【Bリーグ】日本代表戦をバネに飛躍した須田侑太郎は名古屋ダイヤモンドドルフィンズを優勝へと導くか | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Bリーグ】日本代表戦をバネに飛躍した須田侑太郎は名古屋ダイヤモンドドルフィンズを優勝へと導くか

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【Bリーグ】日本代表戦をバネに飛躍した須田侑太郎は名古屋ダイヤモンドドルフィンズを優勝へと導くか
  • 【Bリーグ】日本代表戦をバネに飛躍した須田侑太郎は名古屋ダイヤモンドドルフィンズを優勝へと導くか

Bリーグのバイウィーク中に行われた、バスケットボール男子日本代表がワールドカップアジア地区予選Window5、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ須田侑太郎(SG/SF)は11日に行われたバーレーン戦、14日に行われたカザフスタン戦ともに日本代表として戦った。

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■代表戦による疲労、そして学び

バイウィーク明け19日、20日に、愛知県小牧市にあるパークアリーナ小牧で行われたB1リーグ第6節、川崎ブレイブサンダース戦後に話を聞くことができた。

バーレーン、カザフスタンともにアウェーでの戦いと移動を含め、大変ハードなスケジュールをこなした。「タフな状況だった。でもプレーする以上、言い訳にはならない」と言いながらも疲労の色は隠せなかった。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズは須田に加えて張本天傑(SF/PF)も日本代表でプレー、レイ・パークス・ジュニア(SG)もフィリピン代表でプレー。川崎ブレイブサンダース戦ではやはり代表戦後の疲労が大きく、ショーン・デニス・ヘッドコーチは「だいぶ疲れて帰ってきた。加えて、5人対5人などフルの練習が3週間できていなかった」と試合後の会見で振り返った。

デニスHCは、代表で活躍する選手を複数名抱えるクラブの難しさを実感しながらも、須田や張本の代表での活躍について「とてもよかった」と喜ぶ。「日本代表が上達し、いい方向へ向かっている。トム・ホーバス・ヘッドコーチがいい指揮を執っている」ともコメントした。

2021年11月に行われた、2023年FIBAワールドカップのアジア予選の中国戦、須田は日本代表として公式戦に初めて出場、今年7月に行われたFIBAアジアカップにも出場した。その大会、シリア戦ではスリーポイント・シュート9本を含む33得点の活躍、キャリアハイの記録を残した。

先日のワールドカップ・アジア地区予選Window5でもスターターで出場するなど、日本代表の中で、中心選手として定着している。ここまでの成長を、デニスヘッドコーチは「ホーバス・コーチが須田に対して自信を持たせてくれているのが素晴らしい。名古屋ダイヤモンドドルフィンズのシステムに似ているところもあり、うまくいっているのではないだろうか。彼は日本代表のシステムに合っている」と語った。

須田自身も、自チームのシステムと「ベーシックな部分は似ている」と、やりやすさを感じている。さらに、「微妙なニュアンスの違いに慣れてきたので、頭で考えなくても体が反応するレベルまで来た。プレーに余裕が生まれ、自信にも繋がっている」と代表戦での自身をこう分析した。 昨シーズン、アルバルク東京から移籍。「それまで真逆に近いバスケットをしていた。昨シーズンはデニス・ヘッドコーチのスタイルに振り切れていなかった。良くも悪くも色々なことをしようと考えながらシーズン過ごしてしまった」。いい時期もありつつ、もがいていたのも事実だろう。

今年の夏の代表招集が、そんな須田に変化をもたらした。

■「精度を高めないと優勝はできない」

リーグ優勝経験者としてチームをけん引する須田 提供:名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

シンプルなマインドに振り切れるようになった。そのきっかけは、ホーバス・ヘッドコーチとの会話から生まれた。一人ひとりが明確な役割が与えられるバスケットスタイル、須田に与えられた役割は、スリーポイント・シュートとディフェンスだった。指揮官とコミュニケーションを取る中で、「須田のスペシャルなところはスリーポイントだよ」と明確に言われた。ホーバスHCを信頼しているからこそ、そのたったひと言が、吹っ切れるきっかけとなった。それまでは自身のことを「そこまでシューターという位置付けで考えていなかった」が、以降自らをシューターと強く認識することができた。

さらに、それぞれ各チームからスペシャルな選手が集まる中で「自分がどう生き残るのかを考えた時、スリーポイントとディフェンスはとても大切だと感じた。突き抜けたいい感覚のまま、チームでもプレーできている」という。日本代表も自チームも、バスケットのスタイルが、須田に合っていることに加えて「アグレッシブにシュートを狙うなど、考え方がシンプルなこと。そこは自分の良さでも合ったので、うまくマッチしている」と手応えを語った。

これまで、宇都宮ブレックス、アルバルク東京でBリーグ制覇を経験してきた。名古屋ダイヤモンドドルフィンズでもその期待がかかる。「リーグ全体を見ても、プレーしていても、タレントがかなりそろっているチーム。ポテンシャルはすごく高く、チャンスはある。ただ、細かい部分の精度を突き詰めていかないと優勝はできない」と分析。最後に勝ち切れるように「長いシーズン、アップダウンはあるだろうが、それを共有し乗り越えていくだけのチーム力を高めて結束していきたい」と、冷静に語った。

日本代表を経て自信が生まれ、迷いもなくなった。現在30歳、今後さらに円熟味を増すであろう須田のプレーが、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを優勝へと導くことができるか、期待したい。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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