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世界ラリーレイド選手権(W2RC)開幕戦、「ダカール・ラリー2022」は4日、ステージ3が行なわれ、アウディのカルロス・サインツ・シニアがステージ1位でフィニッシュ。一方で、トヨタのナッサー・アルアティヤは総合首位を守り、リードを広げたかたちとなった。ただし、アルアティヤはラリーのレギュレーション違反が発覚、トヨタに5,000ユーロ(約65万円)の罰金が科せられるとともに最悪、失格の可能性も残した。
◆3日目ステージ2 WRC絶対王者セバスチャン・ローブが最速タイム トヨタのナッサー・アルアティヤが総合首位を堅持
■アルアティヤの201号車そのものが失格の危機に
アルタウィヤおよびアル・カイスマフ間で行なわれるはずだったステージ3は、サウジアラビアの砂漠において予期せぬ降雨により走行距離が100キロ短縮され、アル・カイスマフでの255キロのスペシャルステージ(SS)として実施された。
アウディは今大会、野心的に電動ドライブのRS Q e-tronで参戦しているが、ステージ1から予見されたトラブルや、さらにクラッシュに見舞われ、大きく出遅れる形となっていた。しかし、世界ラリー選手権(WRC)で2度の王者に輝き、ダカール・ラリーでも3度の優勝を誇る大ベテラン、サインツSr.がついにその速さを発揮、スタートから30分後にトップに躍り出ると、2位に38秒差をつけ、今大会初のステージ制覇を果たした。電動ドライブの車両が、ダカールで首位となったのは、これが史上初。
2位にはTOYOTA GAZOO Racing(TGR)のヘンク・ラテガン。3位には昨年の覇者、アウディのステファン・ペテランセルがつけた。
ステージ1から総合首位を守るトヨタのアルアティヤは、サインツから5分10秒遅れの8位となったが、総合順位では2位のセバスチャン・ローブに37分40秒の差を築いている。
トヨタのアルアティヤの問題はラリーレイドそのものではなく、第2ステージでレギュレーションに定められたデータ・ロガー(いわゆるドライブ・レコーダー)がバッテリーに接続されておらず、これによりペナルティが科せられた点。まずはトヨタに罰金5,000ユーロが命じられているものの、アルアティヤの201号車そのものが失格の危機にさらされている。少なくとも一時停止のペナルティが課せられると考えられており、これにより果たしてアルアティヤのマージンがどれほど減少するのか、不透明だ。
3年ぶりのダカール制覇に向け、首位を快走していたTGRだが、思わぬ落とし穴にはまった。もっとも同ラリーにおいて「予期せぬアクシデント」は常に起こり得る。だからこそ、このラリーが世界のドライバーを魅了するのだろう。
ステージ3(4日目)結果
1.CARLOS SAINZ Sr./LUCAS CRUZ (TEAM AUDI SPORT) 2h26m51s
2.HENK LATEGAN/BRETT CUMMINGS (TOYOTA GAZOO RACING) + 38s
3.STEPHANE PETERHANSEL/EDOUARD BOULANGER (TEAM AUDI SPORT) + 1m 41
4.NANI ROMA/ALEX HARO BRAVO (BAHRAIN RAID XTREME) + 2m41s
5.MATTIAS EKSTROM/EMIL BERGKVIST (TEAM AUDI SPORT)+ 2m59s
総合順位(4日目終了時点)
1.NASSER AL-ATTIYAH/MATTHIEU BAUMEL (TOYOTA GAZOO RACING) 9h31m22s
2.SEBASTIEN LOEB/FABIAN LURQUIN (BAHRAIN RAID XTREME) + 37m40s
3.LUCIO ALVAREZ/ARMAND MONLEON (OVERDRIVE TOYOTA) + 42m06s
4.GINIEL DE VILLIERS/DENNIS MURPHY (TOYOTA GAZOO RACING) + 45m22s
5.YAZEED AL RAJHI/MICHAEL ORR (OVERDRIVE TOYOTA) + 47m29s
※ただし、アルアティヤに課されるペナルティは未定
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文・SPREAD編集部