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10日、香港・シャティン競馬場にて香港国際競走が行われる。先陣を切って発走するのが、クラシックディスタンスの頂点を争う香港ヴァーズ(GI・芝2400m)。日本からは大将格と目されていたシャフリヤールが出走を回避し、ジェラルディーナ、レーベンスティール、ゼッフィーロの3頭が参戦。立ちはだかるのが、名門厩舎が送り出す欧州勢の2騎か。9頭立てと手頃な頭数ながら、どこからでも狙える混戦模様だ。
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■名門A.オブライエン調教師が、4回目制覇を狙う
過去10年で日本勢が4勝、欧州勢が4勝、香港勢が2勝と、星を分け合っている印象の香港ヴァーズ。しかし、今年は例年以上に香港勢が手薄なメンバーで、ここは日本vs欧州という構図になりそうだ。
そんな中、レース最多の3勝をマークしているアイルランドのA.オブライエン厩舎が送り出してきたのが、3歳牝馬のウォームハートだ。ヨークシャーオークス、ヴェルメイユ賞と二つのGI制覇を果たしており、欧州の牝馬ではトップクラスの実力馬。
前走のブリーダーズCフィリー&メアターフでは、距離不安がありながら小回りコース、芝2000mに対応してクビ差の2着と好戦し、昨年の香港ヴァーズ勝ち馬・ウインマリリンにも先着を果たしている。今回は初めて牡馬が相手となるが、適距離で戦えることに加え、斤量53キロは大きなアドバンテージ。十分に太刀打ち可能だろう。
■日本勢はどの馬にもチャンスあり
日本勢の実績最上位は、昨年のエリザベス女王杯を制したジェラルディーナとなるが、今年は牡馬が相手のGIを中心に使われているものの、5戦して一度も好走できていない。勝ち鞍はすべて1800mと2200mで、非根幹距離では強さを発揮しており、根幹距離は向かない印象がある。ここでは押さえにとどめたい。
レーベンスティールは2走前のラジオNIKKEI賞では、鞍上のミスリードの印象で3着に敗れたが、一番強い競馬を見せていたのがこの馬。続く前走のセントライト記念では、皐月賞馬ソールオリエンスを完封し、重賞初制覇を成し遂げ、見立て通りに能力開花を示してくれた。
初めての海外遠征で初距離と、乗り越えるべきハードルは高いが、デビューから大きく崩れない安定性は魅力的。継続してJ.モレイラが騎乗できる点も強みで、勢いに乗ってビッグタイトル獲得があっても何ら驚けない。
一方、勢いに乗っているという点では、ゼッフィーロも可能性十分な1頭。2走前のオールカマーでは2着タイトルホルダーと同タイムで3着に好走。前走のアルゼンチン共和国杯では、鞍上の好騎乗も光っていたが、上がり最速の切れ味を発揮して重賞初制覇を果たした。
こちらも大きく崩れない安定性があり、血統背景からもシャティンへの馬場適性は高そうな印象。距離経験値ではレーベンスティールよりも優れており、鞍上D.レーンなら一発があってもおかしくない。
■穴をあけるなら、フランスのジュンコ
心情的に日本馬から入りたい気持ちはあるが、日本で馬券が発売される点も加味すると、愛のウォームハートがレーティング最上位とはいえ、おいしいオッズにありつけそうで、この馬を中心に馬券を組み立てたい。
日本勢3騎はそれぞれ可能性を秘めており、相手には加えておきつつ、マークしたいのが、フランスの名伯楽A.ファーブルが送り出してきたジュンコだ。
今年のサンクルー大賞では、凱旋門賞2着馬・ウエストオーバーの3着に敗れたものの、前走のバイエルン大賞で待望のGI初制覇を果たし、勇躍香港へ乗り込んできた。
フランス勢は過去10年で【1.3.4.10】複勝率41.2%と好成績。出走数がそれほど多くないにも関わらず、8頭が馬券に絡んでおり、人気を問わず、出てくればマークしておきたい存在。ジュンコもそこまで人気を集めそうな印象はなく、穴をあけるならこの馬だ。
◎(9)ウォームハート◯(8)レーベンスティール▲(3)ゼッフィーロ△(7)ジェラルディーナ△(1)ジュンコ
馬連流し(4点)軸:9相手:8、3、7、1
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。