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第51回フジサンケイクラシックが31日に開幕する。会場は今年も山梨県の富士桜カントリー倶楽部。もともと、川奈ホテルゴルフコース富士コースが会場だったが、女子のフジサンケイレディスクラシックが2005年から川奈を会場とすることになり、男子は会場を富士桜に移すことになった。今大会が富士桜開催19回目となる。
その富士桜を得意としている選手がいる。石川遼だ。
今年のフジサンケイクラシックの設定は昨年よりも100ヤード以上総距離が短くなり、初めてパー70で開催される(昨年まではパー71)。アウトとインを入れ替え、コースレイアウトも変更になった。これまでの大会とは雰囲気が異なるものになるが、石川との相性の良さは変わらないだろう。
◆今季の石川遼は自己最高「平均304.54ヤード」 過去イチのドライバーで後半戦巻き返しへ
■過去、2連覇含め好成績
年間4勝をあげ賞金王になった2009年にフジサンケイクラシックを初めて制している。そして翌2010年大会も優勝し、2連覇を達成した。以後も優勝こそ無いものの、出場した年は上位で戦うことが多い。
プロデビュー後、同大会には10回出場。うち1回予選落ちがあるものの、2勝を含め7回トップ5に入っている。
アマチュアとして出場した1試合の成績を加えれば、より相性の良さが分かる。
高校1年生でアマチュアとして初めて出場したプロの試合で優勝し‟ハニカミ王子”として一大旋風を巻き起こした2007年。その優勝したマンシングウェアオープンの次に出場した大会がフジサンケイクラシックだった。
ここで石川は2日目終了時点でトップと3打差の6位タイにつけ、優勝争いに加わった。2連勝とはならず15位タイでのフィニッシュとなったが、あらためて石川の大きな可能性を感じさせる大会となった。
また、アマチュア最終年となったこの年、計8試合に出場。フジサンケイクラシックの15位タイは、優勝したマンシングウェアオープンの次に上位のフィニッシュだった。
■フェアウェイキープ率上向き
石川のウィークポイントはドライバーショット。飛距離は出る方だが、大きく曲がる傾向にある。
だが、ここ数年、徐々にではあるがドライバーショットに安定感が出てきている。以前のフェアウェイキープ率の年間平均は40%台だったが、2019年からは毎年50%を超えるようになった。
先週のSansan KBCオーガスタゴルフトーナメントでは4日間平均で62.500%を記録。決勝の2ラウンドはいずれも71.429%で、調子を上げてきている。
加えて、上向いているドライバーショットを、富士桜という舞台が後押しする。フジサンケイクラシックでのフェアウェイキープ率は、年間のフェアウェイキープ率よりも高い傾向にある。他の大会よりもティーショットがフェアウェイをとらえているのだ。
フジサンケイクラシック初優勝となった2009年大会や5位に入った2019年大会のフェアウェイキープ率は70%を超えた。5位タイとなった昨年大会は約60%。
ティーイングエリアに立った時「構えやすい(構えにくい)」というのはツアー選手レベルでもあることだが、石川にとって富士桜は構えやすいコースなのかもしれない。
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石川遼のフジサンケイクラシックFWキープ率
■‟ゆうしょう”
石川はアマ優勝を含めて通算18勝をあげているが、複数回優勝している大会が多い。フジサンケイクラシック2勝、三井住友VISA太平洋マスターズ3勝、日本シリーズJTカップ2勝、セガサミーカップ2勝。もちろん各大会同じ会場だ。
18勝の内9勝。半分が複数回優勝している大会(コース)。石川には、得意なコースではめっぽう強い、という特徴が見える。今年もその特徴を発揮するのではないか。
2010年のフジサンケイクラシックでは、石川遼史上ベストショットの一つが飛び出した。首位と1打差で迎えた最終18番ホールの2打目。ボールはフェアウェイ横のバンカー。そこからベタピンにつけバーディ。プレーオフに持ち込み、2連覇を達成した。
勢いのある派手な勝ち方は石川らしいが、フジサンケイクラシックの特徴的な大皿の優勝トロフィーの名は‟悠翔”。字の意味を考えた場合、2010年頃の石川よりも今の石川の方が、トロフィーを掲げる姿は絵になるかもしれない。
好相性の富士桜で、もう一度米ツアーへ翔び立つきっかけになる‟ゆうしょう”トロフィーを手にできるか注目だ。
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著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。