
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップが4日、茨城県茨城ゴルフ倶楽部・西コースで開幕する。過去3大会の優勝者は、2022年が山下美夢有、21年は西村優菜、19年は渋野日向子だ(20年は中止)。
この3名は、その年の賞金女王争いに加わるなど、その後各世代のエース級に成長した。この流れが続くのであれば、今年は山下美夢有の次の世代のエース候補が優勝し、大きく飛躍するきっかけをつかむか。

山下は2001年生まれ。02年生まれのエース候補は、岩井明愛、千怜の双子姉妹が挙げられる。特に千怜は好調を維持。最近の4試合は、2位タイ、14位タイ、2位タイ、4位タイと、今季初優勝の予感が漂う。
岩井姉妹のさらに下の世代となると、2003年生まれの神谷そら。今季ツアー初優勝を果たし、最も勢いに乗っている選手の一人だ。同じく03年生まれの竹田麗央も注目株。今季は、開幕戦こそ予選落ちとなったものの、次の試合から8試合連続で予選を通過している。
2019年の渋野がそうだったように、確実に予選を通過しながら、チャンスが巡ってきたワールドレディスチャンピオンシップでツアー初優勝となる可能性は十分にある。今季ドライビングディスタンスは神谷が1位で竹田が4位。持ち前の飛距離は、6780ヤードと長いコースで武器になるだろう。
だが今回は、そんな日本人選手の前に、海外の選手が立ちはだかる。韓国の女王、パク・ミンジだ。
◆穴井詩、一番乗りで今季2勝目 パナソニックオープンレディース最終日
■韓国ツアー2年連続賞金女王のパク・ミンジ
パク・ミンジは2021年と22年、2年連続で韓国ツアー賞金女王に輝いている。それぞれ年間6勝。21年が25戦、21年が22戦だったので、勝率は24%と約27%。2年間トータルでの勝率が約26%だ。
2021年、日本ツアーで圧倒的な強さを見せた稲見萌寧が34戦8勝で勝率が約25%。2年連続でその稲見のような強さを見せている(※20年と21年のシーズンは統合だった。稲見はシーズンとしては45戦9勝)。
今季はこれまで韓国ツアーで4戦し、勝利はまだないが、4月13日から16日に開催されたメディヒール韓国日報選手権では優勝争いを繰り広げるなど、トップ10に2度入っている。
1日時点のロレックスランキング(世界ランキング)は26位。これは23位の山下美夢有に次ぐ、出場選手中2番目の順位となる。一時は14位まで上げていた。
茨城ゴルフ倶楽部のコースマネージメントという面では、同コースをこれまでの大会で経験してきている日本ツアー選手よりも不利。だが、スポットで出場した米ツアーではトップ10に入ることもあるなど、まずまずの結果を残してきた。
日本ツアーにもアジャストして実力を発揮してくるのではないだろうか。
■韓国人選手らしい右かかとの動き
パク・ミンジは韓国人選手らしく、クセのない綺麗なスイングだ。多くの韓国人選手と同じように、ダウンスイングからインパクトで右足かかとの浮き上がりを抑え、ベタ足気味で振りぬく。
この右足かかとの浮き上がりを抑える打ち方は、飛距離よりも方向の面でプラスになりやすい。パク・ミンジのデータにもそれが表れている。

ドライビングディスタンスは240ヤード前後と、アドバンテージを得られるほどのものではないが、パーオン率が高いレベルで安定している。21年のパーオン率が78.8889%で3位、22年が76.4660%で7位だ。
■1998年生まれの“黄金世代”
米ツアーを主戦場にしており、日本人女子選手のエース格である畑岡奈紗や渋野は、1998年生まれ。東京オリンピック金メダリストで、ロレックスランキング1位のネリー・コルダも98年生まれだ。
そして、パク・ミンジも同年生まれ。“黄金世代”という呼称は、日本だけではなく世界の女子ゴルフ界にあてはまるものかもしれない。
パク・ミンジは、昨年12月にインスタグラムで、申ジエとの2ショット写真とともに「ジエのゴルフを見て育った」と投稿。その申ジエは2018年大会の覇者。「憧れの申ジエが優勝した大会で自分も」と、意気込んでいるのではないだろうか。
日本の次世代のエース候補VSパク・ミンジ。軍配が上がるのはどちらか、要注目だ。
◆ルーキー神谷そら、ツアー8戦目で歓喜の初優勝 フジサンケイレディスクラシック最終日
◆岩井明愛が逆転で初優勝、双子Vはツアー史上初 KKT杯バンテリンレディス最終日
◆畑岡奈紗は1年ぶりの優勝なるか、ショット修正で好相性のコースに挑む JMイーグルLA選手権
著者プロフィール
野洲明●ゴルフ活動家
各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。