【SF】初走行のオートポリスを誰よりも知り尽くしていたアレジ | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【SF】初走行のオートポリスを誰よりも知り尽くしていたアレジ

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【SF】初走行のオートポリスを誰よりも知り尽くしていたアレジ
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2日間を通して激しい雨と深い霧に翻弄されたスーパーフォーミュラ第3戦。予選では4度の赤旗、決勝も42周の予定が11周しか完了できずに赤旗終了


そんな波乱の中でポール・トゥ・ウィンを飾ったのが、スポット参戦ルーキーのジュリアーノ・アレジ(トムス)だった。父親はかつてF1で活躍したジャン・アレジというレース界のサラブレッドだが、今季戦いの場を日本に移したのはヨーロッパでステップアップに行き詰まり、日本で出直しを図るため。


主戦場はひとつ下のカテゴリーにあたるスーパーフォーミュラ・ライツで、スーパーフォーミュラは新型コロナウイルスの影響で世界耐久選手権との重複参戦ができない中嶋一貴の代役だった。SFライツもトムスから参戦しているが、ここまでの成績は表彰台の常連ではあるものの8戦終了時点で優勝はない。


昨年圧倒的な強さを見せたトムスのファーストドライバーとしては若干物足りない印象だ。したがってこのポール・トゥ・ウィンも現場にいなければおそらく、波乱の中で運に恵まれたに過ぎないと思っただろう。


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ヘビーウェットでのベストタイム更新の理由は


ポール・トゥ・ウィンは紛れもなく実力によるものだった。特に予選で見せた一瞬のパフォーマンスには驚かされた。予選は今回、ヘビーウェットコンディションを考慮し従来のノックアウト方式ではなく40分間の計時方式を採用。19台全てがコースに入り、セッション中にマークしたベストタイム順でグリッドが決定するというものだ。


後半に雨は激しくなると予想されていたため各マシンは一旦雨が止んでいた序盤、積極的にアタックに挑んだ。そして予想通り、3度目の赤旗中断中に雨が降り出す。この時点で残り時間は21分あったが、これ以上タイムアップは望めないだろうと誰もが感じていた。


そんな状況下でコースイン後1周目に大幅なベストタイム更新に成功し、一気にトップに浮上したのがアレジだった。他にもピットロード出口に近いピットポジションの数台がこの雨の影響をそれほど受けなかったのかタイムアップを果たしているが、アレジの上がり幅は明らかにその恩恵だけではない。


予選後に話を聞いたところ、午前中のフリー走行の後に行われた同じくヘビーウェット路面のSFライツのレース中に、コースのどこが危険なのか、どのラインが最適なのか、路面状況を細かく観察し、この予選での攻め方を考えていたのだという。そうしたロジックに基づき効果的に攻めたことが、ポール獲得の大きな要因となったのだ。


運だけではないポール・トゥ・ウィン


決勝も同じようなヘビーウェット路面で行われた。そして自身2015年のFIA-F4以来だというポールスタートを無難にこなしトップを守ると、1周目から早くも後続で大混乱が起きる。


さらに11周終了後、セーフティカー導入から赤旗終了。したがって危ない場面はほぼなく、アレジは参戦2戦目でポール・トゥ・ウィン達成という快挙を成し遂げた。そうレースのあらすじを文字で読むと、いかにも決勝でも運が大きく味方したように思えるだろう。


(C)JRP


だがおそらく、レースが予定通り42周行われたとしてもアレジが優勝したのでは……そう思わせたのは、直前の2位に終わったSFライツ第8戦決勝でのトップを猛追するアレジのアグレッシブな走りを見ていたからだ。舞台となったオートポリスは初走行ということだが、良く良く考えてみればダブルエントリーは今回アレジだけで、今回のコンディションでのオートポリスを最も多く周回したドライバーはアレジだということになる。


SFライツにも同様に、スーパーフォーミュラでの経験が活かされていたのだ。1日レースを観戦していると、こうした一連のストーリーに出会うこともある。実に奥の深いスポーツである。


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著者プロフィール


前田利幸(まえだとしゆき)●モータースポーツ・ライター2002年初旬より国内外モータースポーツの取材を開始し、今年で20年目を迎える。日刊ゲンダイ他、多数のメディアに寄稿。単行本はフォーミュラ・ニッポン2005年王者のストーリーを描いた「ARRIVAL POINT(日刊現代出版)」他。現在はモータースポーツ以外に自転車レース、自転車プロダクトの取材・執筆も行う。

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