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北海道日本ハムファイターズからポスティングシステムでのメジャー移籍を表明していた上沢直之投手が11日(日本時間12日)、レイズとマイナー契約を結んだ。今後は春季キャンプに招待選手として参加し、メジャー昇格を目指すことになる。
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■「投手育成の実績に魅力を感じた」と明かす
交渉期限は米東部時間11日午後5時(同12日午前7時)だった。タイムリミットを迎えても発表はなく不成立と思われたが、その4時間後にレイズから発表された。
上沢は球団を通じて「レイズに加わることに興奮しており、MLBでのキャリアを始める機会を頂き感謝している」とした上で、加入を決断した理由について「球団は投手育成に関して多くの成功を収めており、その実績に魅力を感じたからです」と語った。
上沢は昨季、山本由伸投手を上回るパ・リーグトップの170回を投げて、防御率2.96をマーク。通算9シーズンでは1000回以上投げ、防御率3.19を記録するなど「イニングイーター」として認められる存在。そのため、移籍情報を扱う米メディア『MLB TRADE RUMORS』も「ウワサワの実績を考えればマイナー契約は驚くべきこと」と記した。
ただ、同メディアは契約に苦しんだ理由も合わせて提示。「ストレートの平均球速はわずか90.8マイル(約146キロ)であり、それが奪三振の少なさにつながった」と指摘し、「それで日本選手より優れているメジャーの打者をどう抑えるのか、各球団が疑問を持つのも当然だった」と説明した。
上沢の奪三振率は昨季17.8%にとどまっており、山本由伸投手の26.6%、今永昇太投手の29.2%と比べると、パワーあふれるメジャーの強打者と対峙するには心もとないと映った可能性は高そうだ。
■前田健太のように成功する可能性も
メジャーの場合、先発右腕が投じるストレートの平均球速は94.2マイル(約152キロ)。そこを基準に考えると確かに物足りないが、前田健太投手も上沢とほぼ同じの91マイル(約146キロ)、通算93勝カイル・ヘンドリックス投手に至っては87.8マイル(約141キロ)となっており、スピード不足でも変化球を生かせば通用する余地は十分にある。
レイズはタイラー・グラスノー投手がドジャースへ移籍し、左のエースであるシェーン・マクラナハン投手はトミー・ジョン手術を受けて、復帰時期は未定。先発投手陣の再編が求められており、同メディアは「もし、ウワサワが春季キャンプとマイナーリーグのシーズン序盤で好調なら、メジャーで投げる機会は訪れるはず。それが先発ローテーションの役割か、中継ぎになるか分からないが……」と予想した。
カブスに加入した今永にしても、争奪戦から撤退した球団はフライボール投手であることや昨季被弾した17本中13本が右打者に浴びている点に懸念を示したからと伝えられている。メジャーとマイナー契約の違いはあるにせよ、アジャストして結果を出さなければ生き残れないのは同じ。日本投手、特にルーキーには厳しい戦いが待っている。
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文●SPREAD編集部