【Bリーグ】とどろきアリーナ大声援を受け6季目のリベンジに挑む川崎ブレイブサンダース | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Bリーグ】とどろきアリーナ大声援を受け6季目のリベンジに挑む川崎ブレイブサンダース

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【Bリーグ】とどろきアリーナ大声援を受け6季目のリベンジに挑む川崎ブレイブサンダース
  • 【Bリーグ】とどろきアリーナ大声援を受け6季目のリベンジに挑む川崎ブレイブサンダース

ついにベスト4が出揃った。

Bリーグチャンピオンシップ2021-22は5月13日からクォーターファイナルが4会場で行われ、琉球ゴールデンキングス島根スサノオマジック川崎ブレイブサンダース宇都宮ブレックスがセミファイナルに駒を進めた。

これによりセミファイナルは、21日より沖縄県沖縄市の沖縄アリーナで琉球対島根、神奈川県川崎市にあるとどろきアリーナでは川崎対宇都宮というカードで開催される。奇しくもNBAのウェスタン・カンファレンス・ファイナル、イースタン・カンファレンス・ファイナルというような同地区同士の対戦図。そしてBリーグ発足後初めて、ファイナルに西地区のクラブが進出することになる。全国的に、そしてチームの戦力が拮抗してきた証だ。

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■待望のホーム開催で因縁の宇都宮と対戦

セミファイナルで対戦することとなった川崎と宇都宮の両クラブは常に「因縁の相手」として取り上げられることが多い。Bリーグ初年度のファイナルのカードであったことがきっかけだ。私は2017年5月27日試合当日、栃木ブレックス(2019年7月に名称を宇都宮ブレックスに変更)の詰めかけたファンのあまりの多さにまず驚いた。あの日見た真っ黄色に染まった客席の景色を忘れることはできない。

試合は接戦だったものの、85-79で栃木が勝利し初代王者に輝いた。私はあの日、川崎ファンとして客席から声援を送っていたが、黄色の圧力と後押しを肌で感じ自身の無力ささえ感じた。それはブレックスがファンとともに築き上げてきた素晴らしい文化だった。

あれから6シーズンが経ち川崎はDeNAが承継するなど大きな変化があった。Bリーグ屈指の魅力的なアリーナ、演出、新たなファン獲得の機会となっているYouTubeチャンネルなど多岐に渡って力を入れている。しかし初年度以降、チャンピオンシップに毎シーズン(新型コロナウイルスの流行により2019-20シーズンは中断)進出するもホームでの開催権を得られずにいた。

2018-19シーズンのチャンピオンシップクォーターファイナルをブレックスアリーナで再度対戦し川崎は連敗を喫した。このシーズンをもち当時の北卓也ヘッドコーチは退任(のちにゼネラルマネージャー就任)。そして2020-21シーズンはセミファイナルでまたも相見えるが、黄色の壁は容赦なく立ちはだかった。

レギュラーシーズンの成績では3勝1敗。しかし宇都宮・安齋竜三ヘッドコーチによる、川崎のビッグラインナップに対抗するためにそれまで披露していなかった宇都宮版ビッグラインナップの布陣で挑むという作戦が見事ハマり、川崎は連敗。またも苦渋を飲むこととなった。

直近の対戦は4月20日、ブレックス・アリーナで行われた。宇都宮は終始強度の高いディフェンスを披露し川崎の藤井祐眞やマット・ジャニングらに活躍の場を与えずここでも宇都宮が川崎に68-64で勝利している。

■川崎の「KING」ファジーカスは準備万全

しかし今シーズン、この6シーズンの成長を見せられる機会がようやく巡ってきた。東地区2位でレギュラーシーズンを終えた川崎はホームでクォーターファイナルを戦い、名古屋ダイヤモンドドルフィンズを破りセミファイナル進出を果たした。宇都宮は、昨シーズンのファイナルで対戦した千葉ジェッツふなばしを、敵地・船橋アリーナで見事連勝し駒を進めてきた。今回はレギュラー・シーズンの成績を元に、ついに川崎のホームでセミファイナルが開催される。

