女子ワールドカップ第5戦のベルンで沖美穂は23位 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

女子ワールドカップ第5戦のベルンで沖美穂は23位

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 5月13日にスイスで女子ワールドカップのツール・ド・ベルンが開催され、イタリアのメニキーニに所属する沖美穂(33)はトップから11秒遅れの23位となった。以下は沖のレースレポート。

 サンマリノのレースが終わってから体調が思わしくなく、1週間で身体をリフレッシュすることができないままスイスに向かった。そしてレース前日にコースの試走をした。昨年と若干違うコースを走ったが、やはり最大の山場の急坂(800m)は今まで通りだった。

 そしていよいよレース当日。天気もよく風もそれほど強くなく、約165名がスタートした。監督からは前半部分で常に前で走り、アタックがあれば乗り、アタックもするようにと指示された。正直言ってこのコース、ずーと前に位置しながら、難関の急坂をトップ10以内の場所で走るのは本当にきついので、できれば30番前後でマイペースで走ってクリアしたいのが本音だった。でもこれが私のウイークポイントでもあるので、強度の高い練習だと思って、挑んだ。

 スタートからずーっと先頭で走り、思った通り急坂はGPM(賞金)があるためかなりハイスピードだった。久しぶりに追い込んだので乳酸が一気にたまり、頂上を少し越したあたりで全身寒気と鳥肌がたった。これはかなり追い込んだ時に起こる現象で、私は年間に数度しかこのようにならない。そこからは回復するのに15分はかかった。

 そしてまた集団の先頭に行き、2周目も先頭で登り始めて、またこの現象に襲われたのだが、次はめまいと頭に酸素がまわってない感じのまま、走り続けた。なんだか今日は調子が悪い。でもまだ集団で前に行こうと思えば行ける状態で、そして集団も大きいままだ。

 後半、私とペアになって仕事するはずのチームメイトが全く前にいない。無線で何度も呼ぶが来ない。そうこうしているうちに、監督から「美穂、アタックするように!」と言われ、様子をうかがいながらアタックしてみたが、1列棒状になるだけで、決まらない。

 そして最後の周回になり、先頭で急坂に入るように指示され、もうかなり疲労が溜まっていた。でもスプリンターのロシェールが頑張って集団にいるので、前の方で急坂に入ってもらうことで少し遅れても集団に残れるはずだという考えもあった。だから他のチームにアタックさせないためにも、いいペースで先頭を走るしかない。

 約5km先頭で走り、最後の急坂に入って、もうそこで力尽きた。70名ほどの集団は私を置き去りにして下りに入って行った。そこからはチームカーにも抜かされ、ゆるい登りに入ったところで集団が見えてきた。「あれおかしいな!?」と思って、チームカーを縫って追いかけたら、追いついた。ラスト5kmのところだった。

 1番後ろにいたので状況がすぐにつかめなかったが、9人の逃げが決まったようなのだが、そこにチームメイトはいない。それを聞いてすぐに前に行った。9人を目視できるくらいの差だった。そこに元チームメイトのオルガ・シュルサレバ(アテネオリンピックロード3位・3000m個人追い抜き優勝)が私の脇を通過したので、それを追走したと同時に、ロシャールが「美穂そのまま行け」と言ってきたので、全ての力を使って追走。ロシェールは私の番手についていた。

 残り500mで私は先頭を離脱し、そのままスプリントせずにゴールした。結局、前の9人にはギリギリ追いつけず、ロシェールは大集団の中で1着で10位だった。リザルトを見ると優勝者以外は同タイムだが、差は明らかにあった。

 今回、集団から遅れたが運よく集団のペースが緩んで追いついたが、ペースが緩まなっかたら70位前後だっただろう。これがロードレース、最後まで諦めてはいけないし、チャンスはある。リザルトとは別にいつも私は、今日の走りと今後どうしたらいいかを考える。ただ駄目だったとか、よかったとかだけでは進歩なし。

 そしてすぐに次のレースが来る。来週からフランスで始まる10日間(全11ステージ)のレース。女子のステージレースで今年1番の過酷なレースと聞いているし、私も2度の参加経験がある。実際すごくハードで、数年このレースを避けてきたが、今年は考えを変えた。これは、全日本選手権のための格好のトレーニングレースにできるので、そこでこの日のレースでできなかったことを試したいし、チャレンジしたい。
《編集部》
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