そして、そのときも「クルマ!」「危ない!」ではなく、「前からクルマが来たよ。端に寄って」など具体的な言い方をするよう記されています。ただ、子どもの身に危険が迫ったときは、そんな悠長なことは言ってられません。できるだけ早く気づくよう、親自身が危険を察知する目を持つことも必要なんでしょうね。
乗り方の指導や言葉のかけ方について、それぞれ専門家のアドバイスを受けているところも本書が評価できるところです。自転車にくわしい指導者でも教え方は我流といった例もありますから、そこは「自分自身も含め、自転車のことをよく知らない人が理解できるように」という知り合いの願いが込められているように感じました。
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小さな子どもは、右や左がわからないというのは盲点だ
子育てが一段落した親に向け、子どもを乗せた自転車を使ったサイクリングを勧めている点も見逃せません。自転車を単なる生活の足とするのではなく、スポーツとして取り組んだり趣味に生かしたりしてほしいですからね。家族みんなでサイクリングだなんてステキです。
最後に要望を少しだけ。子どもを乗せた親のイラストがすべてお母さんになっていますから、お父さんも登場してほしいというのがひとつ。それから本書を手にとるのはお母さんが圧倒的でしょうから、お父さんが子どもを自転車に乗せて出かけたくなるものを…というのがもうひとつの注文です。監修にあたった疋田智さんもその思いに駆られているだろうということで、本書の続刊を期待します。