川崎のKINGことニック・ファジーカスは、Bリーグ屈指とも言える帰化選手だ。そんなファジーカスは先日「コンディションはここ数年で一番良い状態」とコメントしている。6月には37歳を迎える。しかし今シーズンも変わらずチームを牽引しており、レギュラー・シーズン全スタメン出場、1試合平均19.7得点と得点部門のランキングでは3位、リバウンド部門では平均8.9本と10位。得点能力の高さはリーグでも抜きん出ている。しかし、彼の魅力はそれだけではない。ファジーカスから繰り出されるパスは視野の広さやバスケットボールIQの高さを感じさせ、周囲を活かすこともできる。宇都宮もリーグ・トップレベルの厳しいディフェンスでファジーカスを止めに来るはずだ。その中で、自らの得点のみならず、コート上の魔術師として仲間の得点をいかに演出することができるか。

ファジーカスはBリーグ初年度の得点王、MVPに輝いている。それでも辿り着くことができなかったBリーグの頂点。川崎は今年3月、第97回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会で連覇を達成、さらにレギュラーシーズンで積み重ねてきた自信と仲間との信頼関係、さらに自身のコンディションも含め準備は整っている。

■増田啓介ら若手の活躍にも注目

この大一番で、ヒーローとなる若手選手の更なる飛躍も欠かせない。24歳の増田啓介は、筑波大学在籍時から特別強化指定選手としてプレーをしている。人懐こい笑顔とは裏腹に相手に臆することなく果敢に挑んでいく姿は頼もしくファンの目には映っていることだろう。一見、線が細く見えるが、相手を選ばず体をぶつけていく。どこからともなく現れる増田は、ゴール下で合わせてシュートを決めることが上手い。そして何より物おじしない。

3月に勝ち取った天皇杯決勝という大舞台でも増田はまったく変わらなかった。というよりも、どこか楽しそうにプレーをする姿が印象的だった。おそらく、ホームでのこのセミファイナルも増田らしいプレーを披露するだろうが、チームを勝利に導くことができるのか、増田の更なる成長が鍵となるはずだ。対する宇都宮にも急成長を遂げた荒谷裕秀がいる。ぜひ、大舞台で輝く若手選手たちにも注目してほしい。

■「リバウンド」を制し本拠地でリベンジなるか

佐藤賢次ヘッドコーチは、初年度のファイナルをアシスタントコーチとしてチームを支えながら戦っていた。今度はヘッドコーチとして、チーム初のBリーグチャンピオンに導けるかも焦点だ。

宇都宮戦を前に「メラメラしている」と鋭い眼差しで、勝負の鍵は「リバウンド」と語った。リバウンドやルーズボールなどボール・ポゼッションの争いは激しいものとなるはず。たとえ「取られても崩れず、メンタルで勝ちたい」と語っていた。また、初年度をキャプテンとして戦っていた篠山竜青は、クォーターファイナル終了後の会見で「やり返す」と宣言。また試合後のヒーローインタビューでは会場の川崎ファンに向け「来週もセミファイナルを、とどろきアリーナで戦います。宇都宮は先に試合が終わっています。チケット販売開始しています。宇都宮のファンのみなさんは熱いからチケットを既に買っていると思います。みなさん、スマホありますよね。何度も悔しい思いをしているのでお願いします。ホームで戦えるのが楽しみです」と呼びかけた。

19日、川崎から「選手の1人が新型コロナウィルス陽性判定」というリリースが発表された。大事に至らないことを願うばかりではあるが、21日からのセミファイナルは開催されるとのことも同時に発表された。現時点でその選手が明かされていないものの1人欠いた状態で宇都宮を迎え撃つことは容易ではない。

川崎とクォーターファイナルで戦った名古屋は、コティ・クラーク、オヴィ・ソコという2人の外国籍選手をケガで欠いていた。さらにGAME1でスコット・エサトンも負傷してしまい、アジア特別枠のレイ・パークスジュニアと日本人選手だけでGAME2を戦い抜いた。それでも佐藤ヘッドコーチが「名古屋のチームの魂を感じた」とリスペクトするほど川崎を苦しめた。セミファイナル、今度は川崎がチームの魂をぜひ見せて欲しいと思う。

あの時の雪辱を果たし悲願を成し遂げるために、何よりもホームでの大声援の後押しが今こそ必要なのだ。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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