【インタビュー】絶景求めて“地球旅行”…ドキュメンタリー映画『ネイチャー』パトリック・モリス監督 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【インタビュー】絶景求めて“地球旅行”…ドキュメンタリー映画『ネイチャー』パトリック・モリス監督

オピニオン ボイス

『ネイチャー』-(C) BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
  • 『ネイチャー』-(C) BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
  • パトリック・モリス監督/ドキュメンタリー映画『ネイチャー』
  • パトリック・モリス監督/ドキュメンタリー映画『ネイチャー』
  • パトリック・モリス監督/ドキュメンタリー映画『ネイチャー』
  • Yoav - 「Pale Imitation」が彩る、“燃え盛る地下世界”/『ネイチャー』-(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
  • パトリック・モリス監督/ドキュメンタリー映画『ネイチャー』
  • 『ネイチャー』-(C)BBC Earth Productions (Africa) Limited and Reliance Prodco EK LLC 2014
  • パトリック・モリス監督/ドキュメンタリー映画『ネイチャー』
世界最高峰のネイチャードキュメンタリー製作チームBBC EARTH。これまでに海洋ドキュメンタリー『ディープ・ブルー』や野生生物が繰り広げる生と死のドラマと捉えた『アース』を手がけてきた彼らの最新作となる『ネイチャー』が間もなく公開となる。そこでシネマカフェでは現場監督としてスタッフと一緒に長期の撮影に挑んだパトリック・モリス監督に本作の魅力をたっぷり語ってもらった。

BBC EARTHには毎回各テーマによって撮影に臨むのだが今回のテーマは“水”。このテーマに沿いアフリカ中央部に広がる謎めいた森、アフリカで最も稼働的な火山でできた燃え盛る地下世界、世界最古の砂漠に流れる異国の砂、雨をひたすら待つ灼熱の平原、カラフルなサンゴ礁が誘う魅惑の海中都市、赤道直下にある凍てつく山脈、ジェットコースターのような滝を落下する激流という、大自然における“7つの領域”に分かれて撮影が進んだ。

「地球の命は“水”」と話すモリス監督は、このテーマには多くの生命の可能性が秘められていると語る。

「雲から川、氷、波へと変化し、隠れることもできるし、飲むこともできれば、激流の川を下ることもできるんだ。また水だけではなく太陽と水がいかに出会うのか、というのも見せたかった。アフリカの熱帯雨林は、水と太陽があふれているんだ。森林の音と共にいかに命がうごめいているのかを感じて欲しかった。実際に灼熱の平原に生きる動物たちと出会う前に、いかに水が貴重なものかを見せられるように作ったつもりだよ」。

ニール・ナイチンゲール監督とモリス監督、そしてプロデューサーのマイルズ・コノリーが共同で作り上げた本作。中でもモリス監督は自ら現場に赴き、実際にスタッフたちとジャングルに分け入り、山を登り、川を下り…その撮影期間はなんと573日。もちろんハプニングも多かったのでは?

「そうだね。作品の中に激流のシーンが登場するのだけど、そこで何度かテストをした後、本番はすごく上手くいってホッとした瞬間、転覆してしまったんだ。スタッフはライフジャケットを着ていたから無事だったけど、一番にカメラが心配になったよ。でも着けていたケースのおかげで全く濡れていなかったし、データも無事だった。しかもこの映像が撮れたおかげで次の不気味な川へスムーズに移行するカットが撮れたんだ」。「まぁ、元々命題としては、お客さんが観たときに、『こんな川ではもう身を任せるしかないんだ』『この状況をコントロールしているのは水なんだ』というのを感じてもらうことだったから、まさにその通りになったね(笑)」。

「今回のは革新的な映画を作るためにいままで使ったことのないような最新のテクノロジーを使う野心的な大作なんだ」と話すモリス監督。今回「BBC EARTH」初となる本作のためだけに開発された“4K3Dカメラ”を使用しての撮影にも苦労したようだ。

「お客さんがこの映画を観たときに、『象と一緒に歩いてる』『フラミンゴが踊っているのを隣で見ている』という臨場感のある映像を作りたかったんだ。例えば象と歩くということになったら、映像が揺れていると信憑性がなくなる。だから揺れないように彼らと一緒に行進していけるようしたり、ケーブルを引いてカメラが森林の上から下まで入れるようにした。ただ難しいのは2.4トンもある機材をケニア山は高いし、夜間は-10度とかあるなかで機材の運搬とかだったり、砂地では砂がカメラの中に入ってしまわないようにするにはどうやったらいいのか考えなければいけない。いろいろ工夫が必要だったんだ」。

そんなモリス監督に印象に残っている場所を聞くと「難しいな…」と思案顔をしながらも、「荒れ狂うようなアドレナリンが出まくるアドベンチャーのような、荒れ狂う激流のシーンかな。川を下り、不気味なワニたちに出会い、ドラマチックな展開を経て乱雲というものが描かれる、パワフルなシーンなのでとても気に入ってるよ。それと夜間の植物のデリケートさというのも美しく撮れた。凍てつく山もとても気に入っているし、それから地下世界のフラミンゴの求愛ダンスだね。音楽に併せて編集しているんだけれど、彼らがまるでこの火山の炎のような愛の求愛ダンスがこの映画のハイライトの一つだね」と次々に出てくるお気に入りのシーン。「でもやっぱり全部等しく楽しんでほしいな」とハニかみながら答えた。

大自然を3Dで体験できる本作だが、どれもが穏やかなわけではない。2011年、東日本大震災が起こり日本に住む誰もが自然の偉大さを肌身で感じた。様々な災害が起こってから改めて自然の偉大さに気づかされることが多いが、BBC EARTHで長年自然と向き合ってきたモリス監督は私たちに向けてメッセージを残した。「“自然”というものは我々の周りに広がっているということを常に感じて生活するんだ。地上の命というものがすなわち自然であるということ、時に何が自然というものを連れてくるかは我々には予期できないことだけど。それに厳しい結果になることももちろんあるわけだけど、現場にいて世界の中で自分は本当に小さい存在なんだなと感じるようなときもあったよ。それだけ人間が自然界の中で脆い存在であるということを忘れちゃいけないね」。
《text:cinemacafe.net@cinemacafe.net》

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