12/13(土)、12/14(日)に熊本県益城郡吉無田高原で開催されたMTBダウンヒルシリーズ第6戦、ローカルライダーエリートライダーともに極寒を吹き飛ばすような熱いレースが繰り広げられた。
レースは土曜に試走とタイムドセッション、日曜に試走と一回勝負の本戦という日程であった。熊本吉無田のコースは落差も大きくなく短いコース。それゆえ、ワンミスでタイムを失ってしまい、挽回するチャンスもないコースであった。阿蘇の火山灰の上にできた吉無田高原特有の路面に対し、選手らはタイヤとバイクをグリップさせることに必死の様子だった。

清水一輝
◆タイムドセッション
時期は冬。まして週末に寒波が到来した。選手を苦しめたのは天候だ。バイクをコントロールすることと共に寒さの攻略もカギだ。プロ・アマ問わずそんな選手が多い中、清水選手と井本選手は他のライダーを寄せ付けない44秒台をマークした。
井本選手は「寒さで空気が重くなってショックが動かなかったり、自分自身の体が動かない。そのため路面とかバイクのセッティングにかかわらずうまく体を暖められて寒さに勝ったライダーが今回のレースの鍵を握る」と話してくれた。
◆決勝
迎えた決勝。朝晩氷点下まで冷えた熊本吉無田高原。コースに霜が降り、試走を開始する頃にはやや泥状の路面に。とくにバームが泥状の路面に変わっており、バイクをうまくバームに預けようとしてもタイヤがはまってタイムを失うライダーも多かった。

井本はじめ
霜が降りた後の路面は柔らかい。いかにタイヤとバイクを接地させるかが重要であるが、レース開始間際に雪がぱらつく。取材側も含め、寒さではたして選手はどこまでバイクをコントロールできるのか、と訝った。が、エリートライダーたちは違った。ギャラリーが増すごとに選手のボルテージはあがり、白熱した展開に。
エリートクラスの多くのライダーが44秒台にとどまるなか、凱旋レースとなる熊本出身の浦上太郎選手が43秒661をマーク、前日のタイムを大きくうわまり暫定トップに。練習中に転倒したバームを難なくクリアして好走を見せた。
しかし、他を寄せ付けない走りを清水選手と井本選手が見せる。井本選手が43秒010の走りを見せて暫定トップに、対する清水選手も43秒411と力走するも、及ばず2位。井本はじめ選手が優勝。2位清水一輝選手、3位浦上太郎選手であった。

優勝は井本はじめ
井本はじめ選手は「前半でなるべく漕いで体を温めて、バイクをなるべく動かしやすくしました。昨日はショックが柔らかかったので、ショックのセッティングを変えて堅くしてレースに望んみました。朝の霜も厄介で泥も時折ありましたが、なんとかうまくいってよかった。最後のレースを優勝で飾れてほんとうによかった」
清水一輝選手は「2回ミスをしてコンマ2秒、コンマ1秒ほどのタイムロスが勝てない原因でした。タイムドセッションのときには44秒。こういう短いコースで40秒切れないことは今後の課題かもしれない」
浦上太郎選手は「上の二人は速い。簡単に勝てないですね。また来年もがんばります」と地元での凱旋レースに笑顔で答えてくれた。
熊本出身で地の利を活かした浦上太郎選手、他を寄せ付けない異次元の走りをした清水一輝選手と井本はじめ選手、西日本ダウンヒルシリーズ最終戦は若手の台頭が観られる熱いレースが繰り広げられた。