【インタビュー】テレビはどのように進化するか?――NTTぷらら・板東社長に聞く | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【インタビュー】テレビはどのように進化するか?――NTTぷらら・板東社長に聞く

オピニオン ボイス

NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二氏
  • NTTぷらら 代表取締役社長 板東浩二氏
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 「ブロードバンドアワード 2013」のビデオオンデマンド(VOD)の部で最優秀賞に選ばれたのは「ひかりTV」(NTTぷらら)だ。ひかりTVの受賞は今年で2回連続となる。現状や今後の展開について、代表取締役社長 板東浩二氏に話を聞いた。

――さっそくですが今年のぷららの戦略について教えてください

板東氏:これまで以上に「スマートTVプラットフォーム」の整備を進めていきたいと思っています。ここでいうスマートTVは単に映像番組を配信するだけでなく、ゲーム、音楽、書籍、ショッピングなど多様なサービスを提供するプラットフォームとしてのテレビのことを意味しています。そして、テレビといっても従来型のテレビだけでなく、スマートフォン、タブレット、PCといったさまざまなデバイス形態にも対応するものです。もうひとつ大事なのは、サービスのオープン化です。VODサービスについてスマートフォン、タブレット、PCは回線契約のフレッツ光以外のユーザーにも解放していますが、これをもっと広げたいと思っています。

――それはテレビについてもキャリアフリーでサービスを提供するということですか。

板東氏:そうです。時期や具体的なサービス形態を調査・検討しているところですが、インターネット経由でキャリアフリーに対応した専用チューナーといった形で、契約回線の事業者を問わないひかりTVの視聴環境を今年中に実現できればと思っています。

すでにひかりTVはテレビ内蔵チューナーに対応していますが、キャリアフリーチューナーをテレビに内蔵できれば、回線やプロバイダーの契約に関係なく、対応したテレビを買ってきて、ネットに繋いでサービスの契約をすればひかりTVの番組やVODを見ることができます。

――テレビやVOD事業のユーザーを拡大させていく場合、考え方としては、既存のフレッツユーザーをVODに広げていく形になりますか。それとも、モバイルなど新たなユーザーを開拓していく戦略ですか。

板東氏:ターゲットが異なりますので引き続き両方から攻めていきたいと思います。一部のドコモショップとの連携でひかりTVの契約ができるようにする施策も続きますし、コンテンツやサービスの強化も同様に強化していきます。

――テレビやVOD、コンテンツについては4K対応というトレンドがあります。ひかりTVでの4K対応は考えていますか。

板東氏:計画はあります。2014年10月にはサービスインを目指して4KのVODを考えています。4月よりトライアルを開始しています。コンテンツは映画などを外部から調達しつつ、独自コンテンツもそろえていきます。個人向けではなく、公共施設や量販店店頭などでご紹介していくことになると思います。4K対応については、VOD、IP放送へも広げたいと思っていますが、4K映像の配信は、帯域や回線の品質の問題もあるので、こちらはNTT東西のフレッツ・ネクストでの利用が前提となります。

――昨年はどんなサービスが伸びたか教えてください。

板東氏:昨年非常に注目され、ユーザーを伸ばしたサービスにクラウドゲームと音楽配信があります。クラウドゲームについては、無料期間ありのキャンペーンも功を奏し、最近は月10,000人単位で登録者が増えることもあります。ゲームは常時50タイトル以上を用意していますが、数を増やすというより新しいゲームの入れ替えと人気ゲームをメインで展開していく戦略です。むやみにタイトルを増やす方向は現状では考えていません。いくつかのゲームパブリッシャーとはパートナーシップを組むなどしており、ひかりTVはゲームプラットフォームとしての役割もでてきたのではないと思っています。音楽についてもアーティストのラインナップを強化中です。今年の「SEKAI NO OWARI」とのタイアップは話題になりました。音楽配信では「炎と森のカーニバル~STAR DOME ver.~」を独占先行配信しました。タイアップにより初日は通常の10倍ほどの申し込みがありました。このように人気を集めたサービスですが、ゲームも音楽も、昨年は本格的なPRをしていませんでした。今年はPRにも力を入れたいと思っています。

――モバイルでの視聴やデバイスの変化によって、テレビの視聴スタイルが変わってきていると言われています。ひかりTVでもなにか変化はありますか。

板東氏:話題のドラマや人気のアニメ番組なども、地上波で見ることができる期間でも、有料のVODを見てくれる層は増えていると思います。我々も番組ごと、時間ごと、地域ごとなど視聴データを細かく分析していますが、たとえば「半澤直樹」は放送回が進むほど、1回目からのVODの視聴ユーザーが増えました。これまでの人気ドラマの見逃し視聴では現れない現象ですね。また、Myチャネルというドラマやアニメなどの連続視聴の機能を追加したのですが、これも非常に好評ですね。シリーズものを見るときに、放送回ごとに視聴ボタンを押さずとも自動的に次の回の視聴を始めてくれます。視聴回数の伸びにも影響を与えています。

――コンテンツをアプリにダウンロードして視聴できる機能をリリースしたかと思います。こちらの反応はどうでしょうか。

 「ダウンロード視聴」の機能ですね。専用アプリでコンテンツをダウンロードして視聴できるサービスです。視聴可能期間はコンテンツによりますが、視聴可能期間中は何度でも視聴できます。このサービスは2014年の3月3日から始まったものですが、これも順調にアプリのダウンロード数、コンテンツのダウンロード数ともに、サービス開始前の我々の予想より高く推移しています。Twitterなどの評判も上々で、これからも利用は伸びていくと予想しています。LTEが整備されてきているとはいえ、やはり動画のストリーミング視聴となると、いつでもどこでも快適に視聴できるとは限りません。コンテンツをダウンロードしておけば、通勤途中の電車の中などでも安定して視聴できることが評価されているようです。

――早くから映像プロバイダーとしての戦略転換を実施していたNTTぷららとして、今後テレビはどのように進化していくとお考えですか。

板東氏:スマートフォンやタブレットなどのデバイスによる視聴はますます増えてくると思います。デバイスの画面サイズや、接続回線が3GなのかLTEなのかWi-Fiなのかによって転送レートや解像度を調整したりする制御がもっと一般化するかもしれません。コンテンツもデバイスサイズや解像度を意識した作りに細分化される可能性もあります。サービスプロバイダや通信事業者も帯域ごとのプランをよりきめ細かくしていく必要があると思います。一方で、テレビのUIも変わっていくと思っています。インターネットテレビやVODサービスにおいて、番組やコンテンツの検索は操作の起点ともいうべき重要なものです。これをPCの延長としてキーボードでの操作を考えるか、リモコンでの検索を考えるかによって、サービス設計やハードウェアの設計もも変わっていくはずです。NTTぷららでは、テレビの進化や映像視聴環境の変化を想定したうえで、2008年から映像系のサービスやビジネスに力を入れています。コンテンツづくりからSTBやリモコンの設計、サービスメニュー、UIの改良を続けており、独自のナレッジの蓄積もあります。さらに、エンターテインメントを配信するだけでなく、老人医療やケアに応用したり、防犯のため外出先から家の様子を調べたりといった生活に密着したサービスや機能の提供も検討していきたいと考えています。そうなると、ひかりTVがないと生活に困るという存在になるかもしれません。これからのテレビ画面の使い方は放送や通信といった枠組みに縛られない形で発展していくのではないでしょうか。
《中尾真二@RBBTODAY》

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