
オールスターゲームも終わり、いよいよ勝負の後半戦がスタートするMLB。二刀流として復活した大谷翔平投手の活躍がクローズアップされがちだが、本国アメリカでも評価されている日本人がカブスの鈴木誠也外野手だ。
前半戦、92試合に出場し打率.263、25本塁打、77打点、OPS.867という成績を残しており本塁打、打点ともにすでにキャリアハイを更新。打点はナ・リーグ2位、OPSも12位と打撃に関して軒並みリーグトップレベルの数字を残しており、初のオールスター選出にも期待の声があがった。しかしながら、ナ・リーグの指名打者部門はリーグ最多得票の大谷がいることに加え、結果としてはオールスターMVPにも輝いたカイル・シュワーバー外野手という対抗馬もいたため惜しくも落選。現地メディアでも鈴木が選外になることに対する不満の声が聞こえるほどだった。
ドジャースとの開幕東京シリーズでは快音が聞こえず、当初は不安視されることもあった鈴木だが、前半戦好調の要因はなんだったのか。MLB公式データサイト『Baseball Savant』のデータをもとに分析してみよう。
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■数値が証明する打球の質と進化
大きく注目したいのが、鈴木の放つ打球の質の良さだろう。平均打球速度92.5マイル(約148.8キロ)、ハードヒット率50.9%と打球の強さを示す数値はメジャー全体でみてもトップレベル。昨年の平均打球速度91.7マイル(約147.5キロ)、ハードヒット率49.2%も上位レベルであったが、さらに進化を遂げていることがわかる。
さらに素晴らしいのがバレル率の数値。速度が速く、長打になりやすい理想的な角度の打球割合を表すこの数値は、15%を超えればエリートレベルとされているなかで、鈴木は18.5%という高水準を維持。ゴロ率も昨年より低くなり、平均打球角度も16.2度から18.6度に増加するなど、今季前半戦の鈴木は“打球が強く、長打になりやすい角度で上がっている”ことがわかる。
一方で課題となるのはK%(三振割合)の高さといえるだろうか。素晴らしい打球の質でリーグ2位の77打点を稼いでいる鈴木だが、ここまでの三振数は109。K%も26.8%と平均よりも高い。中でも、スライダーに対する打率.192、三振率32.5%、スイーパーに対する打率.200、三振率38.6%と横方向に曲がる変化球に苦戦している傾向がみえる。
■不安視された守備も強肩で貢献
また、今季序盤は守備面での不安とカイル・タッカー外野手の加入が影響し指名打者を主戦場としていたが、イアン・ハップ外野手の故障などで第4の外野手として右翼や左翼の守備に就くこともあった。守備指標でいえばOAA-1と若干低いものの、Arm Strengthは91.1と高い水準となっており、“守備範囲が少々狭いものの強肩が売りの外野手”といった評価ができるだろう。
現在57勝39敗でナ・リーグ中地区首位となっているカブス。2位ブルワーズとのゲーム差は1とまだまだ気が抜けぬ状況だが、投手陣に怪我人が多かった中での前半戦首位ターンは間違いなく鈴木の貢献が大きかったはず。ポストシーズン進出に向け、後半戦も鈴木の打撃に期待が高まる。
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