新城幸也(ヨーロッパカー)がブエルタ・ア・エスパーニャ第13ステージで見せ場を作った。
「今日のコースは逃げ切るチャンスが大きいから、絶対に逃げに入る」と公言してスタートした第13ステージはどのチームも考えは同じで、スタート直後から、アタック合戦が始まる。数人が先行しては追いつかれるという展開が50kmにわたって繰り返されたが、なかなか決定的な逃げグループは形成されず。
最初の3級山岳で新城がアタックすると。それをきっかけに2選手が反応し、3名の逃げが始まる。なかなかタイム差が開かないものの、長い3級山岳を越える手前で8選手が追いつき、その後も1級山岳でメイン集団から抜け出して追いついてきた選手らを含め24名でのエスケープが始まる。
この逃げに選手を送り込んでいるチームが多いため、後続のメイン集団はリーダージャージのファビオ・アルーを擁するアスタナのみがタイム差を測りながらコントロールしていくが、積極的に追い上げるという動きではなく、4分ほどのタイム差を保ったまま終盤へ。
24名の逃げグループは全員で先頭交代をしながら逃げ切るという意志統一はできていたものの、終盤になると逃げグループからさらに抜け出そうとアタックする選手が続出。残り40kmの3級山岳に入るところでランプレのネルソン・オリベイラがアタック。世界選手権タイムトライアル7位の実力を見せつけ、じわじわと23人を引き離していく。単独の選手という油断があったのか、ゴールスプリントに備えたい選手たちは追うことをためらう。
23名がちゅうちょしている間に、オリベイラとのタイム差は残り距離を考えると追いつくのが難しいほどまで広がり、残り15kmを切ったところで新城が積極的に前を引き出し、単独で逃げるオリベイラに迫る。10kmを切っても新城は自ら先頭を引き続けるが、他の選手の協力は得られずオリベイラが逃げ切り区間優勝を飾った。
ゴール1kmを切るまで先頭を走った新城は23人での2位争いのゴールスプリントに加わることなく、24位でゴールした。しかしこの新城の働きにより、メイン集団に残された総合上位の選手たちからタイム差を稼ぐことができ、同じ逃げグループに入ってたエースのロマン・シカールが総合10位に浮上した。
「今日は絶対逃げると決めていたので、実行できてよかった。24名の中での動きはそれぞれのチームの思惑があるが、誰も追わずにこのまま区間2位争いをするのなら、せっかくここまで逃げて後続集団とのタイム差を開いてきたそれが無駄にならないように、前の1名を追うというより、後続とのタイム差をすこしでも開いて、ロマンの総合を上げようと判断した」と新城。
「結果的に自分はゴールスプリントに絡まなかったが、ロマンの総合がトップ10まで上がったので、この判断はチームも評価してくれている。あと3日間は山頂ゴールが続くが、脚の調子も日に日によくなっているので、自分にできることはしっかりとこなし、体調も上げて3週目に入りたい。明日はちょっとおとなしくしているかも」
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