【スーパーフォーミュラ】第3戦 王者・野尻智紀のまさかの失速リタイア、宮田莉朋が逆転で初優勝 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【スーパーフォーミュラ】第3戦 王者・野尻智紀のまさかの失速リタイア、宮田莉朋が逆転で初優勝

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【スーパーフォーミュラ】第3戦 王者・野尻智紀のまさかの失速リタイア、宮田莉朋が逆転で初優勝
  • 【スーパーフォーミュラ】第3戦 王者・野尻智紀のまさかの失速リタイア、宮田莉朋が逆転で初優勝

富士スピードウェイでの開幕2戦から2週間という短いインターバルを経て行われた鈴鹿サーキットでのスーパーフォーミュラ第3戦は、意外な展開で始まり、意外な展開で幕を閉じた。

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■野尻智紀の3連覇に黄信号

クルマとタイヤが新しいスペックに変わったことに全く動じず富士では引き続き王者の風格を見せた野尻智紀(チーム無限)が予選、決勝ともに“らしくない”戦いを見せた。得意の鈴鹿戦を迎え、3連覇の道を引き続き順調に歩んでいくものと多くが思ったに違いないが、事態は急変した。

プロローグは土曜日の予選。昨年から特に予選で抜群の速さを見せていた野尻がなんと、Q1で7位敗退からの小林可夢偉(KCMG)のペナルティによる薄氷を踏む繰り上げQ2進出。Q2では3位と盛り返したものの、明らかにいつもの野尻の予選ではなかった。

決勝でもスタートからペースが悪く、5周目には5位まで後退。11周目と早めのピットインでタイヤを交換し第2スティントで挽回を図るも、19周目にピットインし野尻の前でコースに復帰した大湯都史樹(TGMグランプリ)をオーバーテイクしようとした際にS字コーナーで接触してしまい、リタイアでレースを終えた。優勝できなくても着実に上位でレースを終えてきたことが2連覇の大きな原動力だった。それ以前もミスのない着実なレースを続けてきた印象の強い野尻。ミスをして接触しレースを失ったのはいつ以来なのか、ちょっと思い出せない。

「あの場面は抜きに行ったのではなく、しっかりと前についていって次の逆バンクでオーバーテイクに行く展開を考えていた。そのためにはかなり接近しておく必要があった。その距離感を誤ってしまった。近づいたときに吸い込まれやすいというSF23の空力特性もあるが、この接触は自分の判断ミスから起きたことだと思う。大湯選手にも、彼のチームにも、彼を応援しているファンにも、申し訳なかった」。レース後、野尻はこう語っている。ペースが悪いながらも我慢の走りでなんとか表彰台を目指していた中で、必要だったのがこの場面でのオーバーテイクだった。だがそこで珍しくミスをし、最悪の結末を迎えることになった。

レースはその後、セーフティカーのタイミングでピットインし3位にジャンプアップした宮田莉朋(トムス)が、終盤さらに果敢な攻めでトップまで浮上し優勝。

これでランキングはトップの野尻に宮田が4ポイント差の2位、4位に入ったリアム・ローソン(チーム無限)が7ポイント差の3位と、タイトル争いは接戦となった。これまで勝てそうで勝てないレースが続いていた宮田がようやく優勝に漕ぎつけたことで覚醒する予感もするし、F1候補生のローソンの速さもまだ伸び代がありそうだ。一方、痛恨のミスを喫した野尻は、気持ちをうまく切り替えられるのか。

「しっかりと切り替えて次戦には臨む。やってしまったという気持ちを長引かせるつもりはない。今回の件で周りからいろいろと言われると思うが、それらすべてをしっかりと心に刻み、ひと回り強くなってみせる」と最後にコメントしていたが、何年もその状況がなかっただけに本当に強さが戻るのか、第4戦ではそのあたりも気になるところだ。

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著者プロフィール

前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター

2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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