【ダンス】Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が超えていくもの 「ダンスで新しい世界を」 | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

【ダンス】Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が超えていくもの 「ダンスで新しい世界を」

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【ダンス】Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が超えていくもの 「ダンスで新しい世界を」
  • 【ダンス】Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が超えていくもの 「ダンスで新しい世界を」

2021年1月に開幕を果たした日本発、そして世界初のプロダンスリーグD.LEAGUE」(Dリーグ)は現在シーズン真っ只中。その忙しい合間を縫って、Dリーグ唯一のガールズチームUSEN-NEXT I’moon」の取材が叶った。前編に続き、後編をお届けしたい。


◆【インタビュー前編】Dリーグ唯一のガールズチーム「I’moon」が描く未来図 「夢の選択肢を増やしたい」


■作品を通じて「新しい自分に出会ってほしい」



Dリーグでは、1シーズン全12ラウンドを9チームで戦い、そのうちのトップ4チームのみが、トーナメント制のチャンピオンシップに勝ち進む。チャンピオンシップ前のレギュラーシーズンは12ラウンドが2週間隔で実施され、その12ラウンドで踊る作品は全て、曲も振り付けも衣装も変えて臨むというルールだ。


「I’moon」のチームディレクター・Ruuは、彼女が「I’moon」のために制作するその一作品一作品で、チームメンバー全員が「毎回、新しい自分に出会ってほしい」と言う。


それぞれの作品は、チャーミングだったり、しなやかで格好良かったり、また、時には弾けるような元気なナンバーだったりと、女性が持つ様々な魅力的な一面が表現されていて、しかもどの作品の世界観も踊りもしっかりと作りこまれ、完成度高く仕上がっている。これを2週間隔ごとに各ラウンドで披露するなんて、その目まぐるしさを考えるとほとんど神業なのではないかと感じてしまう。


いったいどうやったら身体と脳、そしてメンタルのコンディションを保ち続けられるのか。


8人で踊るダンスだから、個々人の踊りのブラッシュアップだけでなく、当然、フォーメーションなどチーム全体の表現のために費やす時間や努力も必須だろう。このスケジュールをこなすには、ものすごい集中と修練が必要とされるはずで、筆者などには想像も出来ないほどがハードで過酷なものに違いない。チームメンバーのAIRIは語る。


■AIRIが語る“Dリーガー”の素顔


「24時間、寝ているとき以外はほとんどずっとダンスのことを考えています。練習時間は1日4時間から6時間ですが、スタジオにいる時以外でも、踊りはそれを考えた分だけ良くなってくれるので、寝る直前まで自分たちや他のダンサーの動画を見て研究しています」


AIRIを始め、「I’moon」の毎日はとてもストイックだ。たとえば試合前は体形維持のために練習後の食事は摂らない。意外に思われるかもしれないが、ダンスは筋肉をコントロールするために息を止めたまま身体を動かすことも多く、有酸素運動ではないため痩せにくいのだ。練習中にお腹がすいたら、塩昆布や梅干しを食べて凌ぐという徹底ぶりだ。




「毎日、地道な練習を重ねています。プロのダンサーとして活動していくにあたって、求められているもののハードルはとても高いのですが、今、こうしてダンスに邁進できる環境を与えてもらったことは本当に幸せだし、感謝しているので頑張れます。そして、努力したぶんだけ返ってくると知っているので、自分を信じて日々を積み重ねています。」


まさに、ダンスに捧げる日々。そして、競争に明け暮れる日々だ。



■ダンスを通じて新しい自分に出会い、自分を超えていく


胸中を語るAIRIを見つめるRuuの眼差しは暖かく、優しい。2週に一度の試合をこなす、過酷な練習と競争の中で、チームメンバーのメンタルは常にハードな環境下にあるが、「少しでも楽しく明るくして、つらさやストレスを減らしてあげたい」という、彼女の思いやりがその眼差しに溢れている。


「12回戦を通して、I’moonのいろいろな顔を見せながら、個性と魅力を極限まで引きだして最高のショーケースを披露したいです。一つ一つの作品をとことん練習し、納得のいく出来栄えにまで踊りを高めることはもちろんですが、一番難しいのは、自分たちは絶対に勝てると心から思えるところまで気持ちを持っていくという“自分との戦い”にメンバー全員が勝つことです。」


まだ現時点では思ったような結果を出せていないというRuuだが、徐々に手ごたえは感じていると言う。


「これまでのステージを経て、メンバーの気持ちがだいぶ育ってきました。」


年齢や経験がそれぞれだったメンバーも、Dリーグのラウンドで大舞台を経験するうちに“勝つための気持ち”が育ち、勝利へと進む足並みが揃ってきたということだろう。


Ruuが「I’moon」のために創った個性豊かな作品を一作一作大切に踊っていくことで、一人一人のメンバーが新しい自分に出会い、自分を超えていく。その先には、AIRIの思う「ダンスで新しい世界をつくって、見る人に勇気と元気がでるような、心を動かせる存在になりたい」という願いが叶う未来が待っている。


彼女たちの輝きを見ていたら、そんな確信で心が満たされた。


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著者プロフィール


Naomi Ogawa Ross●クリエイティブ・ディレクター、ライター『CREA Traveller』『週刊文春』のファッション&ライフスタイル・ディレクター、『文學界』の文藝編集者など、長年多岐に亘る雑誌メディア業に従事。宮古島ハイビスカス産業や再生可能エネルギー業界のクリエイティブ・ディレクターとしても活躍中。齢3歳で、松竹で歌舞伎プロデューサーをしていた亡父の導きのもと尾上流家元に日舞を習い始めた時からサルサに嵌る現在まで、心の本業はダンサー

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