【山口和幸の茶輪記】トレイルランの最新ギア…設計意図を理解して機能をフル活用 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【山口和幸の茶輪記】トレイルランの最新ギア…設計意図を理解して機能をフル活用

オピニオン コラム

サロモンのトレイルラン用品。青い容器は500mlの水が入るタンク
  • サロモンのトレイルラン用品。青い容器は500mlの水が入るタンク
  • 木の根は滑りやすいので踏まないようにするのが上級者
  • かかと着地が基本だが、足首をねんざしやすいという落とし穴も
  • 上級者はつま先から着地して地表を滑っていく
  • サロモンのスピードクロスプロ
  • サロモンのスピードクロスプロ
  • サロモンのスピードクロスプロ
  • サロモンのスピードクロスプロ
舗装路ではなく、山道を走るトレイルラン。どんな地表でも確実にグリップする専用シューズ、走っても負担にならないバックパックは必需品。コンビニや自販機がないコースを走るだけにどう給水するかも重要だ。トップブランドとして知られるサロモンの最新ギアを試してみた。

自転車に乗るのはある意味で業務。30年来の趣味はトレイルランというボクにとって、シューズ選びは試行錯誤の連続だった。かつては見た目とカラーリングだけでシューズを選んで失敗した。イタリアのドロミテ山塊に拠点を置くブランドを買ってはみたものの、ラスト(足形)が甲高幅広のボクには合わず、外反母趾ならぬ内反小趾で半年ほど通勤時に歩くだけで痛みを覚えた。


上級者はつま先から着地して地表を滑っていく

このブランドを愛用するプロの登山家にアドバイスを求めたところ、「サイズ表示はシューズの長さを明示しているが、長さよりも幅を合わせること」とコツを教えてもらった。同じブランドでもモデルによってラスト形状はわずかに異なるようで、やはり試し履きして自分に合っているかを見極める必要があると、専門ショップの熟練スタッフからも言われた。

奇岩が屹立するドロミテで開発されたシューズだけにグリップ力は抜群で、それは捨てがたかった。足裏のコンパウンド(ゴム素材)は柔らかめで耐久性はそれだけ劣る。そのあたりのバランスは使用者の目的に応じて選択する領域で、それを突き詰めていくと深みにハマるなと感じた。こうして各社のトレイルシューズを試し続け、ある程度の納得がいくフィット感を得られたのがサロモンだった。

■トレイルにはトレイルランシューズ使用が当たり前

今回はスピードクロスプロというモデルを試してみた。機能としてボクのような一般ランナーには十分。トップクラスのトレイルランナーはマラソン選手が使用するレーシングシューズを代用していた時代もあったが、「現在はトレイルラン専用シューズも軽量化され、機能も向上しているのでトレイルにはトレイルランシューズを使用するのが当たり前」と、サロモンの専属トレイルランナーである大瀬和文さん。

そうなのである。山道に普通の運動靴で踏み入れると、石や木の根っこがシューズの横に当たって涙を流すほど痛いのである。やっぱり専用品にはかなわないということだ。

スピードクロスプロを裏返してみると、つま先から3分の2ほどは進行方向に山型となったブロックパターンが装備される。かかと部分はその反対を向いたパターンだ。これってどういう意味があるのかと大瀬さんに聞いてみると興味深いコメントが帰ってきた。
「トップランナーの多くはつま先着地。そんなランニングスタイルの場合にシューズが地表をスライディングするように設計されています。かかとを着地したときにはしっかりとグリップ」という。


サロモン・スピードクロスプロのブロックパターン

舗装路を走るジョギング愛好家と同様に、基本的にはかかとで着地して衝撃を緩和する走法。走り慣れてくると着地点がつま先寄りになり、究極のスピードを求めるとマラソンのアフリカ出身選手のようにつま先で大地をとらえる。ケニアやエチオピアでは未舗装路が多く、トレイルランと同じような環境で速く走るためには、つま先接地になってくるのである。

大瀬さんのようなレベルになると着地はつま先で、しかも野球のスライディングのようにシューズ裏を地面にこすりつけながら「ズズズズッ」と前にスライドさせる。だからシューズ裏のパターンが進行方向に山型なのだ。「グリップするよりも滑らせたほうが足首をひねる可能性も少なくなる」と大瀬さん。

ある程度スライドさせてからかかとを地面に降ろしてグリップさせる。わずか1秒の瞬間に開発ノウハウを結集させた結果のパターンである。スゴいな。でもボクのレベルではその機能性に追いつかない。


ワンタッチで締め込めるシューレースはベロの部分に収納できる

最後に給水システム。バックパックの中に水を入れたタンクを備えて、そこから伸びたホースで水分補給するシステムはMTB選手の取材から熟知していた。でも実際にトレイルランで使ってみるとタンクの中の水がガバガバ言って生理的に受け付けないので使わなかった。

ところが今回、「水を入れたらバッグを逆さまにして、タンク内の空気が完全に抜けるまでホースの口を吸って」と教えられた。そうするとタンク内が水だけになって不快な音がしない。これ、だれも教えてくれなかった!

かくしてトレイルラン。この冬はこれまで以上に楽しくなりそうだ。最後に大瀬さんがマナーを教えてくれた。「ハイカーのみなさんに会ったら走るのをやめましょう。こんにちはとあいさつするといいですよ」。トレイルを共有する気持ちが大事だという。
《山口和幸》

編集部おすすめの記事

page top