【Bリーグ】悲願のリーグ制覇を果たした千葉ジェッツ、連覇を期し挑む新シーズン | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【Bリーグ】悲願のリーグ制覇を果たした千葉ジェッツ、連覇を期し挑む新シーズン

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【Bリーグ】悲願のリーグ制覇を果たした千葉ジェッツ、連覇を期し挑む新シーズン
  • 【Bリーグ】悲願のリーグ制覇を果たした千葉ジェッツ、連覇を期し挑む新シーズン

バスケットボールのBリーグは明日30日、6年目のシーズンを迎える。

それに先んじて、2020-21シーズン悲願の優勝を果たした千葉ジェッツふなばしを追い、9月18日、19日と富山県黒部市にある黒部市総合体育センターで行われたプレシーズンマッチの富山グラウジーズ戦に足を運んだ。

新型コロナウィルス感染症の影響により、開催まで一週間を切りようやく有観客での開催が発表された。久し振りの観客の前での試合ということもあり、審判の判定に熱くなるシーンも見られプレシーズンマッチとは思えぬほどお互いヒートアップしていた。

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■Bリーグ独特のスケジュール

2016年より千葉で指揮を執っている大野篤史HCは「新加入選手がBack to backを経験できたことが良かった」と試合後の会見で語った。週末に同チームと連戦というBリーグ独特のスケジュール。これまでも来日した外国籍の選手たちから驚きの声が聞かれたこともある。

連戦の難しさと面白さは、ゲーム1とゲーム2はまったく別物の試合になることだろう。例えゲーム1を大差で勝利したとしてもゲーム2では異なる試合展開で敗戦するチームも幾度となく見てきた。勝っても負けても、ゲーム2を前にマインド・リセットすることが重要になる。

今回、富山とのプレシーズンマッチではレギュラーシーズン同様の連戦形式で行われたために、事前にこの難しさを新加入選手が体験できたのだ。今シーズン、千葉はアメリカ出身のジョン・ムーニークリストファー・スミスを獲得している。大野HCは「意識づけが大切。やるべきことを徹底させる」とした。

まだ新加入選手が合流して2週間。また日本代表として東京オリンピックに出場したギャビン・エドワーズは出場しなかった。まだまだ精度を磨くには時間がかかる。それでも、富山相手に100点以上(ゲーム1 108-71 、ゲーム2 102-84)で連勝し、完成度の高さを伺わせた。

試合後、チームだけでなく日本バスケットボール界の顔として牽引し続ける富樫勇輝に話を聞いた。「例年よりチームとしての練習開始は二週間ほど遅かった。急ピッチで今色々なことを詰め込んでいる」中で行われたプレシーズンマッチだった。それでもチームとしては「すごく良いイメージが持てた」と好感触。

今オフには、富樫自身も東京オリンピックに出場していた。「個人的にコンディションは万全ではない。シーズンに向けて上げていくが今の状態としては悪くない」と、大会後に休みをもらえたこともありまずまずの仕上がり具合であるようだ。この日も富樫らしいスピード感あるドライブや針の穴を通すようなパスを見せ、富山のジュリアン・マブンガとのマッチアップを楽しむ様子も見せるなど観客を魅了した。

■東京オリンピックの経験がBリーグで生かされる

「サイズをどうカバーするかという課題は永遠に変わらない」と東京オリンピックで世界のバスケを体感したことを振り返った。東京オリンピックまでは、それまで日本代表のスターティングポイントガードとして出場していた。しかし本大会では、その座は本来ポイントガードではない田中大貴が担うこととなった。

日本はスペイン、スロベニア、アルゼンチンと世界の強豪と対戦。結果は残念ながら全敗だった。それでも富樫は3試合全てに出場し、合計19得点をあげるなど活躍を見せた。

確かに167センチという身長はバスケットボール界では間違いなく小柄だ。しかしその不利と言われ続けたサイズを東京オリンピックの舞台で、富樫は武器となることも証明してくれた。「少しでも身長の部分でのミスマッチをカバーできるスキルやスピードを磨いていきたい」と前を見据えた。

富樫も28歳。ベテランとして今シーズンもチームの核となる活躍が期待されている。日本のバスケットボールは確かに世界と戦えるレベルへと成長を遂げた。しかしながらその壁の高さもまた実感する結果となった。

世界の強豪相手に渡り歩くためには、NBAの舞台で活躍する八村塁渡邊雄太らに頼るだけではなくBリーグで活躍する選手たちの成長と活躍は必要不可欠だ。本大会ではセカンドユニットとして出場したが、富樫は日本に良い流れをもたらしていた。この経験がまた千葉で生きるだろう。富樫はさらなる高みを目指し、円熟味を増したプレーでBリーグファンを魅了して欲しいと思う。

■Bリーグ制覇の喜びをもう一度味わいたい

昨シーズン、ようやく果たしたBリーグ制覇。Bリーグ初年度の覇者である宇都宮ブレックス(優勝当時・栃木ブレックス)を破っての悲願達成。Bリーグのファイナルは昨シーズンより2戦先勝方式へと変わり、ゲーム3までもつれる好ゲームだった。目標達成後迎える新シーズン、これまでと変化はあるのだろうか。

「一度プロとして優勝できたということはすごくホッとした。でも、チームであのような形で終われること、あの喜びを知ってしまった。もう一度味わいたいという気持ちが強い」と笑顔を見せた。Bリーグ連覇と、天皇杯との2冠を達成したいところだ。

千葉は2021-22シーズン開幕戦をアウェーで戦う。対するのは島根スサノオマジック。島根は今シーズン手厚い補強をし話題となったチームの一つ。

日本代表でもあり、昨シーズンのMVPを獲得した金丸晃輔。さらには日本代表として東京オリンピック出場を目指していた安藤誓哉も加入、西地区を盛り上げる存在として注目されている。

そんな相手との開幕カードについて、富樫は「面白いチームだと思う」と語る。しかしながら「開幕戦ではまだまだチームの完成度は高くないだろう。千葉も数人メンバーの入れ替えはあったが、これまで5年間同じHCの下で、ある程度同じ選手で同じ目標に向かい同じプレースタイルで続けてきた。そこはアドバンテージ」と開幕節の連勝を誓った。

まさに富樫の言葉通り、千葉の強みは基本メンバーが変わらないこと。そこに優勝経験までもが加わった。千葉は間違いなく今シーズンも優勝候補筆頭だろう。

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■著者プロフィール

木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長

テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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