モビスターのエウセビオ・ウンスエGMは、アレックス・ダウセットのアワーレコード挑戦を20年前の名選手ミゲール・インデュライン(スペイン)の偉業に重ね合わせている。
インデュラインは、ウンスエ率いるモビスターの前身チームのバネストに所属し、1991年から95年までツール・ド・フランス5連覇を達成。そして1994年にはアワーレコードに挑戦し、当時の新記録53.040kmを樹立した。なお、この記録は使用自転車の規定により、UCIベストヒューマンレコードに区分けされ、正式なアワーレコードの記録とはなっていない。
ウンスエはダウセットの挑戦を前に、当時のインデュラインの奮闘を次のように思い返している。
「我々全員が20年前のミゲール・インデュラインのアワーレコードを思い出す。当時はさまざまな目標の中にあって、その記録をねらうのはあまり一般的でなかった。あえてそういう挑戦をする選手も多くなかった。我々より前に何人かが挑戦した後、ミゲールはその記録を破るチャンスにかけ、我々も手を貸したんだ」
「何週間ものハードワークの後、その日はやってきた。とても感動的だったね。ボルドーのベロドロームは観客が満員で、TVカメラで生中継された。我々が慣れ親しんでいたものとは大きく違った。ミゲールの最も困難な1日のひとつとして、私はいつでも思い出すんだ。彼は慣れない状況の中でとてもハードな挑戦をし、完全に衰弱してエネルギー切れになっていたんだ」
そして、それから20年の時を経て、2015年2月に血友病患者であるダウセットが新たにこの記録に挑むことに大きな意義を感じている。
「アレックスの挑戦は自転車競技の国際化、我々のチームの国際化を反映している。ロンドンの五輪競技場で、イギリス人選手が挑戦する。加えて社会的な運動でもある。アレックスは彼自身が血友病のアンバサダーであり、難病に苦しむ人たちをサポートするために多くの努力を重ねている。あらゆる状況を考慮して、この挑戦はみんなにとって完璧で前向きなものだとすでに考えているんだ」
「ボブリッジやローハン・デニスのようなトラック選手、偉大なタイムトライリストが(ダウセットより前に)記録を作ることで、我々にとっては非常に厳しい。しかし、このことがアレックスが立ち向かうためのさらなる原動力になることを願っている」
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