【プロ野球】川口和久氏が語る巨人・菅野智之の現在地 今こそエースに求められる“虎退治” | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【プロ野球】川口和久氏が語る巨人・菅野智之の現在地 今こそエースに求められる“虎退治”

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【プロ野球】川口和久氏が語る巨人・菅野智之の現在地 今こそエースに求められる“虎退治”
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レギュラーシーズンも最終盤に突入したが、セ・リーグの首位争いは依然として混沌としている。22日にはヤクルトが今季初の首位に浮上。現在0.5差で2位阪神、2.5差で3位巨人が追走する展開だが、覇権争いはまだまだ予断を許さない状況だ。

24日からは巨人と阪神による直接対決が東京ドームで行われており、初戦は6-6の引き分けだった。順位争いのうえで重要な今カードにあわせ、SPREAD編集部では現役時代に広島や巨人でリーグ優勝を経験し、2011~14年は巨人の投手総合コーチとしてリーグ3連覇に貢献した野球評論家・川口和久氏へのインタビューを実施。3位からの逆転を狙う巨人と、今季は波に乗り切れないかつての教え子、菅野智之について話を聞いた。

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■「ヤクルトと阪神の力は同等、巨人は…」

今季、両軍の直接対決成績は9勝9敗2分けと互角。巨人は原辰徳監督による柔軟かつ大胆な選手起用で離脱者などの穴を埋めてきたが、阪神・矢野燿大監督も前半戦MVP級の活躍を見せたルーキー・佐藤輝明を2軍で調整させる思い切った手を打ち、最後の追い込みに備えてきた。

三つ巴のセ・リーグについて川口氏は「現状、ヤクルトと阪神の力はほぼ同等。巨人が少し落ちる」と分析。巨人としては少ないチャンスをモノにするため、週末の直接対決が重要になってくると語り、特に本拠地・東京ドームでの試合こそが重要と強調した。

「コーチ時代に私も経験しましたが、東京ドームに帰ってきた時の巨人は本当に強い。地の利を生かしたうえで、阪神投手陣の傾向をどれだけ読めるかがカギとなるはず。力の差も考えれば、ここで直接叩くしかない」。

そんな巨人はカード2戦目に菅野を先発させる。今季成績は5勝6敗、防御率3.52。19日に甲子園で行われた阪神戦では、7回1失点の好投で勝ち投手になるなど復調の気配も漂わせてきたが、まだ抜群の安定感とは言い難いというのが正直なところ。コーチ時代から菅野を間近で見てきた川口氏に、課題点を分析してもらった。

■菅野のフォームにおける問題点とは

球界最高年俸選手、名門球団のエースとしての責任感、叔父でもある原監督の存在……様々な思いを背負い、マウンドに立ち続ける菅野について川口氏は温かくも冷静に語った。

「菅野の入団時からコーチとして見てきましたが、今年調子が悪い要因はフォームにあると思っています。彼の特徴というのは、『オーバースローでありながら腰の動きがサイドスロー』という点です。

昨年は新フォームを取り入れたことで、腕と腰の両方がオーバースローの動きになった。すると、フォークやスライダーが縦に変化し、球に角度もつき空振りを奪えるようになり、活躍に繋がった。これならMLBでも通用するとすら思いましたよ。

今年もそのフォームでスタートしましたが、明らかに去年の動きと違っていたので『これは厳しいな』と思っていると、本人も同様に感じていたのか元のフォームに戻してきた。ただ、去年の強みが減ってくるとなると、上位チーム相手だと少し厳しいかなと感じています」

確かに今季の菅野が試行錯誤を続け、何とか復調への糸口を探している様子は、マウンド上での表情からも見てとれる。川口氏も「菅野が思い描いているボールと、実際に投げているボールには格差があるはず」と語る。また、リリースポイントの高さやボールの角度が変化したことにより、球審の判定にも影響が出ているという。

■上位追走に必要不可欠な菅野の復調

「昨年のように、高いリリースポイントから投じられるボールの軌道だと、ストライク判定されやすくなるんですよ。軌道が変われば相手打者の目線が変わるだけではなく、審判の目線も変わる。今はフォームの変化で、去年とは全く別物になっています。菅野が苦しむ試合を振り返れば、際どいコースをボールと判定され、甘めに投じて痛打される悪循環のケースが多い。つまり、“球審と勝負”してしまっているんですよね。

最初から厳しいコースを攻めるのではなく、まずファールを打たせるなどストライクを先行させる。そこから変化球でカウントを整えて、最後にコーナーなど際どいところを突く。この投球なら球審もストライクと判定してくれる可能性が高くなってきます」。

川口氏の指摘どおり、菅野は決して本調子ではないものの、その勝負強さや大舞台での経験値は、巨人がヤクルトと阪神を逆転するためには必須。25日の登板で菅野が「現状のベスト」を尽くし、結果を残せればチームに大きな勢いを生むはずだ。

主力の不調や故障者の連鎖に直面したシーズン中盤まで、川口氏いわく「原監督の頭脳で」耐えながら白星を拾ってきた巨人。残り試合で菅野を筆頭とした各選手が「個」の力を存分に発揮できれば、奇跡の逆転劇も夢物語ではないはずだ。

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文・SPREAD編集部

《SPREAD》
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