟を持って、今後も進んでいきたい」
《大野雅人》
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