ツール・ド・フランスのレース中継はオートバイからの撮影のほかに、ヘリコプターからの空撮もある。ヨーロッパの街並や、雄大な山岳地帯を空から切り取った映像は圧巻だ。
第12ステージ、3級山岳ポイントのレ・ブロスより800mほど手前でトラクターの集団を見かけた。よく見ると何台ものトラクターで円を描いて周っており、同時にその内側で何十人もの人たちが手をつなぎ周っている。
ちょうど大きな藁のブロックがあったので、その上に乗り写真を撮っていたときに気がついた。大きすぎて気がつかなかったが藁のブロックで文字が書いてある。
ヘリコプターからの空撮で映してもらい、全世界に放送してもらうために準備していたのだ。選手たちが通過する時間が迫っていたので写真を撮る時間しかなかったが、トラクターは全部で13台あったようだ。
このトラクターたちは無事テレビでも配信されたが、映るのはほんの一瞬だ。それでもみんなで協力して準備を進め、レースが来る日を待っている。自分たちの住む地域をツールが走ることは、フランス人にとって本当に特別なことなのだろう。
《五味渕秀行》
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