予選会突破組の4人が苦戦の松山英樹をカバーするのか 香妻陣一郎、杉浦悠太、河本力、金谷拓実がトップ10を狙う 全米オープンゴルフ選手権 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

予選会突破組の4人が苦戦の松山英樹をカバーするのか 香妻陣一郎、杉浦悠太、河本力、金谷拓実がトップ10を狙う 全米オープンゴルフ選手権

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予選会突破組の4人が苦戦の松山英樹をカバーするのか 香妻陣一郎、杉浦悠太、河本力、金谷拓実がトップ10を狙う 全米オープンゴルフ選手権
  • 予選会突破組の4人が苦戦の松山英樹をカバーするのか 香妻陣一郎、杉浦悠太、河本力、金谷拓実がトップ10を狙う 全米オープンゴルフ選手権

12日からペンシルバニア州のオークモントカントリークラブで全米オープンが開催される。日本勢は、松山英樹に加えて、日本で開催された予選会を突破した杉浦悠太香妻陣一朗、予選会の結果により補欠となっていた河本力金谷拓実が繰り上げ出場する。

これまでの4大メジャーでは、日本勢の中で松山が一身に期待を集めていたが、今回は松山よりも松山以外の4選手に期待した方が良いかもしれない。

なぜなら、松山にとって開催コースがマイナス要素になりそうだからだ。

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■全米オープン唯一の予選落ちがオークモント

松山は昨年大会が6位。過去、全米オープンの予選落ちはたったの1回。トップ10入りは4回で、これは4大メジャーの中で最多。歴代覇者であるマスターズよりも好相性と見ることができる。

しかし、そのたった1回の予選落ちした大会が、今回の会場となるオークモントで開催された2016年大会。初日119位タイでスタートし、2日目に順位を上げられず119位タイのまま大会を終えた。

この時は2日間でダブルボギーが計3つ。出場した5名の日本勢の中で最多だった。難しいコースとセッティングであることをふまえてみても、“乗らない、寄らない、入らない”が際立つゴルフだった。

また、全米オープンといえば深くて長いラフが特徴の一つだが、今季の松山はラフからのショットがウィークポイントになっている。

100ヤード以内からのショット精度は、米ツアー2位だが、100ヤード以内のラフからの精度は116位。100ヤード以上からのショット精度は、16位だが、100ヤード以上のラフからの精度は36位。パーオンしなかったホールでパー以上のスコアでホールアウトする確率のスクランブリングは3位だが、ラフからのスクランブリングは8位となっている。

イメージが良くないオークモント、今季これまでは対応しきれていないラフ、今回の全米オープンは松山にとってマイナス要素が少なくない。

■勝負強さ発揮できるか

今回の全米オープンが海外メジャー初出場となる杉浦は勝負強い。

出場権を獲得した予選会では最終ホールでチップインバーディを獲得。このミラクルが無ければプレーオフに加わることになっていたため、出場権がとれていなかったかもしれない。

アマチュア優勝をとげ、プロ宣言をした2023年のダンロップフェニックスを思い返してみると、下部ツアーダンロップフェニックスチャレンジを制したことで同大会の出場権を獲得した。そして、プロ初優勝は24年の国内メジャー、日本プロ。

ビッグトーナメント、そしてビッグトーナメントへの挑戦権をかけた戦いに強いのが杉浦である。

5月の日本プロでは3位タイで、渡米前最後の大会となったミズノオープンでは5位タイ。2戦連続トップ5。調子を上げてオークモントに挑む。

■向上している平均ストローク

2023年からLIVゴルフを主戦場にしている香妻は、22年大会に初めて出場して以来の出場となるが、成長を感じさせている。

今季はこれまでLIVゴルフに3試合出場し、トップ10が1回、トップ25(トップ10含)が3回。他のツアーより出場選手が少ないとはいえ、昨季は13試合に出場してトップ10が1回、トップ25(トップ10含)が3回だったことを考えると、実力をつけてきていると言えるのではないだろうか。

5月の日本開催のアジアンツアー、インターナショナルシリーズジャパンでは7位タイに入っている。そして、全米オープンの予選会通過である。

香妻の平均ストロークを見ても、成長が見て取れる。日本ツアーを主戦場にしていた、2020-21年シーズンは70.870で13位、22年シーズンは71.406で33位だった。それが、23年シーズンは71.224で21位。24年シーズンは70.223。規定ラウンド数不足だったためランキング外だが、この記録は3位相当だ。

今回の全米オープンでは3年前とは違ったプレーぶりを見せてくれるのではないだろうか。

■アイアン“でも”勝負

予選会ではプレーオフで香妻に敗れ補欠1番手だったが、繰り上げで出場権を獲得した。全米オープン出場は2年連続2回目だ。

圧倒的な飛距離が持ち味の河本だが、今季の河本はアイアンショットも切れている。パーオン率が現時点で1位なのだ。昨季のパーオン率は44位。2勝をあげた22年でも5位だった。

全米オープン初出場となった昨年大会は下から2番目の順位で予選落ち。2日目の82はその日のワーストスコアだった。

アイアンショットに自信を持って挑める今回は、昨年大会のようなことはないはずだ。

■パット勝負に持ち込めるか

カナダの予選会に出場した金谷も補欠1番手だったが、繰り上げで出場権を獲得した。

今季がルーキーイヤーとなる米ツアーでは苦戦を強いられている金谷は、15戦して予選通過が5回。ポイントランキングは149位となっている。

浮上のきっかけを掴みきれないでいる金谷だが、5月のザ・CJカップでは、米ツアー自己最高順位となる5位タイに入った。

さらにメジャー全米プロでは初日112位タイだったが、2日目は84位タイまで上昇。予選通過まで2打足りなかったが、2日目のスタートホールでイーグルを奪うなど見せ場を作った。

金谷はフェアウェイキープ率が米ツアー今季現時点で5位。河本とは対照的にドライバーショットは方向の安定性を強みにしている。

フェアウェイキープし続け、パット勝負に持ち込むことができれば、3回目の挑戦となる今回、初めて予選通過できるのではないだろうか。

■トップ10で来年の出場権獲得

トップ10に入れば来年の出場権を獲得できるが、日本勢がトップ10に入れば、来年大会に出場する日本選手の数が増える可能性がある。

全米オープン出場権を獲得するために予選会にエントリーする必要がない選手が増えるほど、予選会突破組の数を足した時の数が大きくなるからだ。

全米女子オープンがそうだったように、出場する日本選手が増えるほど、日本選手が上位争いする可能性が高まる。

来年大会でより多くの日本選手が出場するためにも、松山以外の選手のトップ10に期待したい。

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著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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