【バスケットボール】五十嵐圭、群馬クレインサンダーズ電撃移籍の真相を語る Bリーグ優勝の夢を叶えるため | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【バスケットボール】五十嵐圭、群馬クレインサンダーズ電撃移籍の真相を語る Bリーグ優勝の夢を叶えるため

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【バスケットボール】五十嵐圭、群馬クレインサンダーズ電撃移籍の真相を語る Bリーグ優勝の夢を叶えるため
  • 【バスケットボール】五十嵐圭、群馬クレインサンダーズ電撃移籍の真相を語る Bリーグ優勝の夢を叶えるため

五十嵐圭は、新潟の地でユニフォームを脱ぎキャリアを終えるものだと思っていた。しかし、悲願のB1昇格を果たし、新たな舞台での挑戦が幕を開ける群馬クレインサンダーズに移籍。2021-22のシーズンを41歳のベテラン、リーグ最年長選手として、群馬で迎える。


「まさか41歳になって他のチームからオファーをいただけるとは考えていなかった」と語る。


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■「もう一度優勝に向けてチャレンジをしたい」


群馬の吉田真太郎GMは五十嵐にとって中央大学の後輩にあたる。昨シーズンのB2セミファイナルで群馬がB1昇格を決めた夜、五十嵐の所属先、新潟アルビレックスBB側へ正式にオファーがあった。翌朝、その知らせを聞いた五十嵐は、過去に今後について問われたこともあったが「本当に声掛けてくれたんだという驚きがあった」という。


5シーズン在籍していた新潟は、パワーハラスメント問題によりBリーグから処分を受けるなどにより成績不振に喘いでいた。チームは、そうした難しい状況ではあったものの、新潟からは契約継続のオファーもあり、五十嵐自身も「そのつもりでいた」という。


五十嵐を突き動かしたものは、吉田GMのこんな言葉だった。「圭さんを優勝させたい。圭さんと一緒に優勝したい」。


自身の挑戦について話す五十嵐圭(写真:編集部)


五十嵐、実はNBL時代も含めたトップリーグで優勝を経験していない。「日立サンロッカーズ(現・サンロッカーズ渋谷)でリーグ準優勝した時が最高成績。新潟で中地区優勝はあったが、選手である以上リーグ優勝をしたい」と、年齢的にも残り少ないキャリアだと感じていた心に真っ直ぐ届いた。


2021-22シーズンを五十嵐はBリーグ最年長プレーヤーとして迎える。「個人としてスタッツは下がっていてもまだまだB1でやれる」という自負がある。ただチャンスは限られている。「もう一度優勝に向けてチャレンジをしたい!」と、ついに新潟を離れ群馬での新たな挑戦を決意した。


■ポイントガードは経験に勝るものなし


五十嵐は新潟へ移籍した時のことを「bjリーグでのメンバーしかいなかった。経験ある自分が入りチームをB2に落とすわけにはいかなかった」と振り返る。責任感を持ちプレーを続けた新潟での経験と、群馬での挑戦には重なる部分があるという。「B1に挑戦するチームで戦えるメンバーだと手応えを感じている。結果を求め、残していかなければいけないという責任感がある」と気を引き締めた。


群馬は五十嵐だけでなく、秋田ノーザンハピネッツから野本建吾横浜ビーコルセアーズからアキ・チェンバースを獲得し補強に力を入れた。「少し地味かも知れないが仕事ができる人間が集まった」という。さらにBリーグ初年度、栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)をチャンピオンに導いたトーマス・ウィスマン・ヘッドコーチをも招聘している。


チームの状況について話す五十嵐圭(写真:編集部)


チームのマイケル・パーカー選手はシーズン中12月に40代を迎える。「年齢的には大ベテラン! 40代で一緒に試合に出ているチームは少ないと思う」と笑う。新たに誕生する、衰え知らずの40代コンビは間違いなく群馬のスタメンとしてB1に新風を吹かすだろう。


どうしても年齢に目を向けられてしまうが、年齢が問題ではないという点を結果で示してきた。「特にポイントガードは経験に勝るものはない」と年々感じている。まだまだやれることを新たなチーム、仲間と証明する気合がひしひしと伝わった。


B2の舞台とは全く異なる難しさ、待ち構えるリーグ屈指の強豪チームとの戦い。B1昇格後、多くのチームが苦戦を強いられてきた。しかし、そのステージで勝ち残り、チャンピオンシップに進出しなければ、当然目標とする優勝はない。


「このチームを強くしようという気持ちがある。群馬に残った選手たちへの敬意を持ちながら、コートの中では自分が引っ張っていく」と決意を語ってくれた。


群馬は今年5月、太田市に2023年完成予定のOTA ARENA(仮称)の建設を発表している。島田チェアマンが提唱する「Bリーグ」改革における新たなB1基準を満たすアリーナだ。今年4月には 同基準を満たす沖縄アリーナがオープン、初めて試合が行われ話題をさらった。他クラブも、続々と新アリーナ建設などに動き出している。「アウェーとして行くのと、ホームとしてプレーするのは違う。この先自分が何年プレーできるかわからないが、アリーナ誕生の時に携われることは楽しみ」と期待を寄せる。


新ユニフォームを前に上機嫌の五十嵐(写真:編集部)


さらに「これだけのスピード感でアリーナができることはすごいと思う。行政も絡めた新しい挑戦は、自分も群馬で挑戦したいと思えたきっかけのひとつ」と語る。クラブは7月1日、ホームタウンを前橋市から太田市へ移した。またチームロゴも一新し、ユニフォームサプライヤーの変更も発表。新たなビジョンを掲げ動き出したタイミングでの五十嵐の加入には、チームの顔となる選手の誕生という大きなメリットもある。


「群馬県のバスケットボールの認知度はまだ低いと思う。ただ、バスケットボールは知らなくても五十嵐圭を知っている人は居てくれると思う。そういう方達にバスケットボールに興味を持ってもらうことができる」。五十嵐はメディアへの露出度も高い。広告塔の役割も担える選手の存在は大きい。


大ベテランの新しい挑戦。「チームとしても個人としても結果も求める。挑戦する気持ちは持ち続けたいし、持っていなければ向上していかない」という思いを胸に、群馬を牽引する覚悟を決めた。優勝という目標に向かって「五十嵐圭、まだまだやれるぞ」と証明する。また「群馬で活躍する姿を見せることも新潟への恩返しになると思う」とお世話になった地元チームへの思いも滲ませた。自信を取り戻させてくれた新潟への恩も胸に、新天地での活躍を誓う。


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■著者プロフィール


木村英里(きむら・えり)●フリーアナウンサー、バスケットボール専門のWEBマガジン『balltrip MAGAZINE』副編集長テレビ静岡・WOWOWを経てフリーアナウンサーに。現在は、ラジオDJ、司会、ナレーション、ライターとしても活動中。WOWOWアナウンサー時代、2014年には錦織圭選手全米オープン準優勝を現地から生中継。他NBA、リーガエスパニョーラ、EURO2012、全英オープンテニス、全米オープンテニスなどを担当。

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