大井の帝王・的場文男が語る「東京大賞典の兵法」と、今年の展望「ミッキーファイトはとにかく強い」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

大井の帝王・的場文男が語る「東京大賞典の兵法」と、今年の展望「ミッキーファイトはとにかく強い」

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大井の帝王・的場文男が語る「東京大賞典の兵法」と、今年の展望「ミッキーファイトはとにかく強い」
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2025年3月を以て51年間の騎手生活にピリオドを打った的場文男さん。リーディングに輝くこと21回。“大井の帝王”として一時代を築き、68歳6カ月でステッキを置くまで7424勝(その他JRA4勝)を挙げた。

東京大賞典を前にして、大井競馬を知り尽くした“帝王”に、その戦い方の極意を聞いた。

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■理想の競馬がしやすいコース

「東京大賞典は暮れの大一番だから、乗ってる方も血が騒ぐよね。歴史も古くて、2600mで始まって2800mや3000mで行われていた時代があったほど。昔はオープンでは長距離戦が良しとされていたんだ。それが時代と共にだんだんスピード競馬が求められるようになった。

大井コースの形態からすると2400mはすぐコーナーで枠に左右されるけど、2000mなら最初のコーナーまで距離があって、枠順の有利、不利も少ない。それぞれがやりたい理想の競馬がしやすいから真っ向勝負。そのぶん、ごまかしが利かないってこと。流れもメンバー次第でいくらでも形を変えるから見ている方も熱くなるんじゃないかな。そのぶん展開を読んだり予想するのも難しいよね」

今ではチャンピオンディスタンスと称されるようになった大井2000mでは初夏に上半期の総決算となる帝王賞と、年末に1年を締めくくる東京大賞典が実施されている。

「同じ距離でも連覇している馬は意外といないもんだね。馬の中には暑い時期を苦手とするボンネビルレコードみたいな馬もいる。成績を見てもらえばわかるんだけど、帝王賞の成績は良くても東京大賞典では走りが今ひとつ。状態は悪くないように見えても難しかったね。

そういうメリハリが長い活躍につながったのかもしれない。頭の良い馬でどんな距離でもこなしたけど中央に行ってからはかしわ記念も勝ったし、日本テレビ盃にも乗せてもらってレコード勝ちしている。だけど、また大井に戻ってきてからは好走止まりで勝つこともできなくなっていた」。

たしかにボンネビルレコードは2007年から帝王賞で1着→2着→3着→3着と好走しているが、東京大賞典はすべて掲示板外だ。

「コンサートボーイも暑さにそう強くないからギリギリだった。帝王賞でアブクマポーロ、バトルラインとの追い比べになってのは今でも忘れられない。その後ろの4着馬まで9馬身もあいてた。コンサートボーイがクビ差アブクマポーロを抑えて勝ったんだけど、同じ年齢であっても成長段階が違っていた。

同じ年の東京大賞典ではアブクマポーロが驚くほど力をつけていた。遅咲きだったんだ。結果はアブクマポーロが勝って、2着メイセイオペラ、3着がコンサートボーイ。改めて考えると馬としての能力はアブクマポーロの方が高かったような気がしてる」。

■「ミッキーファイトはとにかく強い」

大井コースもまた時と共に変化を遂げている。

かつては青森産の砂が敷かれていたが、2023年秋からはオーストラリア産の珪砂(白い砂)を導入。砂圧も8cmから10cmとなり、2024年秋には9cmへと調整された。

「まったく変わったよね。昔は2、3番手内に付けるのが自分の得意な戦法だったし、結果を出しやすいポジションだった。でも泥砂だったから開催ごとに内外での砂圧が変わっていた。だから前半レースを見て様子を観察したもんだ。

さらに雨でも降れば途端に内側の砂が流れて薄くなったから、そのあたりを通ればスピードを出しやすかった。今の白い砂、あれはいい! 水はけがいいから安定して走れるようになった。定番だった勝利のラインは通用しなくなってしまったけどね」。

さて、29日に迫った東京大賞典。“大井の帝王”はどう見ているのか。

「ミッキーファイトはとにかく強い。去年のフォーエバーヤングと同じ4歳だけど、この世代は最強だよね。帝王賞も厳しい流れを断ち切って伸びてきた。JBCクラシックも勝っているし、GI(JpnI)3連覇もありますよ。ナルカミも出てくるんだね。3歳世代も面白い。枠順が影響しそうだからよく考えないとね。荒山さんところのディクティオンにもがんばってほしいよ」

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(取材・文●中川明美)

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