西武からポスティングによるMLB移籍を目指している今井達也投手。25年シーズンを無双した日本のエースは、FAとなっている先発投手のパワーランキングでも4位に選出されるなど現地で話題となっている。そんな中、MLB公式サイトが先日公開した記事「What to expect from Tatsuya Imai? Here are 5 MLB comparisons(今井達也に何を期待すべきか? MLBの5つの選手を比較)」内で、どのような投手像になるのかを、5人の現役投手と比較して分析している。
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今井との共通点に言及された5投手
1ルイス・カスティーヨ(マリナーズ)
Luis Castillo, 94mph Fastball…
And fist pump’s right at Salvy at 2B. 🔥 pic.twitter.com/MAvaNaNorK
— Rob Friedman (@PitchingNinja) September 18, 2025
今井が投球の軸としている4シーム、スライダー、チェンジアップ。そして少し低めのアングルからのフォームは、マリナーズのルイス・カスティーヨに酷似していると記事内では言及。「現在のカスティーヨは、腕の角度、球速、動きの面でメジャーリーグの今井と多くの共通点がある」とし、データを用いて分析している。
90マイル台半ばから後半の4シーム、80マイル台半ばのフェードアウトしたチェンジアップ、そして80マイル台半ばの鋭いスライダーといった投球スタイルはまさにカスティーヨの得意とするところであり、「メジャーリーグレベルで今井の上位の総合的な比較対象を探しているなら、カスティーヨはまさにその条件に最も合うタイプの投手だ」と総括しているのだ。今季は32試合に先発し11勝8敗、防御率3.54、奪三振162、WHIP1.18と、マリナーズで最多の登板数、2番目の勝利数とローテーションを守り切ったカスティーヨ。惜しくもWシリーズ進出を逃したマリナーズのエース格と比較されていることからも、今井に関する評価は非常に高いと言えるだろう。
2025年成績:32試合登板 / 11勝8敗 / 防御率3.54 / 奪三振162 / WHIP1.18
2マックス・シャーザー
「彼の投球スタイルはさておき、似たようなアプローチを取るMLBの投手が他にもいる。その一人がシャーザーだ」と、MLBを代表する大エース、マックス・シャーザー投手も今井との比較対象になっている。両者共に、右打者に対しては4シームとスライダーを多投。左打者に関しては、この2球種に加えチェンジアップ等のオフスピードピッチを駆使して投球を行っていると記事内では言及。実際に今井は2025年、右打者に対して90%以上が4シームとスライダー、左打者にはこれにチェンジアップとスプリットを加えた構成が90%。一方のシャーザーも右打者には4シームとスライダーで70%以上、左打者に対してはそこにチェンジアップを加えた構成で80%以上を占めているのだ。
Wシリーズでも登板したベテラン“マッドマックス”のような投球構成が期待されている。
3ジョー・ライアン(ツインズ)
記事では、投球全体だけでなく各球種の比較も行われており、代名詞の4シームはツインズのジョー・ライアンが比較対象になっている。2025年に4シームで100個以上の三振を奪ったのは、わずか4人。そのうちの1人であるライアンは今季4シームで109個の奪三振を記録している。腕の角度26度という低めのスロットから投げ込まれる4シームは、14インチの縦変化(浮き上がり)、13インチの横変化となっている。
一方の今井も腕の角度こそライアンよりも低めだが、浮き上がり14インチ、横変化15インチとなっており4シーム単体でみると球質が非常に酷似していることがわかる。「低いリリースから、高く浮き上がるような4シームで打ち取りたい」と語っている今井が、速球のロールモデルとすべき投手であるといえるだろう。
| 4シーム比較 | 縦変化 | 横変化 |
|---|---|---|
| ジョー・ライアン | 14インチ | 13インチ |
| 今井達也 | 14インチ | 15インチ |
4ポール・スキーンズ(パイレーツ)2025 サイ・ヤング賞
「注目すべきは、今井がオフスピードのときは山本選手を含む多くの日本のエースが得意とするスプリットではなく、まずチェンジアップを投げる点だ」記事内で言及するように、チェンジアップも武器としている今井。スプリットも投げつつ、近年使用頻度が上がったチェンジアップは、今季チームメイトから教わったバルカンチェンジもバリエーションに加わっているのだ。その結果、今季はオフスピード投球で40%以上の空振り率を記録している。そして「スプリッターとチェンジアップの両方を投げる、最大かつ最高の例」として比較対象になったのが、2025年のサイ・ヤング賞投手、ポール・スキーンズ投手だ。
今季スキーンズは左打者に対してスプリット17%、チェンジアップ15%と、複数のオフスピードの投球を同等程度みせている。一方の今井は左打者に対しチェンジアップ16%、スプリット7%、バルカンチェンジ4%となっている。スキーンズのようにオフスピード投球でどのように左打者を攻略していくかに、MLBでの活躍の鍵があるのかもしれない。
| 対左打者 球種配分 | チェンジアップ | スプリット | バルカンチェンジ |
|---|---|---|---|
| ポール・スキーンズ | 15% | 17% | – |
| 今井達也 | 16% | 7% | 4% |
5トレイ・イェサベージ(ブルージェイズ)
大きな武器となっている今井のスライダー。そんな特殊な球と比較されているのが、ワールドシリーズにおいてもドジャースを苦しめたルーキー、トレイ・イェサベージ投手のスライダーだ。
メジャー屈指の“オーバー・ザ・トップ・リリースポイント”であるイェサベージと、低めのリリースポイントの今井、位置に関しては真逆の2人ではあるが軌道には似通った部分があると記事内では指摘。「今井のスライダーがMLBでも同じ動きを見せるなら、曲がりに慣れていないメジャーリーグの打者を惑わす効果を発揮するかもしれない」と、NPBに引き続きスライダーが今井にとっての生命線になることを予想している。
レジェンドのシャーザーやサイ・ヤング投手のスキーンズなど、現在MLBでもトップレベルで活躍する5人の投手と似た部分があると語られた今井。1年目からローテ2~3番手のレベルで活躍することが期待されているが、一体どの球団に移籍するのか。注目のポスティング交渉期限は2026年1月2日17:00(日本時間1月3日7:00)までとなっている。
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