現役最後の挑戦として9月18日にアワーレコードに挑んだイェンス・フォイクト(トレックファクトリーレーシング)は、見事に世界新記録を樹立し、プロ生活に別れを告げた。
前日9月17日に43歳の誕生日を迎えたドイツ人のフォイクトは、スイス・グレンヘンの自転車競技場「ベロドローム・スイス」に詰めかけた1400人のファンの前で、アワーレコードに挑戦した。
今年(2014年)、UCI(国際自転車競技連合)は使用自転車によって「アスリーツアワー(アワーレコード)」と「ベストヒューマンエフォート」の2つに分かれていたアワーレコードのカテゴリーをひとつに統合し、現在のトラック追い抜き競技用自転車の使用を許可した。フォイクトは、この新ルールの下での最初の挑戦者となった。
序盤から世界記録更新ペースで走り続けたフォイクトは、最後の10分間でさらにペースアップ。2005年にオンドレイ・ソセンカ(チェコ)が記録した49.700kmを大きく上回る51.110kmの新記録を打ち立てた。
チームを通じ、フォイクトは自らの挑戦を振り返った。
「いつものようにスタートは速すぎたけど、自分をコントロールできないのがまさに僕なんだ。1周目はタイムテーブルより1秒速かったから、少しマイペースを心がけた。でも、調子は最高だった。この瞬間に完璧に合っていたんだ。20分後にリードは1分に広がったけど、まだコントロールできている感覚だった」
「20~40分は十分なリードを持ってマイペースで走っていたし、まだ少しタイムを稼いでいた。ラスト20分は少しスピードアップし、さらに1周リードした。ラスト10分は全開だったよ」
「最初の10分間はペダルの重さを感じなかったし、『これは楽だ!』と思ってたんだ。それから『あーっ、少しマイペースで走った方がいいかも』と考えた。でも、そのスピードで感覚はよかったし、維持できた。実際、楽しめる時間も少しあったんだ」
後半30分、フォイクトはときおりダンシングし、痛みや疲労を感じているように見えた。
「1時間この緊張した姿勢を続けるのはかなりタフだよ。サドルで僕が座っているところが、かなり痛み始めたんだ。だから、10周ごとにサドルから立って、ストレッチし、お尻のプレッシャーを開放していた。今後数日はサドルに座らなくていいから、うれしいよ!」
「クリス・ボードマンがアワーレコード挑戦の後どうやって歩いていたか覚えているけど、僕もそこから遠くないね。今は脚を引きずっている。お尻の筋肉が痛いんだ! ボードマンは1997年に僕の最初のルームメイトだった。これ以上最高のサヨナラはないよね」
《》
-
-
page top