【K-1】現王者・軍司泰斗、“中国の武尊”ワン・ジュングワン……群雄割拠の「フェザー級最強決定戦」を読む | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【K-1】現王者・軍司泰斗、“中国の武尊”ワン・ジュングワン……群雄割拠の「フェザー級最強決定戦」を読む

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【K-1】現王者・軍司泰斗、“中国の武尊”ワン・ジュングワン……群雄割拠の「フェザー級最強決定戦」を読む
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ECO信頼サービス株式会社 PRESENTS K-1 WORLD GP 2022 JAPAN~K-1フェザー級世界最強決定トーナメント~」が11日、福岡国際センターで開催される。

6月19日に行われた『THE MATCH 2022』後、同月25日にはK-1初の女子大会が開催されたが、通常のK-1興行は4月の『K’FESTA.5』以来だ。福岡大会は3年連続の開催となる。

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■“群雄割拠の戦国時代”フェザー級最強は誰か

大注目は、やはり「K-1フェザー級世界最強決定トーナメント」。同階級は、まさに“群雄割拠の戦国時代”となっている。

2021年3月、椿原龍矢が当時のK-1王者・江川優生を再戦で下して王座を戴冠。同年12月、今度は軍司泰斗が椿原からベルトを奪い取り、政権交代した。今年4月には軍司の初防衛戦が行われ、新世代の斗麗がワンマッチで挑戦。軍司に軍配が挙がったものの、延長判定にもつれる接戦を演じるなど層の厚さが際立つ。一方Krushの舞台では、玖村修平が5月に破格の強さを見せていた新美貴士を撃破し王座に就いている。

今回のトーナメントは海外勢も含めた、まさに「K-1フェザー級“真”の最強」決定戦。ファンも思ったことだろう。『THE MATCH』というビッグイベントを終えたばかりで、「こんなにも豪華カードが組めるのか」と。

新生K-1では、これまで2軸のトーナメント方式を採用してきた。ひとつは、空位の王座を争う「王座決定トーナメント」、もうひとつは現在王者が存在する中で、真の世界最強を決める「世界最強決定トーナメント」だ。2つ目は選手の層が厚く、熱戦が見込まれる場合に開催される。

過去、2018年には林健太が優勝し、一気に名を挙げた「K-1ライト級世界最強決定トーナメント」、19年には絶対王者として活躍した武居由樹玖村将史を中心とした「スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント」などが開催されている。ちなみに、K-1現役王者ではない選手がトーナメント制覇を達成した場合、K-1王者とのベルトをかけたタイトルマッチが組まれることもある。

■トーナメント初戦の見どころと試合展望

強豪揃いのトーナメントの見どころはどこか。組み合わせは以下の通り。

(C)K-1

一回戦(1)玖村修平vsジャオスアヤイ・ソーデッチャパン

玖村は、『THE MATCH』に出場した玖村将史の兄。元同門の久保優太から称賛されるほどの努力家。その格闘技に対するストイックさで必死に努力し、今年5月のKrushタイトルマッチでは、新美貴士にパンチでの真っ向勝負を挑んで判定勝ち。K-1とKrushに参戦して、初のベルトを腰に巻いた。

筆者が選ぶベストバウトは、やはり今年5月の新美戦だ。

対するジャオスアヤイは、アグレッシブな試合が好まれるムエタイのTVマッチを主戦場に戦ってきたファイター。過去、K-1では4試合戦っており安保璃紅、卜部弘嵩、小澤海斗に勝利している。得意技は飛びヒザ蹴りで、安保戦では1ラウンドでお見舞いしてダウンを奪い、パンチでKO勝利を収めている。

筆者が選ぶベストバウトは、19年11月の卜部戦。フェザー級トーナメントの準決勝で、倒し倒されの激戦を演じた。

▼試合展望ジャオスアヤイは、カウンターの飛びヒザ蹴り、ハイキックなど蹴りを的確にヒットさせに行くだろう。玖村がいかに蹴りをさばき、距離を詰めてパンチをヒットさせるか。ジャオスアヤイは気の強さが武器でもあるため、削り合いの展開になる可能性が高いとみる。

一回戦(2)軍司泰斗vsファク・スアレス

現役王者の軍司は、K-1アマチュア、甲子園、Krush、K-1と新生K-1のピラミッドのすべてで王者となった、まさに“K-1の申し子”だ。今年2月にはカリスマ・武尊とのエキシビションで拳を交え「これから引っ張って行ってね」と魂を伝承された。「K-1の象徴、顔になりたい」との覚悟でトーナメントに参戦する。

筆者が選ぶベストバウトは、昨年12月王者・椿原龍矢を5度目の決着戦で破り、ベルトを巻いたタイトルマッチだ。

対するスアレスは、K-1初参戦。南米の立ち技格闘技イベント「WGP Kickboxing」を主戦場をするアルゼンチンのファイター。K-1公式サイトによると「多彩なパンチのコンビネーションとローキック、そして打ち合いを好むアグレッシブなファイトスタイル」とのこと。1階級上の「WGP Kickboxing」の-60kgのベルトを巻いたこともある。

「WGP Kickboxing」の-60kgのベルト獲得時の様子が、YouTubeに上がっている。映像で見る限り、ガードを固めて前に出続けるアグレッシブなスタイルを誇り、フックからのストレートやローキックを中心に戦うようだ。

