スタイリッシュなオークリーのアイウエアが度付きレンズで作れるというので、気軽な気持ちでオーダーしてみた。その製造工程を見学する機会を得たのでラボに潜入してみると、レンズ1枚にそこまで最新技術を投入するのか!という事実を知り、「ゴメンなさい」という気分に。
これまで何度もメガネ販売店でメガネを作ってもらったが、カーブが大きく、しかも多様なモデルがラインナップされるスポーツ用アイウエアにどうやれば度付きレンズが装備できるのか疑問だった。そこで都内にあるオークリーのRXラボを見せてもらった。米国とアイルランド、そしてここにしかない同社純正度付きレンズの工房だ。
一般的なメガネ販売店では、まずフレームを選び、検眼し、在庫しているレンズを加工してフレームに入れてできあがる。一方でオークリーの度付きアイウエアは、注文を受けてからRXラボでレンズ1枚ずつオーダーメードされる。選んだフレームによってカーブの具合が違うし、前回コラムで紹介したようにスポーツによって視野の中心点が変わる。レンズカラーもスポーツごとの適性を考えれば千差万別で、その組み合わせは天文学的数値になるはずだ。
【山口和幸の茶輪記】強度の近視でもカッコいいアイウエアがほしいので勇気を出してオーダーしてみた
スポーツに特化して開発されたアイウエアはフレーム同様にレンズのカーブも最大の特徴。それがカッコいいのだが、度付きレンズという観点で見ると実にやっかいなシロモノだ。カーブの大きさに加えてレンズの配置に角度がつけられている。そのため検眼して算出された個人の度数をフレームごとに適正な数値に変換する必要があるのだ。プログラムされたコンピュータを駆使して0.01刻みの精度で新しい数値を計算していく。
つまりボクの度数は、オークリーのコンピュータによって選んだモデルに最適化される数値に変換され、コンピュータ制御のマシンによって製造されていく。視力が弱いボクのレンズはレンズ厚が増してしまうので、さらに独自のレンズ加工技術を投入して厚みを抑えるとともに、レーザー加工も駆使。こういった技術が開発されたおかげで強い度数でも作れるようになったのだという。
一般的にレンズの末端になるほどゆがみが発生してしまうものだが、広角的な視野で情報を補足したいスポーツにとっては、これが戦う以前の難敵となってしまう。これも最新技術を応用してゆがみを解消し、幅広いクリアな視界を実現させたという。このあたりは実際にできあがってみてからレポートしてみたい。
このような手の込んだレンズ加工を行うRXラボ。通常こういった製造ラインはたいてい撮影不可だが、目には見えない部分の技術力が同社の強みであり、工程の解説を聞きながらしっかりと見学させてもらった。具体的なレンズ加工の工程は写真によって説明してみた。
基本的な納期は1週間。モデル・度数・テクノロジーによって納期が3週間ほどかかる場合も。「週末にショップでオーダーしたものが、次の週末に手に届けられるように」。そんなスタンスを守っていきたいと同社RXラボ スーパーバイザーの祖父江さん。(続く)
《山口和幸》
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