こうした際立った実績がきっかけとなり、マスコミが大きく取り上げ始めたことが大きいと推察される。2015年の錦織の魅力度は、それまで圧倒的な魅力度を誇っていたメジャーリーグ選手のイチローと肩を並べるスコアになっている。
また特に錦織に魅力を感じているのは、アッパーミドル層と55歳以上女性であることがわかった。錦織の魅力度は、世帯年収1000万円以上のアッパーミドル層で最も高いスコアを示している。アッパーミドル層に対し、2割増しの魅力を与えていることは、明らかに他の日本人アスリートとは異なる傾向だ。これは、テニスが多くの国や地方で、富裕層やアッパーミドル層のファンが多いと言われるという特性からくるものと考えられる。
もうひとつ錦織の特徴的なポイントは、特に55歳以上の女性に対する訴求力の強さだ。55歳~64歳女性が感じる錦織圭の魅力度は22.0ポイントと、35~44歳男性(9.1ポイント)の2倍以上のスコアを示している。錦織圭とほぼ逆のパターンを示しているのがイチローだ。イチローに魅力を感じているのは男性全般、特に25~34歳男性が多い傾向がある。
アッパーミドル層や55歳以上女性に強くアピールしている錦織は、独自のファン層を獲得している。そこで、ファン層の価値観やライフスタイルを分析し、錦織圭のブランド価値を探った。これまでの代表的な日本人アスリートを仮にイチローとし、両者のファン層の違いを調べた。
錦織派とイチロー派の価値観・ライフスタイルの違いは、少なからず男女比の違いが影響している。価値観特性では、錦織派は「ロマンチック、楽天的、優柔不断」といった傾向。イチロー派は「メカ好き、リスクテイク、自分の隠れ家」といった傾向があるようだ。
《美坂柚木》
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