栃木県宇都宮市のジャパンカップシクロクロスは10月11日のエキシビジョンレースに続き、12日は一般参加によるAJOCC公式戦が同市内の宇都宮城址公園で行われた。
その公式戦トップカテゴリーとなるカテゴリー1は16人が参加してスタートが切られた。エキシビジョンレースで優勝した小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロスチーム)を中心に、辻善光(Team Zenko)、丸山厚(BOMA RACING)、濱由嵩(SPEEDVAGEN CYCLOCROSS TEAM)が序盤のレースを引っ張る。さらに小坂光の父、小坂正則(スワコレーシングチーム)が加わる。
中盤で抜け出したのが小坂光と辻だ。かつて宇都宮ブリッツェンでチームメイトだったふたりの接戦が開始されると会場は一気に沸いた。お互いに譲らない展開だったが、残り3周回で小坂がアタックを決めた。辻の苦手とする区間で差を広げた小坂が逃げ切り、ジャパンカップシクロクロス初代チャンピオンの栄誉を手に入れた。
「本当に最高の気分です。昨日もいいレースができたのですが、今日も最高の選手たちと最高のレースができました。この場所でこんなレースが出きるとは想像もしていなかったので、もう何も言えないです。最高です」とレース後の小坂は喜びを隠せない。
小坂にとって宇都宮城址公園は思い出の場所だ。2009年に発足したブリッツェン初代メンバーの小坂。その当時、チーム集合写真を撮影したのがこの日駆け抜けたコースなのだ。
辻を振り切った区間は「(コース中に)お互いに得意なポイントと苦手なポイントがあって、階段の手前はぼくのほうが速いと思っていました。そこまでに前に出ようと一気にアタックをかけました」と小坂は振り返った。
9秒遅れで2位の辻。「昨日のコースより今日のコースのほうが得意なので積極的に前に出ていきました。階段区間はどれだけ頑張っても(小坂に)追いつけず、毎周回0.5秒から1秒近くロスしてしまい、それを詰めるのに脚を使ってしまいました。技術の差と体力の差、それが最後にひびいて詰め切れなかったです」と小坂との力量の違いを感じていた。
その一方で「小坂選手より応援が多かった」と会場を笑わせる。エキシビジョンレースを赤いブリッツェンジャージで走った辻は、栃木を離れた今でも宇都宮市民に人気だ。
3位に入ったのは小坂正則。7月に鎖骨骨折をしていた。「(エキシビジョンレースが)ケガ明けの初戦でぼろぼろでしたが、今日は思ったより体が動いて。コースも楽しく、いいレースができて良かったです」と語る。そして「(息子の光が)宇都宮の方々に公私共々お世話になっているのが羨ましい」と父親の笑顔を見せた。
チャンピオンジャージにソデを通した小坂光は「シクロクロスの魅力がみなさんに伝わったと思います」と締めくくった。初開催となったジャパンカップシクロクロス、2015年の開催も期待したい。
《五味渕秀行》
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