
今週は3歳クラシック三冠の最終戦、第86回菊花賞(GI、芝3000m)が京都競馬場で行われる。
今年は、トライアルの神戸新聞杯を制したエリキングをはじめ、同2着ショウヘイ、同3着ジョバンニが揃って参戦。セントライト記念からは2着ヤマニンブークリエと3着レッドバンデが出走。別路線からは、新潟記念2着から臨戦の青葉賞馬エネルジコや、ゲルチュタール、マイユニバース、アマキヒといった条件戦を勝ち上がった上がり馬も、ラスト一冠を狙って虎視眈々。多彩なメンバーが集まる混戦模様を呈している。
そんな中、1番人気濃厚のエリキングが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■皐月賞馬・ダービー馬不在の菊花賞に共通する傾向とは
今年は、3年ぶりに皐月賞馬とダービー馬が不在で争われる菊花賞。今回のようなケースは過去20年で7回あり、勝ち馬の傾向を見ると2013年エピファネイア、15年キタサンブラック、21年タイトルホルダー、22年アスクビクターモアのような皐月賞やダービーで3着以内に好走していた馬がラスト一冠を掴むか、08年オウケンブルースリ、10年ビッグウィーク、19年ワールドプレミアのように春の二冠は未出走だった上がり馬が制するかのいずれか。
エリキングは2歳時に無傷の3連勝で京都2歳Sを制したものの、骨折の影響からか春のクラシックは思うような結果を残せなかった。しかし、秋初戦の神戸新聞杯で圧巻の走りを披露。勇躍菊花賞へ駒を進め、GI馬不在のここでは1番人気に支持される可能性が高く、注目の的となるだろう。
しかし、前記で示したように、クラシックを制した馬が不在の年は、2冠で惜敗した馬の巻き返しか、上がり馬の台頭が勝ち馬のパターン。エリキングは春二冠でいまひとつの結果に留まっており、上がり馬という位置付けでもなく、過去の傾向に照らし合わせると、頭に飛び込んでくるイメージは湧かない。
■馬3:騎手7と言われる長距離戦
過去10年の神戸新聞杯勝ち馬の菊花賞成績は【2.0.2.3】と優秀だが、勝った2頭は三冠馬コントレイルと、ダービー2着があるサトノダイヤモンド。そもそもクラシックで実績を残していた馬だ。エリキングに彼らと同様の期待を寄せるのは荷が重いだろう。
また、コンビを組む川田騎手は、トップジョッキーの一人ではあるが、何故か長距離GIでは結果を残せていない。過去20年の芝3000m以上のGI(天皇賞春と菊花賞)では、ルメール騎手が【7.2.2.7】、武豊騎手が【5.3.6.21】であるのに対し、川田騎手は【1.0.1.29】で、わずか1勝、馬券内率6.4%にとどまる。馬3:騎手7と言われる長距離戦で、騎手の巧拙が結果に大きく関わるだけに、トップジョッキーといえども、川田騎手の相性の悪さは気にかかる材料だ。
今年の菊花賞は、確固たる主役不在の混戦ムード。その中で、押し出されるように1番人気に支持されそうなエリキングだが、前走の勝ちっぷりを評価して過信することは禁物。トライアル敗戦組や条件戦を勝ち上がってきた馬が台頭しそうな気配プンプンで、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。