【小さな山旅】富士見の山、三ツ峠山を登る…山梨県・三ツ峠山(2) | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【小さな山旅】富士見の山、三ツ峠山を登る…山梨県・三ツ峠山(2)

オピニオン コラム
三ッ峠山の絶壁。目を凝らして見ると、人が登っている姿が確認できる。
  • 三ッ峠山の絶壁。目を凝らして見ると、人が登っている姿が確認できる。
  • 三ッ峠山、序盤の登山道。道幅が広く歩きやすい。
  • 実際に、写真のようにジープが走り去ることも。ジープは山荘へ向かって走っていった。
  • 富士箱根伊豆国立公園。ここからの景色が素晴らしい。
  • 三ツ峠山荘の前を横切る。そういえば、筆者は山荘を生で見たのはこれが初めて。
  • 絶壁の光景。これを登るのか! と友人たちと驚く。
  • 四季楽園。この辺りの道が、見た目よりもスリッピーで怖い。
  • 頂上へ向けて木の階段を登る。
綺麗な富士山の姿を拝みたい。そのような想いから登ることを決めた三ッ峠山。

実際には、わざわざ山に登らなくとも、天気さえ悪くなければ平地からでも富士山は見える。富士山に近づけば近づくほど、優雅で巨大な日本一の山は姿を見せてくれる。懐の深い山なのだ、富士山は。

◆ロッククライマーの姿も

ならば、山になど登らなくてもいいではないか、ということになってしまうが、それは本末転倒である。富士山を見るためだけに、遠路はるばる山梨県にまで来た訳ではない。山に登って富士山を見るために、やってきたのだ。

そのような理屈であるから、友人KとNを連れた筆者は、三ッ峠山に登った。標高1,785m。高山とまでは言えぬ高さではあるが、それでも普段登っている茨城県の低山よりは随分高い。2倍、いや3倍、下手すると4倍もの標高がある。

それでは、登る苦労もそれに比例するかといえば、そうではない。むしろ、険しい低山よりも返って安全な登山道である。道幅は車が通れるほどに広く、斜面もそれほど急ではない。だが、道が長い。クネクネとカーブを繰り返しながら、少しずつ登っていく。

登山中、山荘を横切ると驚くべき光景に出くわした。それはまさに断崖絶壁。低山などで見かけるそれとは、まるで規模が違う。その断崖絶壁を、登っている人の姿が見えたのだ。ロッククライマーである。

ロッククライミング。とある漫画に影響を受け、一度はやってみたいなどと思い上がったこともあったが、実際にその姿を見てそれは妄想で終わらせるべきだと思い知った。登っているのを見ているだけで、恐怖心で震え上がってしまうほどであった。

このクライマーたちの姿は、筆者一行に強烈なインパクトを与えた。それ以前に見た素晴らしい景色などどこか彼方へ吹き飛んでしまうほどの。

いや、しかし。我々はロッククライマーの勇姿を見に来た訳ではない。富士山を見に山に登りに来たのだ。

◆富士山の頂には……。

気を取り直して、山頂へ。頂上直下の道が、たまらなく滑る。砂利道なのだが、斜面が急なために普通に登れない。「転倒しないように」と慎重に斜面を登りきると、そこには雄大な富士山の姿が。ん? だがしかし、何か違う。巨大な山容、綺麗な裾野は確かに綺麗だ。けれども、富士山を象徴する何かがその景色には欠けていた。山頂付近が、雲に覆われていて見えないのだ。

実をいうと、この日の富士山は常にこのような姿であった。平地から見ても、山に登り始めてからも、常に富士の頂上には雲がかかっていたのだ。時間が経てば、消えるだろう。そのように思っていたのだが、山頂まで来ても雲がすっきり晴れることはなかった。

富士見の山から見る富士山。確かに綺麗ではあったが、山頂の雲が少々残念であった。テストの点数に例えると、100点満点で68点くらい。配点の比重が高い問題を、間違えてしまった印象である。
《久米成佳》

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