▼試合展望軍司は上下のパンチの打ち分けが得意。左ジャブで相手の顔面を突き、攻撃を組み立てる。不意打ちの飛びヒザ蹴りやハイキックでダウンを奪う可能性も。スピードでは軍司に分があるようだが、スアレスも頑丈なフィジカルを誇る。スアレスとしては、いかにして距離を詰め、ローキックで軍司を削れるかがカギ。早いラウンドであれば軍司がKOする可能性もあるが、後半になればスアレスの追い上げがあっても不思議ではない。

一回戦(3)椿原龍矢vs斗麗

椿原は、K-1では異質なアウトボクシングスタイルを売りとするファイター。当時の絶対王者・江川優生から2度勝利を収めたことで、多いに注目を集めた。現在は軍司にベルトを奪われたが、今回トーナメント制覇を成し遂げ、軍司との再戦を実現させたいところ。3ラウンドまで息が上がらずに縦横無尽にリングを動き回り、抜群のタイミングでハイキックなどを放ってくる。

筆者が選ぶベストバウトは、21年3月の江川優生戦。接戦となったが、最後まで自身のアウトボクシングスタイルを貫き、江川の執念を振り切った試合だ。

斗麗は、K-1&Krushでは無冠だが、その高い戦闘能力から次世代のスター候補として注目されるファイター。オランダの名門・マイクスジムでの修行経験も持つ男で、左右スイッチを器用に使いこなし、ヒザ蹴りやハイキックなど多彩に放ってくる。

筆者が選ぶベストバウトは、昨年9月の佑典戦。斗麗の当て感の良さを光った試合で、抜群のカウンターフックでKO勝利。そのポテンシャルの高さを発揮した試合だ。

▼試合展望椿原は普段通り、ステップを使って動き、遠い距離からのパンチや蹴りを当てていくだろう。斗麗はいかにして、距離を詰めるか。両者ともスピードのあるミドルやカウンターのハイキック、フックのコンビネーションを持つため、ハイレベルな技術戦が予想される。お互いに決定打は許さない戦いを演じるため、接戦も予感される。

一回戦(4)新美貴士vsワン・ジュングァン

新美は、上記で解説した椿原とはまさに真逆のスタイル。ガードを固めて、前へ前へ出続け、重いミドルやロー、そしてゴツゴツとしたパンチで削っていくスタイルを誇る。直近は2連敗中だが、フェザー級トップ戦線に位置することは間違いない。十分優勝の可能性を秘めている選手だ。

筆者が選ぶベストバウトは、2021年12月の篠塚辰樹戦。他団体で活躍してきた篠塚を相手に攻め続け、ボディへのミドルやヒザ蹴りで相手の心を折ってK0勝利を収めている。

ワン・ジュングァンは中国の武林風でキャリアを積み、その本能的なファイトスタイルから“中国の武尊”と呼ばれる。2017年9月には武尊と対戦し、判定負けしたが激戦を演じて注目を集めた。19年には武林風でK-1にも参戦したホルヘ・バレラにKO勝利、同年のONEチャンピオンシップでは那須川天心と戦ったフェデリコ・ローマを1ラウンドKO。19年12月にはONE世界ストロー級タイトルマッチまで上り詰めた。

筆者が選ぶベストバウトは、19年のフェデリコ・ローマ戦。1ラウンドから持ち前の右ストレートでダウンを奪い、武尊を彷彿とさせるフックの連打で圧巻のKO勝ち。高いポテンシャルを遺憾なく発揮していた。

▼試合展望激しい打ち合い、そして削り合いが予想されるだろう。新美も前へ、ジュングァンも前へ出続け、ひたすらにパンチで打ち合う“これぞK-1”という戦いが見られそうだ。お互いにKO負けはないため、どれだけ相手にダメージを与え、ヒット数を奪えるかで勝負が決するだろう。延長まで突入する可能性も十分に高い一戦。

■決勝は軍司泰斗vs“中国の武尊”の可能性も‥‥

現王者の軍司にとっては、初戦でスアレスをいかに早くKOできるかがポイント。1日3試合のトーナメントは、いかにダメージなく勝ち上がれるかが、言うまでもなく鍵。軍司が初戦でKO勝利すれば、勢いに乗り、決勝まで駆け上がる可能性は高いだろう。

また、軍司と逆ブロックの新美貴士 vs. ワン・ジュングァンの試合は、トーナメントの動向を左右するだろう。かなりの削り合いが予想されるが、ジュングァンの直近の活躍を考えると、新美戦を最小限のダメージで勝ち上がる可能性も高いとみる。そのまま決勝に進出できれば、現王者との一騎打ちが見られるだろう。

決勝は“カリスマ武尊から受け継ぐ魂”軍司泰斗 vs. “中国の武尊”ワン・ジュングワンを予想する。

だが、ジュングァンが準決勝であたる椿原もしくは斗麗は、2人ともテクニシャン。そのため、ジュングァンのパンチや突進力を技術で完封してしまう可能性もある。その場合、椿原 vs. 軍司の6度目の戦いの可能性も。

いずれにせよワンデートーナメントは、勝負強さがモノをいう。その日一番強い男が世界最強の称号を手に出来る。果たして、最後にリングの中心に立つ男は誰か。

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文●吉田崇雄

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